これからの小説家像について考えてみた(前編)

2017年12月20日小説LABO小説執筆

こんばんは、しろもじです。

突然ですが

「小説家になりたいかー?」(ウルトラクイズ的なノリで。古いw)

うんうん、今ディスプレイの向こう側から「ウォーー!!」という雄叫びや「ぜってーなるぞー!」という勇ましい声が聞こえてきましたね!

まぁ「小説家になろう」や「カクヨム」などに熱心に投稿されている方なら、普通「なりたい!」と思うでしょうし、少なくとも「なれるならなりたい」という方はほとんどかと思います。そりゃそうだよね。

当ウェブサイトを熱心にご覧頂いている方なら分かると思いますが、ここではプロでもアマでも「小説家を書いている人は小説家」という呼び方をしています。

これにはちゃんと理由がありますので、後でちゃんと解説しますね。まずは「書籍の現状はどうなっているのか?」ということを見ていきましょう。

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出版不況は本当?

もう何度か書いたことがありますが、これから「小説専業で食べていける」小説家は、ますます少なくなっていきます。もちろん、そういう人がいなくなるというわけではありませんが、とても難しい時代になっていくのだと思います。

まぁ、元々「小説専業」というのは、狭き門ではありました。誰でも頑張ればなんとかなるわけではないですし、とてつもない犠牲を払っても、どうにもならない人は山のようにいました。

それが今後、ますます厳しくなるだろう、という話ですね。

だいたい、小説(本)自体が売れていませんからね。2000年頃には2万4,000店ほどあった書店も、2017年では1万1,000店ほどと半減しております。書籍の発行部数に関しては、明確な数字は見つけられませんでしたが、1996年の11,000億円の市場は2015年には7,400億円あまりに減少しているという記事を見つけました。

同記事では電子書籍の市場は、2010年650億円だったのが、2015年で約1,600億円と堅調に伸びているとのことですから、紙書籍はますます減っているのでしょう。ちなみに2010年の書籍の販売額は8,200億円だったとありますので、電子書籍込みだと少し伸びているんですよね。

これは別のデータを見ると分かるんですが、紙の書籍の新刊発行点数が増えたためだと思われます。最近は少し落ち着き気味になっているようですが、紙の書籍は「再販制度」と「委託販売」によって売られています。

再販制度は簡単に言うと「定価を決めて売ること」です。書店によって本の値段が変わらないのは、このためですね。そして本は委託販売なので、出版社が取次に本を卸し、取次は書店へと本を納入します。

そして売れない本は一部の例外を除き、取次へと返品されていきます。もちろん取次は出版社へ返本します。出版社は取次に卸した時点でお金を受け取りますが、返本の際にはそれを買い取ることになります。

つまり、その差額が出版社の真の収入となるわけです。

だから、もの凄く簡単に言うと「たくさん本を出せば、とりあえずは現金がたくさん入るぜ!」ということですね。ただ、当たり前ですが、これは自転車操業になりますので、いつかは破綻してしまいます。

このように、出版社は「たくさんの本を発行する」ために「種類を多く」販売してきたわけです。

少し話が逸れてしまいましたが、このようなことは長くは続きませんので、当然いつかは本の発行部数自体も減ってきますよね。それが現状だと思います。

でも本が売れたら作家は儲かるでしょ?

すこし固い話になってしまいましたので、ここからはちょっと気分を変えて、みんな大好きお金の話にしましょう(笑)。

「小説家になって、バンバン稼いで豪邸を建てて、すげー車に乗るんだ」なんて人は、流石にもういないと思いますが、小説家になりさえすれば食べていけるのでしょうか?

あなたが公募に出した作品や、ネット投稿サイトに投稿した作品が書籍化されることになったとしましょう。小説と言っても色々ありますから、ここではラノベにしておきましょうか。

ラノベの印税ってどのくらいでしょうか? 色々調べてみたら「6%〜10%」という情報が、一番正しそうでした。始めて書籍化された場合、だいたい8%くらいじゃないのかな、と思います。

初版発行部数は色々あるみたいですが、無名の新人であれば出版社もそこまで冒険できませんよね。これも確たる情報はなかったんですけど、8,000部〜15,000部あたりと、結構幅がありました。

もちろん売れれば重版か掛かります。これは3,000部単位くらいみたい。

では、ちょっと計算してみましょう。ラノベの定価は600円としておきます。

ややこしくなるので、税金は無視しますね。

発行部数 印税金額
第1巻発行 10,000 480,000
第1巻重版 3,000 144,000
第2巻発行 12,000 576,000
第3巻発行 8,000 384,000
合計 33,000 1,584,000

