紙書籍の市場規模が22年で半減

2018年12月27日小説LABOwritone,創作者向けニュース,電子書籍

先日「書店はこのまま衰退していくのか?」という記事を書きました。

同記事内では「23,000店あった書店が12,000店あまりに減っている」という外部記事をご紹介したので、おおよそ半減したということですね。

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紙書籍の市場規模が22年で半減

書籍(雑誌含む)の市場規模も、同じようにピーク時の半分に減ってしまっているという記事が、25日付けで報じれられていました。

普通に考えれば市場規模が半減すれば、それを取り扱う書店も半分になるというのは当たり前のように聞こえますが、それだとピーク時から比べても書店1店舗辺りの取扱額(売上額)は変わってないということなんですよね。

書籍の市場規模以上に書店が減っていれば、1書店辺りの売上や利益が向上することになり、書店としては体力が付いているという状況が想像できるのですが、市場規模と同様に減っているということは、残存している書店も未だに厳しい状況であると言えそうです。

この記事に書かれていることは「紙の書籍」の市場であり、電子書籍は含まれていません。

2017年の電子書籍の売上規模は2,200億円で、毎年1.3〜1.2倍の規模でかくだいしていることを考えると2018年の市場規模はおおよそ2,650億円辺りでしょうか?

1兆2,800億円(2018年の紙書籍市場規模)+2,650億円=1兆5,450億円ですから、2017年の1兆5,916億円から約3%減。その前年が約5%減だったことを考えると、少しだけ回復基調にあるのかもしれません(概算なのでなんとも言えませんが)。

業種などにもよりますが、前年比3〜5%減というと「緩やかな死」という感じでしょうか。10年もすれば約25%くらいの減になりますからね。自分の経験則から言うと、3%くらいの減であれば業界内に「ヤバイね」という空気は流れるものの、それでも抜本的な改革をするかと言えばしない、という感じです。

毎年3%減=10年で25%減というのは頭で分かっていても、現場の人間からすると「前年比」が正義なので、そこまで危機感を覚えないのではないかと(もちろん、良くないということは分かっているとは思いますが)。経営層ですら、そんな意識の会社は多いのではないかと想像します。

前年比20%くらいダウンすると、もう商売としてやっていけないレベルになってもおかしくないのですが、生き残った企業・店舗にとっては潰れていったコンペティタからの売上転嫁が見込めるので、市場としては残っていくわけです。

よく「自分だけは大丈夫」というのは危ない思考だと思いながら、ついついそう思ってしまうというのは、何も個人だけに当てはまらないということですね。

更に22年後の2040年には6,000億円規模に?

また、リンク先記事によると、統計開始以来ピークが1996年ということですから、約22年間で半減。毎年3%の前年比ダウンで、同等の現象になりますからおおよそ近い数字になっているのが面白いところ。

このまま行けば、22年後の2040年頃には更に半分の6,000億円程度の市場規模になるということ……かな? 

22年後と言えば、日本の人口は1億1,000万人程度になると予想されています。現状が約1億2,642万人ですから13%ほどの減少になります。

もちろん、この前の22年間では人口が下がり続けたわけではありませんし(2004年がピーク)その中で半減したということは、人口と書籍市場が直結しているとは限りませんが、一番の問題は「書籍離れ」にプラスして、書籍を比較的消費するであろう層の喪失です。

ここは想像でしかありませんが(具体的なデータを見つけられなかったので)書籍を一番消費する層って、団塊世代より上か、もしくは学生だと思うんですよね。団塊世代より上の層は、なんと言ってもまだまだ「情報を仕入れるには書籍」な層です。

もちろんネットを積極的に活用されている方々も多くはなっていますが、そうは言っても大手書店に行くとこの層が多く来店している様をよく見かけます。

また学生は「小説は読まなくなった」のかもしれませんが、参考書や学習としての書籍は消費する層であろうと推測できます。一方で20代から60代の現役世代は、プライベートに余裕がなくなっている(時間・金銭)ことなどから、ゆっくり読書を楽しむということが少なくなってきているのではないかと思われます。

