そろそろ時効だと思うので「うつ病」になったときの話でもしようか【後編】
こんにちは、しろもじです。
うつ病になった体験記、前回は病気が発覚するまでのお話をしました。
病院の先生に休職が必要だと強く言われ、休職することになったところから続きます。
休職初日のテンションは意外にも
病院から帰ってきたのが正午くらいで、そこから半日くらいうつ病について考えていました。
前回も書きましたが、まさか自分が罹患するとは思ってもいなかったので、かなり戸惑っていたのを覚えています。
ただ改めて「明日から会社に行かなくていいんだ」と思うと心が軽くなって「まぁなんとかなるか」と思えるようにもなっていました。
そして休職初日。
目が覚めると、自分でも驚くほど心が軽くなっていました。
昨日までの自分は「何もやる気が起こらない」「感情の起伏がなくなってしまう」といった感じでしたが、その日は朝からハイテンション。
早朝から部屋の掃除をしながら「何をしようかな」と考え、午後からは買い物に出かけ3店舗を巡ってみたりと、昨日までの症状が嘘のように活動的になっていました。
その時点で私は「やはりうつ病だったとうのは間違いだったのだ。ちょっと疲れて心が沈んでいただけで、大げさに騒ぎすぎたのだろう」と思うようになっていました。
たぶん1,2週間くらい休めば元通りに戻って、何事もなかったかのように仕事に復帰できるのだろうと確信していました。
もちろん、それは間違いだったわけで。
ようこそ、絶望的な日々へ
休職から4日ほどたったころ。
その日はそれまでの活動的な毎日が嘘のように、朝から身体がいうことをききません。
全身が重く頭が回らない。
なんとなく現実感がなく、意識に靄がかかっているかのようにボヤケて、ひとつのことに集中して考えることができなくなっていました。
3日ほど遊び回ったので疲れたのかも。
そう思って、その日は大人しくしていました。
ところが次の日も、また次の日も症状は良くなりません。
というか、むしろ悪化しているかのようで、ベッドの上で過ごす時間が日に日に増えていきます。
かと思うと、急に調子の良い日があったり、また翌日は良くなかったり。
実は病院から処方箋をもらってうつ病のお薬をもらっていたのですが、上記のようにまだどこかで「間違いかも」と思っていたので飲んでいなかったんですよね。
でもあまりにも症状が激しいので、とりあえず飲んでみることにしました。
これが効く効く。
薬の怖さ
薬を飲み始めて2,3日ほど経ったころ。
明らかに様子が変わってきました。
気分が「結構良かったり結構悪かったり」していたのが、安定して「少し良かったり少し悪かったり」という状態をキープできるようになりました。
元のように元気になれたわけじゃないけれど、それなりに動ける日も増えてきた。
これが薬の効果なのか……とちょっと怖くなった覚えがあります。
というのも、私にとって薬とは「身体に効くもの」であり「心に効く」というのは初めての経験だったからなんですよね。
まぁ、普通はみんなそうだと思うけど。
怖いけど、効いているのなら飲み続けなければ。
そう思って頑張って1ヶ月ほど飲み続けました。
でも、根本的に良くはならなかったのです。
長引く休職
結局、仕事の繁忙期には戻ることができず1ヶ月以上が経過します。
再度、病院に行き先生の診断を受けたところ「そんなに早く治るものじゃない」と言われました。
うつ病になってから、何人かの知り合いから「僕も昔なったことがあって」という話を聞いてて、その体験談では1ヶ月程度で復帰できた人や、遅くても2,3ヶ月ほどで復職できた人が多かったので、イメージと違うなと思いました。
その後も「もう完全に元通りです!」という状態には戻らず、結果的には2年近く休職することになります。
ただ途中からは「うつ病が治らない」というよりは「社会に戻れそうもない」という気持ちになっていましたので、正直なところ「本当に治ってなかったのか?」と言われると、少し微妙だったかもしれません。
長く休んでいることにより「もう仕事したくない」という気持ちもあったのは嘘ではないんですよね。
社会復帰へ
そうは言ってもいつまでも遊んで暮らしていけるわけではありません。
休職当初は「有給扱い」にしてもらっていましたが、それも1ヶ月ほどでなくなり、そこからは傷病手当金というものを申請してお金を受け取っていました。
これの支給は最長で1年半。
有給+傷病手当+失業保険でおおよそ2年ちょっとということで、傷病手当が切れたあたりで、本格的に社会復帰するのかどうかの決断を迫られることになります。
お医者さんからは「このまま障害年金に切り替えて受給することもできる」と教えてもらいました。
ここが自分の人生のターニングポイントだと思ったのを覚えています。
正直なところ、気分的には完全とはいえない。
でも、休業当初よりはずいぶん良くなってきている気もする。
障害年金をもらえばもうしばらく仕事に就かない生活を送れるが、果たしてそれでいいのだろうか?
