フリー時代に、書き続けていけるにはどうしたら良いのか?
こんばんは、しろもじです。
先日「海賊漫画サイト騒動で考える、今後のコンテンツ課金方法のあり方」という記事を書きました。
そして少し前のもので申し訳ないのですが、2018年4月16日のITメディアに「音楽文化の発展か衰退か JASRACが音楽教室での著作権料徴収開始」という記事が投稿されていました。
JASRACと音楽教室の問題は、以前から報道されていまたので、ご存知の方も多いと思います。
要は「音楽教室で練習用に使う楽曲にも、著作権使用料を払うべし」というものですね。
今日はその辺りをもう一度考えて、コンテンツ(この記事では主に小説を取り上げます)の課金方法はどうあるべきなのかを、もう少し考えてみたいと思います。
2009年に発売された一冊の本
上の「海賊漫画サイト騒動で考える、今後のコンテンツ課金方法のあり方」という当ブログの記事では、今後のコンテンツの課金方法について「デジタルデータを中心に無料化は進んでいく」と言いました。
これは、持論でもなんでもなく、2009年に日本で発行されたクリス・アンダーソン著の『フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略』という本からの受け売りです。
同書は「Amazon Unlimited」で読むことができますので、加入されている方で未読の方は読むべきかと思います。
著者のクリス・アンダーソンは「ロングテール理論」の提唱者でもありますね。
本書の詳しいことを全てここに書くわけには生きませんが、簡単に言うと「デジタル時代には、モノの値段は限りなく0に近づいていく」ということです。
こう書くと「でも海賊版は別だろ?」と思われるかもしれませんが、本書の一部ではそれすら受け入れると記されていたりします。
要は「デジタルのモノ(情報)は複製コストがほとんど無視できる。だから、どうやっても価格は0(フリー)になっていく」ということです。
冒頭のJASRACの件で言えば「音楽はできる限りフリーで利用してもらって、コンサートや物販で儲ける」ということですね。
ただ、私は「それでも海賊版は別だ」と思っています。
今日はその辺りの話をしたいと思います。
専業クリエーターはいなくなる?
クリス・アンダーソン氏の言っていることは、ある意味間違っていません。
確かにデジタルは複製しやすく、そのコストはほぼ0と言ってもいいでしょう。
現にYOUTUBEでは無料で動画を見ることができますし、カクヨムや小説家になろうでも無料で小説を読むことができます。
ただ、YOUTUBEは広告収入がクリエーターに還元されていますし、小説投稿サイトに投稿された小説も書籍化された際には印税という形で著者に還元されてます。
ただ、YOUTUBEで生活していけるほどの収入を得ているのはほんの一部ですし、小説の方も同様でしょう。
つまりほとんどの人は「無料でコンテンツを提供している」ということになります。
前にもお話しましたが、仮に「小説が書籍化された!」と言っても600円の書籍で、印税が10%とすると1万部で60万円、2万部で120万円です。
最低限の生活をしようと思ったら、その3倍、6万部はコンスタントに売り続けていかないと、どこかで破綻するのは目に見えています。
まぁ100万部くらい売れれば当面安泰……となるかもしれませんが。
ただ、これは今に始まったことではなく、ずっと前から同じです。
昔よりは環境的に厳しくなってきているかもしれませんが、逆に言えば「見てもらえる可能性」は前よりも増えていると言えます。
つまり「本業としてやっていける可能性は前と変わらない、もしくは少し下がっているかもしれないけれど、副業として考えると可能性が増えてきている」という考え方もできます。
一般的な副業、アルバイトなどと比べると「労働時間でお金が入るわけではない」という違いはありますけど。
そういう意味でも「専業でクリエーターをやっていくのは、やはり難しい」という結論に達します。
マネタイズの方法
それならば、多少なりとも、自分の創ったコンテンツ(動画、小説、ブログなど)を、マネタイズ(という言葉は嫌いなのですが)するにはどうしたら良いのか?
