どうして完結できない小説を書いてしまうのか? 考えてみた

2017年12月8日小説LABOプロット,小説執筆

こんにちは、しろもじです。

 

小説を書く時、私が最も重要視していることがあります。それは「ストーリーの面白さ」ではなく、「キャラクターの魅力」でもなく、「惚れ惚れするような文章力」でもありません。

 

それは「完結すること」です。

 

もちろん、上記に挙げたストーリー、キャラクター、文章力も、とっても大切ですよね。でも、物語が最初の一文で始まって、最後の一文で終わるまで、キッチリ書き上げてこそ小説は完成するわけです。

 

作家の「病気・怪我・死亡」などによる、予期していなかった場合を除けば、小説は完成させないと意味がないと思っています。「凄く面白いのに、途中で止まってしまった小説」は、「あまり面白くないけど、ちゃんと完結している小説」に劣るとさえ思っています。

 

まぁ、これに関しては色々な意見があるかとは思います。しかし今回は「なぜ小説は完成させないとダメなのか?」という部分を、敢えて考えてみたいと思います。

 

ちょっと長い話になりますが(5,000字程度)、小説をこよなく愛されている皆様でしたら、さほど問題ないでしょう(笑)。

 

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「未完の大器」な小説がなぜダメなのか?

まずは「なぜ完結してない小説はダメ」なのか? それを考えてみたいと思います。

 

読者は「結末」を知りたい

今回は私が読み手、あなたが書き手として話しを進めましょう。

 

投稿小説であれ、書籍化されたものであれ、小説の1ページ目を開く時、私は真っ白な状態です。

「どんな世界なんだろう? どんなキャラクターがいるんだろう? 笑えるのかな? 泣けるのかな? 」

もしある程度、予備知識があったとしても、基本的には何も分からない状態で読み始めるわけです。

 

そして、ページを捲るに従って、私の中に小説の世界が広がって、キャラクターが生きて、物語が転がり始めるのです。2ページ目、5ページ目、30ページ目と進んでいき、世界はもっともっと広がっていきます。

私はきっと夢中になって読み進めるでしょう。もちろん、時間に限りはありますから、朝まで読むわけにはいきませんけど(笑)。でも、時間の許す限り読み続けます。

「この一文は何を指しているんだろうか? このキャラクターは幸せになるんだろうか? 誰が黒幕なのか? この困難な状況をどうやって覆せるのだろう?」

 

気になりますよね(笑)?

 

で、どうして気になっちゃうのかと言うと「自分の中に出来てしまった世界」だからだと思うんですよ。よく「小説の作り方」的な書籍を読むと「冒頭が大切」と書かれていることが多いですよね。

これは掴み、ということですが、なぜ掴みが大切かと言うと「もし最初の数ページで読むのを止めてしまったら、私の中にその世界が出来ていないから」なんですよね。つまり「続きが気にならない」ということです。

 

でも、ある程度読み進めていくと、先程言ったように、私の中にあなたの小説の世界が出来上がってしまいます。こうなると、もう「結末を知りたい」という欲求は抑えられません。ハッピーエンド、バッドエンド、どんな形であれ、結末を知って「この世界の終わり」を知りたくなってしまうわけです。

 

これは読者(私)のエゴのように聞こえるかもしれませんが、元々その世界に引きずりこんだのは、あなたの方です(笑)。なんてことを言うと

「読まなきゃ良いじゃない」

「いやいや、そもそも投稿(発売)しなきゃいいじゃない」

という不毛な論戦になりかねません。

「じゃぁ、チラシの裏に書いているような小説なら、完結しなくてもいいのか?」ということになります。でも、そうでもないのです。

完結させないと付かない力がある

私はまだ投稿小説では2作目ですから、こんなことを偉そうに言える身分でもないかもしれませんが、やっぱり「小説を完結させる」って難しいんです。

難しいからこそ「完結させてこそ、付く力」があると思うんです。完結力とでも言っておきましょう。

できれば良い形の方がいいでしょうけど、どんな形であれ小説を完結させるということは、元々あなたの中にキチンと最後までの道筋があったとしても、難しいことだと思います。中には「簡単じゃん」って方もいらっしゃるかもしれませんが(笑)。

 

でも、頑張って頭を捻って「BestではないけれどBetter」という終わり方だとしても、小説を完結させると、先程言った完結力に加えて「全体を改めて見直す力」っていうのも備わってきます。