かなり悩みに悩んで出した結論が「社会復帰する」でした。
自主的通院打ち切り
ただ病院の先生は「まだ復帰は無理」と認めてくれません。
そこで通院を自主的に打ち切ることにしました。
何度も繰り返しますが、本記事は医療従事者による専門的なものではありません。
あくまでも個人の体験記になりますので、本記事を読んでそれを実行されたことにより起こったいかなることについても、当サイトは責任を持てません。
薬を自主的に止めたときは1,2日ほど「おかしくなるくらい」調子が悪くなりました。
ただ(私の場合は)3日ほどすると元通りになり、それ以降は以前より良くなったくらいに思えました。
ですので、その時点で「もしかして病気が長引いたのは、薬のせいでは?」と思ったりもしました。
調子も戻ってきたので、早速求職を開始します。
ハローワークに行き失業保険をもらいながら、求人を探していきます。
当時はコロナが流行する少し前で結構求人も多く、結構選り好みをしてたりしました(笑)。
結構条件が良さそうなところを見つけ、面接にこぎ着けます。
異変に気づいたのは、面接当日のことでした。
治ってない!
薬を止めて1ヶ月ほど経っていた頃。
相変わらず調子は良かったので、面接も「大丈夫だろう」と思っていたのですが、いざ面接に出かけようとしたところ、自分でも驚くほど汗が吹き出します。
とりあえずなんとかタオルで拭き拭きしながら、面接会場へ。
そして面接の時間になり、担当者の方と対峙したところ、明らかに調子が悪くなり、しどろもどろになってしまいます。
「大丈夫ですか?」と心配されましたが、もうどうなってるのか自分でも分かりません。
当然、面接の結果は「お祈り」。
そりゃそうですよね。
でも、それでやっと「自分は治ってなかったんだ」と気づきました。
また「うつ病は完治はしない」ということも知りました。
うつ病の症状から回復することを「寛解」というらしいのです。
ガンなんかもこう言うらしいのですが「症状が収まって普通の生活が送れるようになっている状態」をそう呼ぶのだとか。
なので「完全に元通り」にはならないというわけです。
考え方を変える
その後、とりあえず誤魔化し誤魔化し、なんとか今の仕事に就くことができました。
でも、やっぱり完全に回復しているわけではないので、ちょっとしたことで心がグラッとすることもありました。
「もう一生治らないんだ」という事実が、驚くほど重く感じられたのを覚えています。
これは結構重かった。
そこから持ち直したのは「考え方を変える」ことができたからだと思います。
私は大昔、左の鎖骨を骨折したことがあります。
生活していて99%はなんの問題もないのですが、極稀に無理な動きをすると鎖骨が痛むことがあります。
これと一緒だと気づきました。
未だに残ってる足の古傷も。
昔はなかった顔のシワも。
薄くなってきた頭髪も。
長いこと生きていると、色々なものが変わっていきます。
良い方にも悪い方にも。
でもそれが生きていることの証拠であるとも言えます。
うつ病は完全に治らない。
何かの拍子でまた少し症状がでてくることもあるかもしれない。
そういうのとうまく付き合っていく。
大げさに言えば、それが人生だと言えそうです。
まとめ
調子に乗って書いてこのままいくと、3部作どころかいつまでも終わらないシリーズものになりそうなので、後半ちょっと駆け足でとりあえず〆ておくことにします(細かい部分は、また別記事で)。
本記事を通して言いたいことはいくつかありますが、まずは「うつ病は誰でもなるぞ」ということです。
「絶っっっっ対、俺はならん!」と言っていた私がなりました。
きっとあなたもなります。
なので「あまり無理はしないでください」ということも言いたい。
「あなたがいなくなると、仕事が回らない……なんてことはなく、普通に回る」のは事実です。
疲れたら休んでください。
調子がおかしいなら、お医者様へ。
あなたの人生は、あなたが最も大切にしないといけません。
親や兄弟、恋人や配偶者、親友に知人、上司、部下同僚。
みんなあなたのことを心配はしてくれますが、あなたの人生の責任はとれません。
あなたの人生の責任は、自分自身で取るしかないわけです(当たり前ですが)。
だから、もっと「わがまま」でいいのだと思います。
自分の人生を生きていきましょう。
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