一番に上がるのが「広告収入」になりますね。
ブログにおいても、YOUTUBEでも、同様の方法がとられていますから。
広告収入の良いところは「利用者の負担にならない」というところです。
「邪魔、ウザい」という問題はありますが、それでも直接お金がかかるわけではありませんので、この方法はしばらく続くものと思われます。
「投げ銭」的なものもありますね。
ただ、現状ではどこでも手軽に使えるというものはないので、結局プラットフォームに依る部分が大きく、使い勝手的にはイマイチな感じはします。
他には、上に書いたように「フリーにしたもので直接儲けるのではなく、それに付随したもので儲ける」という手段です。
(儲けると書くと、なんだか守銭奴のような表現ですが、あくまでも収入のことですから。働いてお金を稼ぐという意味合いだとお思いください)
ただ、ここは気をつけないといけない部分もあるかと思います。
音楽と小説は違う
ここからは、特に小説に絞って話を進めていきたいと思います。
前述の「音楽は海賊版で流通されても、コンサートなどで儲ける」という話。
これは完全に音楽という「何度も視聴する」という特性のコンテンツだからこそできるものです。
また、デジタルと言えども、コンサートなどで聴く音楽は、イヤホンを通じて聴くものと別のものという考え方があるとも言えます。
一方、小説、アニメ、漫画、映画などは、そこまで視聴回数を取れないコンテンツです。
もちろん、何度も読み返したい小説もありますが、そうは言っても通常は「一度で良い」となるのが多いかと思います。
特に情報が溢れる時代ですから、そう何度も何度も……と言うのは難しくなっていくでしょう。
現状では「投稿サイトに投稿されたものを、改稿しイラストなどを付けて書籍化」したものを販売することになっていて、そこに価値を付けることによって販売が可能となっていますが、これもいつまで続くか分かりませんし、そもそも先程言ったように、それですら可能性の少ない選択肢になっています。
それでは、書籍化できない人は、フリーでコンテンツを供給し続けるしかないのか?
いつか10万部クラスの小説を、コンスタントに書けるようになれる日まで待つしかないのか?
100万部売れる小説を書ける日を夢見るしかないのか?
それは否定しませんが、それだけではないのではないか? というのが本記事の趣旨です。
あくまでも私の考えですが、例えば「カクヨムなどにコツコツ小説を投稿するだけ」という行動は、上に挙げた方法になります。
「いつか書籍化して、アニメ化して、ドラマ化して……」と夢見るだけ、と言うと厳しい言い方になってしまうかもしれませんけど、確率的には低いのは間違いないでしょう。
「それでも良い」という方もいらっしゃると思います。
「お金が全てじゃない」という考え方にも同意します。
しかし、やはり最終的に「お金になるコンテンツは長続きするし、努力もできる」というのも間違いではないのではないでしょうか?
大金持ちにはなれないかもしれないけれど、コンビニでアルバイトするくらいには副収入にはなる、という場合、力の入れようも変わってくるのではないでしょうか?
そういう方法を探すというのは間違っていないと、私は思います。
少し話が逸れかけていますね(笑)。
それでは書籍化以外の方法で、副業としてやっていくには、具体的にどうしたら良いのか?
と言っても、答えは分かりません。
分かりませんが、可能性としていくつかはあると思います。
例えば、投稿サイトに小説を投稿し、ある程度の人気を得た後、番外編などをKindle Direct Publishing(KDP)やnoteなどで販売する。
例えば、同様の方法で、別の小説を販売する。
例えば、私のようにウェブサイトを開いて、広告収入を得る。
投げ銭的な意味では、前にここでもお知らせした、カクヨムから直接BOOK☆WALKERで販売できる方法、というのも活用できるかもしれません。
いずれにしても、お仕事としてやっていけるように……とはいかないかもしれませんが、活動のモチベーションになる可能性はありますよね。
また、例えば仕事での収入だけでは厳しい場合、上に書いたように副業という選択肢の中に入ってくるくらいにはなるかもしれません。
まとめ
今回は「お金絡み」の話になったので、読む方によっては気分を害される内容になってしまったかもしれません。
私は決して「こういう方法を使って、賢く大儲けしようぜ」と言っているわけではありません。
お金を儲けたいだけなら、仮想通貨なり株なりやっている方が良いかもしれませんし、極端な話、コンビニでアルバイトした方が、確実に儲かりますからね。
ただ、長く創作活動を続けて行く中で、また、これからどんどんフリーになっていく世の中で、少しでも収入になることで、モチベーションを維持できる方法がないものかと考えているわけです。
あまり具体的な結論は書けていませんが、完全な答えなんてないのだと思います。
一番やりやすい、一番お気に入りの方法で、やってみるのが良いかと思います。
ディスカッション
コメント一覧
こういう切り口で書かれたものってあまり見ないので、ためになります。今は書くことで精一杯ですけど、いずれこういうことを真剣に考えなきゃいけないなーと思っています。なのですごく有難いです。
Han Luさん、コメントありがとうございます!
要はモチベーションをどこに置くのか? という話になるのかと思いますが、私は「これからは、音楽にしても小説にしても、個人がやっていける時代になっていく」のだと思っています。
ずっと前からこういうことは言われていましたけどね。
ただ「具体的にどうすればいいの?」と言われると、私自身「うーん?」と言うしかないわけで(笑)。
その辺りが、記事にしっかり書けなかったのは反省点ですね。