「あー、ここは要らなかったなぁ」「ここはもっと語った方が良かったな」「この台詞、こう変えればカッコよかったな」「ここにこんなサブストーリーを入れたら、もっと厚みが出たかも」

なんてことが分かるようになってきます。要は「ああああああああああああああああああああ」ってなるってことですね(笑)。

 

でも、それで良いんじゃないかな? と思っています。私なんて「Replace」にしても「王立勇者育成専門学校総務課」にしても、今読み返して「うわあぁぁぁぁっっぁあああああ」ってなっていますからね(笑えない)。

それでも「あぁ、そうか。今度はこうしよう」っていうふうに思えることもあるんですよね。反省はある程度必要。要は次に活かせば良い、ということで。

 

そういうことからも「小説は完成させないと意味がない」わけなのです。

 

どうして小説が完結しないということが起こるのか?

「それは分かっているけど、なんでか完結できないんだよね」という方もいるでしょう。小説を完結させる方法は後述するとして、その前に「なんで完結できない小説が生まれてくるのか?」という部分をまず考えてみましょう。

 

モチベーションだけで書き始めてしまう

ベテラン作家さん以外限定の話です。

私のように小説家レベルが低いと、ついつい「いいシーンが思いついた!」とか「面白いキャラクターが出来た!」という段階で小説を書き始めてしまいます。

もしくは他の人の影響から「私も書きたい!」という思いだけで出発してしまいます。

その段階で「目的地」は分かっていないのに、モチベーションだけはあるので、序盤からモリモリ書いていきます。もっと面白くしてやろうと、風呂敷を広げて話を大きく大きくしていってしまいます。

そして読者さんに「どんな結末になるのか気になります!」というコメントを頂いて、冷や汗をかくわけです(笑)。

もしくは、始めの「このシーンを書きたい!」だけで始めていた場合、それを書いてしまうと満足してしまうのです。「もういいや」ってなっちゃうわけです。でも、もういいと思いつつも、読んでくれている人がいると書き続けないといけないと思うので、止めるに止めれなくなっていきます。

 

結果として「終わらない小説」が生まれてしまいます。別の言い方をすれば「終わらせられない小説」ですね。

冒頭から終わりまでキチンとしたプロットがあるかないかの話ではありませんよ。それはあるに越したことはないのですが、ぼんやりとしてても「こんな終わり方」というのを持っていて、その過程で「ここを通って」というのがあるかないか、ということですね。

最低限、それさえ持っていれば、なんとかなる部分があるのですが、全く無い状態だと「もうちょっとこのキャラを書き続けていたい」とか「もっと世界観を広げたい」という感じになって、どんどん終わらない、終わらせられない方向へと進んでいきます。

 

最終的に判断されるのが怖い

これはどうでしょうか? 「最終話を書いて完結するということは、この小説の評価が完全に定まるということで、それが怖い」ということなのですが、こういうことありませんか?

 

私はあるんですよねぇ(笑)。

 

投稿サイトなどで連載していると「まだ、まだだっ! ここから面白くなるんだから!」みたいな感じになってしまいます。「まだ評価される段階ではない!」と(笑)。

でも、よくよく考えらたら、これは「作品ベース」での話であって「作家ベース」の話ではないわけなんです。あなたや私の「その作品」の現段階での評価であって、あなたや私の「作家としての今後の評価」ではないのです。

 

作家、小説家としてのあなたは、あなたが死ぬまで、もしくは死んだ後も評価され続けていきます。作品も同様ですが「終わってない作品」は評価の対象にもなりえません。

まず終わらせる。終わらせても評価が上がらなかったら、次の小説で挽回する。その繰り返しだと思います。あなたが納得して終わらせたなら、それはきっといつか評価してくれる人が出てくるはずです。

その作品では、そのようなことがなくても、次の作品では評価されるかもしれません。次の次かもしれませんし、その次かもしれません(笑)。でも、完結してない小説を続ける限り、次はどんどん後回しになっていきます。

どうやったら小説を完結させることができるのか?

