ハイブリッド型総合書籍ストア「honto」が2018年上半期ベストセラーから動向を調査、発表
ハイブリッド型総合書店「honto 」が2018年上半期の販売データをもとに、ベストセラー作品の購入者、ジャンル、ランキング動向を調査、発表しています。
ランキング動向などの詳細は、上記リンク先ページをご覧下さい。
ここでは、主に小説などを中心に見てみたいと思います。
女性購入者の増加
全体で言えば、男性:女性比は52%:48%で、まだ男性の方が多いのですが、構成比で言うと+12%と大幅に増えており、このペースでいくと近い内に逆転する可能性が高そうです。
また、女性の中でも10代(+3%)、20代(+3%)、30代(+4%)の層の伸びが大きく、他の年代でもほぼ全てプラスになっていることが分かります。
一方男性は、全体的に2〜3%程度の減少となっていて、全年齢層が減っっているのが分かります。がんばれ、男ども!(笑)
ジャンル別では、やはり「コミック」が強いですねぇ。前年比で+14%です。「言語・語学」も+10%「ビジネス」+7%と堅調。
一方で悲惨なのが「文庫・新書」の▲6%「小説・文学」▲29%。
小説はやばいですねぇ。他人事じゃないんですが。
構成比でも6%と、もうこれはニッチジャンルと言っても過言ではないでしょう。
恐らく、なのですが、ここで言う「文庫・新書」に小説もそこそこ入っているのだとは思います。
最近のラノベなんかで、いわゆる文芸とか呼ばれているもの(定価で1,200円程度のもの)は、新書に入っていると聞いたことがあるような。
そう考えると、全体での構成比18%となるので、そこから純粋に考えると、もう少し高い(6%ってことはない)のではないかと。
ジャンル別、性年代別では「文庫・新書」「小説・文学」共に、20代から50代辺りの女性が伸びているのが分かります。
やっぱ、凄いな女性。
紙vs電子は、9:1
前年に対し、電子書籍比率は下がってしまっています。
あくまでもhontoのデータなので、全体の市場としては分かりませんけど、大きく離れている数字ではないのかも。
それにしても電子書籍伸びませんねぇ。
私はいずれ「紙:電子=3:7」最低でも5:5にはなると思っているんですけど、まだまだ先なのかなぁ。
電子書籍の良いところは「サクッと買える」点です。
以前のように「書店をさまよう」ようなことは、Amazonなどのネット販売の台頭によりなくなってきましたが、それでも「今すぐ読める。寝転んだまますぐ読める」というのは電子書籍ならではのメリット。
一方、紙書籍ならば「所有権が完全に個人に移る」という点。
大した金額にはなりませんが、売ることもできますし、貸すことも可能です。
何より本棚に飾って悦に入る、ということもできます(笑)。
所有欲、という点で見れば、紙書籍に軍配があがる、というか紙書籍でしか得られないものですよね。
書籍が消費物でないという証拠だと思われます。
個人的には、予想が外れて残念な部分と、ちょっと嬉しい部分があって、とても複雑な気持ちです(笑)。
小説・文学の年齢層は高め
「小説・文学」のジャンルでは、男女ともに30代以降が圧倒的過半数を占めています。
この表に載っているタイトルを見る限り、やはり「文学系」のジャンルでは、年齢層は高めになるのでしょうね。
人口としても多い世代ですし。
「ラノベ」「文庫」に関しては、先のリンク先のページ中盤以降に少し触れられています。
「ラノベ」は異世界転生ものが人気……と。まぁそうでしょうね。
冷静に考えてみれば、これだけ科学が発達し、生まれ変わりだの、霊だのが否定されている時代にしてみれば、面白い現象なのかもしれません。
心霊現象がエンターテイメントとして残っているように「生まれ変わりなどない。死の先は無だ」と思いながらも、だからこそ、そういうものに惹かれてしまうみたいな。
よく言われているように「人生やり直したい人が多い」という背景も、あるのでしょうけど。
「文庫」もメインは40代、50代、60代と年齢層は高め。
最後に
世代別の人口分布では、65歳くらいから70歳あたりまでの「第1次ベビーブーム世代」と、40歳から45歳あたりの「第2次ベビーブーム」が一番ボリュームがある世代なんですよね。
40代って、結構おじさんおばさん感がありますが、実は彼らが青春を謳歌していた頃、はじめて「ラノベ」が登場し始めた世代なんですよね。
『ロードス島戦記』とか。
ラノベじゃないけど『指輪物語』『ドラゴンランス』『D&D』(これはTRPGだけど、確かその小説も出てた)とかも、その前後辺りです。
だから、意外とファンタジーには寛容な世代、と思うんですよね。
ただ、上でデータで見られるように、読んでいる本としては「ビジネス」だったり「小説(文学)」だったりと「ラノベ」には戻ってきていないようです。
恐らく、この世代に響くような「ラノベ」が生まれてないからじゃないかなぁとか思ったり。
えっ? なんか、お前、やけに詳しいな、ですって?
さ、さぁ……なんのことでしょうか……?
というわけでですね。
私も「そういう層に、もう一度ドキドキしてもらえるような小説」を書きたいなあぁと思って頑張っているわけですよ。いえ? 話を逸したりはしていません。
加えて「そういう層が、もう一度ドキドキするような小説を書かないか?」という意味で、このサイトをやっていたりします。
なかなかね、その世代にはその世代の人しか分からない感性っていうのもあると思うんですよ。
「若い世代の感性を無視しろ」と言っているわけじゃないですよ。
それはそれで大切ですし、理解したり、分かろうとしたりすることは大切です。
でも「若い世代に、40代以上の年齢層の感性を理解しろ!」って言ったって、これは無理だと思います。
だから、その世代が書くしかないんです。
もちろん、今も現役で書かれている方も大勢いますけどね。
ついでなので、もう少しだけ言いたいことを言います。
高年齢層に向けて書かれた小説が、果たして若年層には受けないのか?
これね、結構最近考えています。
そういう意見も聞いたことがありますし、そうかなぁと思ったりもします。
でも、もし「自分の書いた小説が受けない理由を『若年層には受けないテーマだった』とか『若年層には難しすぎる』とかという結論で終わらせている」のなら、これは間違いだと気づきました。
最近ですけど。
「今どきの人に受けるには、もっとテンポを良くしないと」
「そんなキャラクターは、今どきの人は受け入れないよ」
「そういうテーマは古いんだなぁ」
このような意見は一理あります。
一理あるだけに、思わず首をコクンと振ってしまいそうになります。
でも、本当にそうでしょうか?
40代、50代が熱狂して読んでしまう小説は、10代、20代には面白くもなんともないのでしょうか?
そんなことはないと、私は思います。
確かに、若者は文字離れしています。長い文章を読むのは辛いのかもしれません。
会話が少ないと読みにくいのかもしれません。
でも、自分たちもそういう小説を読んできたのではないでしょうか?
そうやってステップアップしてきたのではないでしょうか?
箸を使うのは難しい。最近の子は箸を使いたがらない。だからスプーンとフォークを使えばいいじゃない。
そんなふうにやっていくと、やがて箸は廃れます。
そしてそれは、スプーンとフォークを持った子供のせいじゃなく、箸を捨てさせた大人の責任です。
ちょっと偉そうでしたかね(笑)。
まぁ、そんなことが言いたかったのです。
今日も長い文章を最後までお読みいただきまして、ありがとうございます!
hontoさんも、紙の書籍、電子書籍を頑張って両立させようと頑張っていらっしゃるようなので、Amazonに疲れたら、利用なさってみて下さい。
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