小説はどのくらいの長さが適切なのか?

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小説を書いてWebに投稿する際、気になることのひとつに「どこまでのボリュームにするのか?」というものがあるかと思います。

今日はその辺りについて考えてみました。

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公募とコンテストでは考え方が違う?

最初に本稿で言うところの公募とコンテストの違いについて書いておきます。

公募とは主に出版社が募集をしているもので、事前の掲載なしに直接原稿を送るものとします。コンテストとは「小説家になろう」に代表されるような小説投稿サイトに小説を投稿・公開し、その上で応募するものとします。

一般的に公募であれば文量(文字数、枚数)は決まっているので、そういう悩みはないですよね。逆に「どうやって収めるか?」という部分に注力することになるのではないでしょうか。

なので「起承転結」にしろ「序破急」にしろそれ以外にしろ、決められた文量の中で物語を終わらせることが求められるわけですね。

一方でコンテスト。

こちらは小説投稿サイトに掲載しているものにタグを付けるなどして応募することから、既存の作品でも応募が可能になっています。そのことから「何文字、何話で終わらせると決めて書く」というよりも「設定、キャラクタ、初期の構想などを決めた状態で書き始めていく」という形になるのではないでしょうか?

現在掲載中の小説はどうなっているのか?

少し前に自作を100話で完結させたときに「Web系ではそれでも少ない方だ」ということを書きました。でもそれはあくまでも印象であって、実際に調べてみたりしたわけではなかったんですよね。

というわけで調べてみました。

「カクヨム」にて記事執筆時の「総合月間ランキング」の1位から20位までと、500位から480位までの比較をしてみました。

簡略化するため、文字数は100の位を切り捨てています。

予めお断りしておきますが、500位でも十分凄いですからね。本当は一番下からと比べてみたかったんですが、500位までしか載ってなかったのでこのようになっています。

すごく余談です

本文と関係ないのですが、下の表はMacのNumbersにて作成しています。
「表を作ってコピーしてWordPressの段落ブロックに貼り付けたらどうなるんだろう?」と思って貼ってみたら、そのままテーブルブロックに変換してくれました。
凄い。こんな機能があったなんて聞いてない!

順位 文字数
順位 文字数
1 93,000
500 242,000
2 116,000
499 169,000
3 86,000
498 158,000
4 242,000
497 228,000
5 933,000
496 107,000
6 604,000
495 57,000
7 903,000
494 30,000
8 52,000
493 3,000
9 58,000
492 337,000
10 98,000
491 62,000
11 182,000
490 80,000
12 101,000
489 86,000
13 100,000
488 10,000
14 41,000
487 22,000
15 442,000
486 70,000
16 205,000
485 105,000
17 207,000
484 10,000
18 304,000
483 79,000
19 979,000
482 1,000
20 550,000
481 3,000





最小値 41,000

1,000
最大値 979,000

337,000
平均 314,800

92,950
中央値 193,500

74,500

まぁ予想した通りなのですが、これを「どう見るか?」ですよね。

「人気があるから長く続いている」のか「長く続いているから人気がある」のか?

もっと細かく数字を見ていけば分かる気がするんですが、どっちにしても500位よりも下が分からないので憶測にしかなりません(先程も書きましたが、あくまでも月間なので500位でも凄いんですよ)。

恐らく両者が混在している、というのが正解じゃないかなと思います。

作者的視点からすれば、人気が高ければモチベーションは上がるのが一般的ですし、そうなれば書き続けることになるでしょう。また例えば「10万字くらいで完結かなぁ」と思って書き始めたとしても、凄く人気が高くなれば「20万字、30万字と書き続けていくこと」を選択するかもしれませんし。

読者的視点から考えると、長く続いている小説はそれだけ露出が増えますし目にする機会が増えるのは間違いないでしょう。極端な話をすれば「1話3,000字」の小説より「100話30万字」の小説の方が、目に止まる(≒読む)機会は増えるのではないでしょうか?

「機会が増える=読者が増える」ということは、それだけ「刺さる可能性」も増えると言えるのかもしれません。これも前に書きましたが「読まれない」ということが「面白くない」とは決して言えないと、私は思うんですよね。

「読んだ人の1%にしか刺さらない小説」があったとして

「100人読んだら1人」
「1,000人で10人」
「1万人で100人」
「10万人で1,000人」

のファンが付くことになります。

そのことから「更新を続けるほど目に止まりやすくなる」というのもあるのだとは思います。ただ、Web小説投稿サイトなどでは新着に載る時間はおおよそ5分から10分程度、混み合っているときであれば瞬殺されることもあるので、なかなか難しい問題なんですけどね。

結局、どのくらいの長さの小説を書けばいいの?

最初に書いたように公募であれば決まった文量でキチッと終わらせることを考えるべきですよね。これは公募を通じて出版される書籍が、そういうスタイルを取っているというのもあります。

つまりWeb系であればマンガのように「1巻、2巻」と人気が続く限り続刊を出していくのに対し、一般的な書籍は「1巻完結」が基本だからです。もちろん続刊が出ることもよくありますが、あくまでもシリーズものとしての扱いで「2巻から読んだからと言って訳が分からない」ということがないものが多いように思われます。

一方でWeb小説は上に書いたようなスタイルですから、基本的には「続くのが前提」になっています。ただやはり作者的に、終わらせることも考えておく必要はあるのではないかと、私は思います。

私自身、それほどWeb小説を読み込んでいるわけではないのですけど、たまにぶらっと眺めていると「新作を書いているけど、旧作が放置されている」という方を見たりします。

もしかしてWeb系では「人気が出なければ放り投げて、次に取り掛かる」というスタイルになっているのでしょうか?

極々々々、個人的な意見なのですが、やはり「小説は完結させるべし」と思うんですよね。できれば「俺達の戦いはこれからだ」じゃなく、ある程度ちゃんとした形で終わらせるべき。

随分前にも書きましたね、これ。

リンク先記事で書いたことだけではなく、一度生み出したストーリーやキャラクタがかわいそうだと思ったりもするんですよ、放置すると。

小説を書くということを「仕事」として考えると、人気の出ない作品に早々に見切りをつけることは正しいことであり、それを「完結させる」のではなく「放置する」という方法で選択するのも、ある意味間違っていないのかもしれません。

でもやっぱりちょっと……と思ってしまうんですが、甘いですかね? 甘々ですかね。

まとめ

とは言え、やはり創作は自由であるべきだとも思います。

小説家、作者、創作者が、良かれと思って取った選択肢であれば、それは本人にとっては正解だとも言えそうです。

本記事の結論として個人的な意見を言えば「Web系であれば、12,3万字程度である程度まとめる方向にしておき、更に伸ばせる要素も含ませておく」のが良いのではないかと思います。

もちろん12,3万字というのは一つの例で、1万字でも5万字でもいいとは思います。

逆に言えば「12,3万字で終わって、もうそれ以上はない」というのは、Webでは難しいのかもしれないとも思います。難しいというのは「書籍化を目指す上で」という話ですね。出版社としては「1冊限定」というのは売りにくいのではないでしょうか。

特に最近では小説だけではなく、アニメ化、漫画化などメディアミックス前提なところもあったりしますからね。

「文庫本1冊で完結させたい」というのであれば、公募の方がいいのかもしれません。