TEXT FIELD AWARD 2018【書籍部門】
こんばんは、しろもじです。
2018年も残すところあと1ヶ月を切りました。
TEXT FIELDを開設したのが2017年の9月5日ということで、1年ちょっとが経ったということになります。早いですねぇ。
というわけで、1年の総括としてこの1年間を振り返ってみたいと思います。
振り返りに辺り色々考えてみたのですが、一番無難なところで「今年一番良かったものを考えてみよう」ということにしようと思います。要は「買ってよかった」ってやつですね。
第一弾として「今年読んだ本で一番良かったもの」を取り上げたいと思います。
今年読んだ本で一番良かった本【2018年版】
最初にお断りしておかなければならないのですが、あくまでも「今年読んだ本」であり「今年出版された本」ではありません。
新刊にはこだわらないので、新刊縛りにしてしまうと限られてしまうからなんですよね。ごめんなさい。
読んだ本はカテゴリの「読んでレビュー」からになります。
今年「読んでレビュー」で取り上げた書籍は、以下の通りです。
『書く力 私たちはこうして文章を磨いた』池上彰、竹内政明|朝日新書
『砂漠』伊坂幸太郎|実業之日本社文庫
『お金の教室』高井浩章|KDP
『答えろ生きてる星』竹宮ゆゆこ|文集文庫
『アイネクライネナハトムジーク』伊坂幸太郎|幻冬舎文庫
『有頂天家族』森見登美彦|幻冬舎文庫
『小説家という職業』森博嗣|集英社新書
『ジェフ・ベゾス 果てなき野望-アマゾンを創った無敵の奇才経営者』ブラッド・ストーン|日経BP社
『ジョナサン・アイブ 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー』リーアンダー・ケイニー|日経BP社
『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』スコット・ギャロウェイ|東洋経済新報社
『アニウッド大通り』記伊孝|KDP
『ペンギン・ハイウェイ』森見登美彦|角川書店
『ユートピア』湊かなえ|集英社文庫
『本題』西尾維新|講談社文庫
『満願』米澤穂信|新潮文庫
『有頂天家族 二代目の帰朝』森見登美彦|幻冬舎文庫
以上16冊になります。
もうひとつお断りしておきますと、実際にはこれの倍ほどの本を読ませてもらっています。
前にもどこかで書きましたが、TEXT FIELDでは批判的なレビューはしない方針です。
つまり読んでみて半分以上「どうかなぁ」と思ったものは取り上げていません。
逆に言えば、ここにある16冊はいずれも「読んで良かった」と思えたものになります。
ジャンルが色々ありますが、16冊と取り上げさせてもらっている本の数も少ないので、今回は「小説部門」と「実用書部門」に分けて、各1位から3位までをランキングしてみようと思います。
小説部門 第1位
今回小説8冊の内、3冊を選ぶのはそれほど苦労はしませんでした。
しかし、その中から1冊を選ぶというのはとても大変でした。正直「ランキング形式やめようかな」と思ったほどです。
何度か読み返して、ようやく決まったのがこれ。
伊坂幸太郎さんの本で『砂漠』も良かったのですが『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』の方が、より身近な人間を描いているようで、深く共感できる1冊でした。
様々なキャラクターが登場し、それぞれの独立したストーリーが展開されているのに、それぞれが複雑に絡み合っている。
謎解きとかそういう要素はないんですが、読み進めていく内に「あぁ、なるほど。そこに繋がるのね」とスッと腑に落ちる感覚がたまりません。
どのキャラクターも、凄く優れているわけでもないし、悩みも欠点も持っているわけですが、不思議と共感できる。
昨今では「キャラ立ち」という言葉が先行してて「実際いないでしょ? そんな人」みたいなキャラクターを作らないといけないような風潮にあったりしますが(自嘲気味に)、本書に登場するキャラクターたちはどれも皆「生きている」のを実感できる人たちばかりです。
どうやったら、こんなにリアルに書けるんだろう……。
そんなことを思いながらも、ストーリーの妙にも感心してしまいます。
小説部門 第2位
今年の「読んでレビュー」で、唯一続編を取り上げた『有頂天家族』が第2位です。
2作目の『二代目の帰朝』も良かったのですが、森見作品の不思議な雰囲気がより濃く出ているのが本作。
どちらのレビューでも「京都」というキーワードを連呼していましたが(笑)、それを除いても独特の雰囲気は一度ハマるともう抜け出せない感覚に陥ります。
普通ですね。狸が主人公で、その父親が鍋にされてるって設定、思いついても実行しないでしょ。
書いたとしても復讐劇とかドロドロしたものになりそうです。
もちろん、主人公の矢三郎も父親が鍋にされてケロッとしているわけではありませんが、決して恨みにまみれるわけでもなく明るいタッチで(?)描かれているのは、森見作品でないと味わえないのかもしれません。
小説部門 第3位
最後は米澤穂信さんの『満願』です。
6本の短編が収録された本書。
レビューでも書いたのですが、どれもこれもラストのどんでん返しが凄い。
ただ、中には「ちょっと無理があるような」と思えるものもあったので3位になりました。
やはりイチオシは「関守」。
これ、本当に怖い。
「私、気になります!」を書いた人と、同じ人が書いたとは思えないくらい(笑)。