「じゃ、どうやったら小説を完結できるんだよ!?」

という問いに、私なりにお答えしましょう。

 

設計図を作る

これが一番確実な方法です。

プロットと呼ばれるものですね。プロットの作り方は、作家さんによって異なりますので、ここでは深く言及しませんが、細かければ細かいほど、完結までの道のりが近くなると思っています。

 

最強のプロットは「下書き」ですね。誤字脱字、一切無視して、とにかく書きまくる。それを何度も書き直していく。そして最終的に小説ができる。こういうのが個人的には良いと思います。

でも、実際にはそこまで出来ないことも多いんですよね。

ですので、もうちょっと簡単でも良いので「冒頭、中盤、終盤、結末」、別の言い方では「起承転結」もしくは「序破急」。そんな感じで、終わりの道筋、そこに至る経路くらいは考えておけば、執筆中に脇道に逸れそうになっても、修正ができるでしょう。

 

プロットの作り方は、色々な本が出てたりしていますので、そういうのを参考にするのも良いですね。もしくはPCツールなんかもありますからね。

でも、基本的にはあくまでも自分がやりやすいようにというのが大切です。私は「テキスト形式で簡単なプロットを作っておいて、別ファイルで書く。それをまた別ファイルでリライトする」という形でやっています。

リライト箇所が少ない場合は、上書きすることもありますけどね。この辺は、もうちょっと上手くなったら、またご紹介できればなと思いますが、今はまだ勘弁して下さい(笑)。

 

無理矢理にでも終わらせる方法を考える

稚作を例にとって恐縮なのですが「Replece」は、書き始める時に「最後のシーン」まで一応キチンと決めてから書き始めました。だから、細かい部分はともかく、大筋では悩むこともなく最終話までたどり着くことができたんですよね。

 

一方「王立勇者育成専門学校総務課」は、最後が見えないまま書き始めました。当面のプロットだけ作って、見切り発車で始めたんですよね。これは「投稿記」の王勇の最後でも書きましたが「練習用の小説」だったからなんです。

上のリンク先に書いているように「練習用として1話完結型の小説」のつもりで書き始めたんです。

1話の内に問題が起こってそれを解決して終わり、というような短編小説の集まりのような小説を目指していました。ところが、プロットが未完成のまま始めたことが仇になって「どうしてこうなった?」状態になってしまったんです(笑)。

 

途中で修正しようと試みましたが、なかなか上手くいかず、結果としてはプロットを大きく書き直して強引に終わらせました。読んでもらえると分かりますが「まるで打ち切り漫画のような終わり方」をしています(笑)。

でも、あのまま書き続けていくと、それこそ「終わりの見えない小説化」になってしまうと思ったからなんですよね。

じゃぁ、当初の予定の「一話完結型」は完全に諦めたのかというと、実はそうでもありません。

 

Web投稿の良いところなんですが「一度完結させても、続きを書くことができる」じゃないですか。

まずは一旦終わり。でも、また続きが書ける時になったら書こう。

そんな感じです。書かないかもしれませんが(笑)。でも、やっぱり中途半端に続けているよりは、一度ちゃんとした形で終わらせるっていうのは、とても大切なことなんですよね。

 

まとめ

冒頭でお話したように、すっかり長い文章になってしまいました。

カクヨムでも小説家になろうでも、たまに「更新されないまま放置されている小説」を見かけることがあるんですよね。

冒頭を見ると結構面白そうなのに、なんで途中で止まっちゃっているんだろう? と思ってしまうこともしばしばあります。

もちろん、色々な理由はあるのだと思います。最初に言ったように「どうしようもない理由」があるのかもしれません。でも、もし途中で筆が止まってしまったのだとしたら、文中でも書いたように、多少強引にでも終わらせてしまうことをおすすめします。

 

愛着がある作品を終わらせるのは、作家さんによっては心苦しいところがあるのかもしれません。Web小説というカタチは、従来の「1冊」単位で語れない部分もあるので、長期連載というカタチが出来ますし、それが望まれている部分もあります。

 

しかし、物語はいつかは終わるものです。

 

色々な手法があるので、全てがそうだとは言いませんが、週刊マンガ的な「人気がなくなって打ち切り」的な終わらせ方をするくらいなら「作家が自らキチンと終わらせる」方が、私は素晴らしいことだと思うんです。

例え人気が出ない、酷評ちゃうような、もしくはそれすらされないような小説でもいいじゃないですか。

終わらせて、読み返して、次に活かす。

終わらせれば、小説はそれ以上のものにはなりませんが、あなたや私は今度こそはもっと上手く伝えられる、終わらせられる力を身に着けて行けるのだと思います。

 

長々となりましたが、最後までお読み頂きありがとうございます!

 

あなたの執筆活動が実りあるものになりますように。