まぁ、せいぜい自己啓発本や仕事効率化関連の書籍程度でしょう。

ただ、個人的にはいくらなんでも6,000億円規模になるとは思っていません。

1兆円辺りが分水嶺ではないかと思っているんですよね。それ以上減ると、流石に市場として成り立たなくなってくるので、別のサービス形態に移行していくのではないかと。

「紙の書籍がなくなる」ということ自体は、恐らく私やあなたが異世界に旅立つまでは起こらないでしょう。ただ、それは非常に限られたものになり、コレクターズアイテム化していくのではないでしょうか? 小説などのコンテンツの主戦場は電子書籍(もしくは他のデジタルサービス)に移行していき、紙の書籍は「好きな人が自己満足のために収集するもの(悪い意味で言っていません)」になる可能性が高そうです。

そうなると、もう1冊1,200円などでは売られることはなくなり、安くても2,000円以上、高いものであれば5,000円程度の価格帯になる可能性があります。もちろん、そこにはデジタル以外の付加価値が必要になってきますけどね。

コンテンツ制作者はどうなるのか?

もう何度も当サイトで取り上げていますが、そういう時代になっていく過程で、私たちコンテンツを作る側(プロアマ問わず)はどう振る舞っていくのが良いのでしょうか?

最近ふと思ったことを書かせて下さい。

当サイトで何度も取り上げている「声優+小説家のマッチングサービス(と言うのが良いのかどうかは分かりませんが)」であるWritone(ライトーン)。

Writoneについては、こちらの記事一覧に色々書いていますので、良かったらご覧ください。

Writoneで音声小説を聴く場合、コンテンツ自体は「作家(敢えてこう書きます)」の名前が記載されているものの、音声化されたコンテンツは「声優」の名前が主となっているんですよね。

Writoneに投稿し始めたころ当初は「もうちょっと作家をアピールして欲しいな」と思っていたのですけど、使っていくうちに「もっと声優さんを表に出した方が良い」ということに気づきました。

つまり作家は「黒子」として原作を声優さんにアピールする。声優さんは音声小説化されたものをユーザにアピールする。

この役割分担が非常に秀逸だと思ったんですよね。

当然、作家も作品をアピールする必要はあると思うのですが、音声化されたコンテンツは声優さんのものであるという意識は、ただテキストを投稿サイトにアップロードしていたころよりも、責任を感じてしまうこともあります。しかし、それ以上に面白いと思ったんですよね。

だから、音声にしても、今後あるかもしれない映像化にしても、その原作としての小説。これは作家にとって重要な要素であると思われます。

売れる売れないは別としても、面白くないものは続けられません。はっきり言って、現状の小説投稿サイトは、面白いには面白いのですが、あまりにも反応が薄すぎる気がします。「それはお前の小説が面白くないからだろう」と言われそうですが、面白くないのなら面白くないなりに反応がないのが面白くないわけです。

確かにネガティブな意見はあまり書きにくいですし、しょうがない部分があります。

しかし、テキストにテキスト以外の要素を加えることで、コンテンツの幅が広がったり、それによって視聴の範囲も広がる可能性があるわけです。それが今のWritoneではないかと思っています。

現にWritoneを通じて、新しいユーザや視聴者さんと交流できたりしていますし。

こういう体験をしていくことが、今後の作家に求められていることかと思いますし、逆に作家はこういう体験を求めているのだと思います。

まとめ

いかなる企業もいかなる産業も、永久に変わらないということはありえません。

書店が半減し、市場規模も半分になったのも、ある意味必然と言えるでしょう。

しかし、コンテンツ制作というものは、今後も伸びていくのだと信じています。「紙に印刷された本」というコンテンツは、まだまだ生き残ることができるでしょう。でも、それを信じてやっていくことだけが、作家としての活動ではないのも確かですよね。

将来のことは誰にも分かりません。色々試行錯誤して行く姿勢、というのが大切なのかもしれません。

【記事訂正】

記事投稿当初「Voicebook」と記載していましたが、登録商標にあたるとのご指摘を賜りました。

訂正しお詫びします。

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