レビューでも書きましたが、米澤穂信さんには『古典部シリーズ』『小市民シリーズ』の続編を書いて欲しいですね。
実用書部門 第1位
小説部門では随分悩みましたが、実用書はすんなり決まりました。
1位は森博嗣著『小説家という職業』です。
森博嗣氏というお名前は、当然ずっと前から知っていましたが、なかなか手に取ることはありませんでした。
と言うのも、完全に私の勘違いなのですけど、理系の学者さんということもあり「数学を駆使した複雑なトリックを駆使してるに違いない」と思っていたんですよ。
あくまでも個人的な意見なのですが、私はトリックのネタとして細かな数字を扱う作品はあまり好きではありません。
そういうことから、ずっと敬遠していたんですよね。
そんなときふと手にとったのが本書でした。
レビューでは「他にも読んだ」と書いたのですが、実際にはこれが「マイファースト森博嗣」になります(当然今年です)。
「小説家」という職業は、とても難しいもので、当サイトでも度々「小説家と自称すれば小説家」と言っています。
その点は森氏も言及していて、同じようなことを述べられています。
一般的な「小説家」の意味は「自書が紙の書籍で発行され、一定の収入がある人」と言えるかと思いますので、本書でもその辺りを念頭に取り上げられています。
〆切や今後の出版予定などに対する考え方などでは、非常に論理的に説明されており、むしろ小説家というよりはビジネスマンという姿が思い浮かべられます。
しかし、一方で「小説のプロットは作らない」という、以外な面も。
これだけ理詰めで考えている方が、小説はそうではないというのが面白いところです(もちろん、結末も含め、展開は頭にあるのでしょうけど)。
森博嗣という作家を知るには、最初に手にとるべき1冊だと思われます。
実用書部門 第2位
2位は『ジョナサン・アイブ 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー』です。
Appleと言えば、間違いなく「スティーブ・ジョブズ」ですが、次に名前が挙がるのがアイヴ氏だと思われます。
ジョナサン・アイヴが有名な工業デザイナであることは、多くの人が知っていると思いますが、一方で彼がどのようにしてそこにたどり着いたのかということに関しては、あまり知られてなかったと思います。
本書ではアイヴ氏の幼少期から現在に至るまでを詳細に記しており、そういう意味でも参考になる一冊であると思います。
まぁ、彼の生き方は誰にでもできるわけではないので、あくまでも参考に、ですが(笑)。
本書はジョブズが復帰し、Appleが復活していく課程よりも、それ以前のアイヴ氏のことがメインになっています。
実は日本とも少しだけ関わりがあったりして、面白かったりしますよ。
Apple賛美系の映画や本では「ジョブズとアイヴ凄い!」って書かれていて、そこ自体は間違いではないものの、実際には表に出てこないドロっとしたものもあるはずです。
本書では具体的に深く触れられてはいませんが、そういう部分にも触れられているのが良い所。
創作をされている方にとっては、直接的には参考にはならないでしょうが、姿勢として創作へと取り組み方には見るべきものがあると思われます。
実用書部門 第3位
最後は『ジェフ・ベゾス 果てしなき野望=アマゾンを創った無敵の鬼才経営者』です。
本書か『the four GAFA』かで、少しだけ悩みました。
でも『GAFA』の方は、批判一辺倒なんですよね。言いたいことは分かるし、正しいことも多いのですが、読み物として考えるとちょっと。
本書はご存知、世界一の富豪になったジェフ・ベゾスとアマゾンについて語られた一冊です。
レビューでも書いたのですけど、やはり本書の一番の読みどころは「アマゾンでさえ、創業期には泥臭いことをやっていた」という所に尽きるでしょう。
一代で大企業を築き上げた人って、本当に泥臭いんですよね。
全然スマートじゃない。
それはベゾス氏だけではなく、例えばマクドナルドを世界チェーンにしたレイ・A・クロックしかり、スティーブ・ジョブズしかり、本田宗一郎しかりです。
彼らが始めたビジネスは、確かに優れたモデルを持っていましたが、それだけではなくとにかく泥臭く、這いつくばっても行動していたことで、そこまでの成功を得られたと言っていいものでしょう。
決してそれは万人ができるものではないですし、する必要もないとは思いますが、そういう生き方を知るというのは良いことであると私は思います。
「自分が達成したい目的」というものが明確に存在しており、そこに至る過程ではありとあらゆる手段を講じる。そういう泥臭さ。
一種の執念のようなものを感じてしまいます。
本書では「Amazon凄いぞ」だけではなく、負の部分に至るまで詳細に記されています。ベゾス氏自身はもちろん、従業員などにもインタビューを行い「それ載せて大丈夫?」というようなことまで書かれています。
賛美本は面白いけど参考にはなりませんが、本書のようなバランスを保っている書籍は有用だと思います。
まとめ
軽い気持ちで書き始めたのですが、やってみると思った以上に大変でした(笑)。
流石に内容を忘れているということはありませんが、それでも改めて読み直したりして、随分時間がかかってしまいました。
まぁ、年に1回のことですから、そのくらいは頑張らないといけませんね。
今回は「書籍」に限ってのランキングでした。
後は……ガジェット系かな?
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