ラノベデビューして、1巻は普通に1万部を初版発行。売れ行きが良かったので、3,000部重版。

4ヶ月後に第2巻発行。今度は少しだけ強気の12,000部。ところが、これがあんまり売れなかった。

更に4ヶ月後、第3巻発行。今度は弱気に8,000部。これもあまり売れなかったので、ここで打ち切りが決定した。

という、仮定です。

年間160万弱。まぁ累計3万部というのは、微妙な数字らしいのですが。

5万部辺りからヒット作と思われるとのことです(印税240万)。コミカライズの話も持ち上がってくるのだとか。

10万部を越えてくれば、アニメ化も見えてくるかもしれません(印税480万)。

100万部も行けば、もうウハウハですね(印税4,800万!)。

というか、そこまでいくのは余程です(笑)。SAOなんかは累計2,000万部だとか聞きましたけど、ああいうのと比べてはいけません。

もちろん、今お読みになっている方の中には、それを可能にする方もいらっしゃるかもしれません。可能性っていうのは、誰にも分かりませんからね。

でも、上の例のようになったら、1年間ラノベ作家して打ち切られて、次の仕事も危うくて、それで年収160万ですよ。これだって、決して誰でもなれるわけじゃないです。書籍化するのだって、普通なかなかできませんよね。

だから、私は「書籍化して大ヒットしてガッポガッポ稼ぐ」というのは、絶対ないとは言えませんが、その道はとてつもなく狭いと言いたいわけです。

そして「だったらもう小説家やめる?」とも言いたいのです。

小説をお金に結びつけるから良くないのか?

「しろもじさぁ、小説を書くこと=お金を稼ぐこと、って考えるからダメなんだよ」

これは実際に昔言われたことです。その時は、まぁそうかな? 程度に思っていたんですけど、でもやっぱり「小説などを書いて食っていくことって、本当に一部の限られた人でないと無理なのかな?」と考えるようになってきたんですよね。

ここで問題になってくるのが「食っていく」のレベルです。

  1. 一生、お金に困らないくらい
  2. そこそこ裕福
  3. 普通のサラリーマン程度
  4. ちょっと厳しいサラリーマン程度
  5. 一人なら何とかなる程度
  6. 実家などである程度生活費が抑えられる環境で何とかなる程度
  7. 親のスネをかじらないと何ともならない程度

その人その人の環境にも依るので、なんとも言えませんが、1、2は確実にベストセラー作家にならないと難しそうです。

3は「普通のサラリーマン」という定義が何を指すのかで変わってきますね。ネットで平均値を見ると500万辺りらしいのですが、中央値を見るともう少し下がるみたいです。まぁこれも、そこそこ成功している作家でないと難しいでしょう。

4は中小企業や派遣社員辺りだと仮定します。大体300万から多くて400万くらい? 間を取って350万くらいかな?

そう仮定すると、月収ベースで30万辺りになってきます。

5は暮らしている場所にもよりますが、月収20万辺りでしょうか。都市部だと難しいでしょうね。田舎なら住むとこを選ばなければ、楽勝でしょう。

6、7は、例えば兼業として、アルバイトでもすれば5にすることくらいは、なんとでもなりそうなので、あまり考慮しません。特に7は小説云々関係なさそうです。

専業か兼業か?

さて、ここで専業作家と兼業作家についても考えていかなくてはなりません。

言うまでもなく、専業作家とは「物書きだけで食べていける」作家であり、兼業作家は「他の仕事をしながら作家活動を続ける」作家のことです。

専業作家を目指すのであれば最低でも4以上、つまり年収350万以上を目指さないといけないでしょう。これは毎年コンスタントに稼がなくても、例えば10年に一度3500万クラス稼ぐ方法でもOKかもしれません(ただ税金がドッカーンとやってきますので、実際にはもう少し稼がないとダメだと思いますが)。

生涯独身を貫くのであれば5の年収300万でもいけるでしょう。

一方兼業作家なら、極端な話作家業での収入が0でも構わないわけです。

年間収入が20万を越えなければ、確定申告も要らないので、月間1万程度ならなんの差支えもないですよね。

だから結論から言えば「兼業作家にしとこうね」と言うことになります。

例え20万を越えても、確定申告すればいいだけの話ですから、ちょっと面倒になるだけです。ただし会社が「副業禁止」を就業規則に定めている場合は、ダメですけどね。

その辺がクリアできるのであれば、間違いなく兼業作家が最高です。ほぼノーリスクですからね。

でも、もしかしたら「いや、私は専業作家で食べて行きたいのだ!」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。

実は当ブログもその道を色々探っています。一通り研究してみて、可能性のある方法はこれだろうなぁというのが分かってきました。

ここからは、とても長くなるので、また次回!(笑)

すみませんすみません。前半に書きすぎちゃいました。すぐに記事化しますので、今しばらくお待ち下さいね!

それでは、今日はこの辺で。またあした〜。

後編はこちら。