小説のタイトルのお話【はじめての小説執筆08】

2018年12月19日小説LABOはじめての小説執筆

本連載は「小説なんてほとんど書いたことがないけど、書いてみたいな」という方に向けての「足がかり」的な記事になります。
「面白い小説の作り方」「人気が出る方法」などではございません(何度も言いますが、それは私が聞きたい)。
あくまでも「こういうやり方はどうでしょうか?」と提案するものであり、お読みになられた方の何かしらのヒントになればと思います。

今回は「小説のタイトル」についてのお話になります。

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小説のタイトルはお店の看板のようなもの

小説にとって、タイトルとはその作品を代表する看板のようなものです。

他のサービス、例えばYOUTUBEであればサムネイル画像が重要でしょうし、マンガなどではカバーイラストが重要になってくるでしょう。

もちろん、紙の書籍だったり電子書籍であれば、同様にカバーイラストも重要になってくるのですが、ネットに投稿するタイプの小説の場合、ほぼ「テキスト」だけになってしまうので、それらに比べて重要度が増すというわけですね。

小説投稿サイトで、作品を読む場合のことを考えてみましょう。

ほとんどの主要な投稿サイトでは、作品の一覧に並ぶのは「タイトル」です。一部のサイトでは「あらすじ」や「キャッチコピー」も同時に表示されたり、カバーイラストが表示されるものもありますが、やはり読者が一番気にするのはタイトルであることに間違いないでしょう。

これは言い換えれば「一番目に付く」とも言えます。

ランキングや検索で作品を探す場合、恐らく上から下まで順番に一つ一つ読んでいくという方はいないと思います。一覧を眺めて、気になった作品をクリック。あらすじやキャッチ、レビューなどを見て「1話」をクリックして読む、というのが一般的ではないでしょうか。

つまり「気になる=目に付く」作品でないと、クリックすらしてもらえないということになります。だから、小説をたくさん書いて、ネットに投稿されている方の多くは、小説のタイトルに気を使っているように思われます。

ネット小説に長いタイトルが多いわけ

主に「小説家になろう」が本格的に流行りだした頃だったと記憶していますが、段々ネット小説のタイトルが長くなってきました。

例えば『異世界転生したら、担当の女神様がダメダメだったので、自分自身で頑張ることにしました』みたいなのですね(これは例ですので、突っ込まないで下さい!)。

個人的な感想ですが、これは「小説家になろう」では一覧にタイトルしか表示されないという仕様が関係しているのではないかと思っています。

つまり、先程言ったように「より目に付くように」という理由から、本来はあらすじで語られる部分をタイトル化したのが、そのような長いタイトルになった理由だと思います。

また、最近はじっくり選ぶということが難しい時代であるというのも関係がありそうです。

YOUTUBEやアニメも観なくちゃいけないし、サイトも見て回りたい。ゲームもしたいし、SNSも忙しい。そんな中で、小説だけをじっくり探すという行為が難しくなってきているのではないでしょうか。

「手早く面白そうなものを探したい」そういうニーズに答えるために、タイトルでできるだけ内容を語るようになってきたのだと推察できます。

良い小説のタイトルとは?

ただ、一方で各投稿サイトでコンテスト受賞作やランキングを眺めていると、そういうタイトルでないものもチラホラ見受けれれます。

全てがそうだとは言いませんが、そういう方の作品一覧を見ていると「1作目<2作目<3作目……」とPVやレビュー、ポイントなどが増えていっているようです。

つまりファンが付いているということですね。

このような状態になれれば、恐らくタイトルはあまり関係なくなる……ほどではないにしろ、タイトルの影響度が少なくなるのではないかと思います。

逆に言えば「タイトルは読んでもらって、ファンになってもらうため」の手段とも言えますね。

私自身も思ったことがあるのですが「読んでもらえさえすれば、面白さが分かってくれるはずなのに!」と、小説を書く人なら誰でも思うはずです(笑)。

一応補足しておきますと、私は「小説の面白さはあくまでも主観であり、自分の書いたものを面白いと言ってくれる人は必ずいる」と思っています。要はそれの大小だけの違いなのですが、例え少ない人しか共感してくれないとしても、それなりに人数はいると思っているんですよ。

そういう人に探してもらうために、タイトルが重要になってくるという話です。

さて、ではよい小説のタイトルとはどんなものでしょうか?

まず、先程言ったように「タイトルである程度中身が分かる」というのは重要そうです。

紙の書籍の一般文芸などでは、例えば『砂漠』や『ユートピア』のような単語タイトルが多く見受けられます。これは、紙書籍で出版されているからこそ有効なタイトルだと、私は思います。

そこには「出版社名」であったり、「伊坂幸太郎(さん)」「湊かなえ(さん)」というネームバリューがあるからこそ、手に取ってみようと思うわけですね(もっと言えば「書店に並んでいるから」という理由で)。

例えば小説投稿サイトの「最近投稿された小説」の一覧に『砂漠』というタイトルの小説があったら、クリックしたいと思うでしょうか? しろもじ著『砂丘』だったらどうでしょうか?(笑)

クリックしませんよね。

そういうことから、やはり小説のタイトルは直感的に連想できるものの方が良いでしょう。

ただ、個人的には長くなくてもいいとも思います。

大切なのは「キーワード」。

Yahooニュースなどの記事を見てみて下さい。

何気なくクリックした記事があったでしょうか? なぜそれをクリックしたのでしょう?

画像がある場合は、それが影響しているかもしれませんがYahooニュースにはトップ記事意外には何も写真などないんですよね。という事は、記事タイトルだけでクリックしたということです。

その記事タイトルの中に「自分が気になるキーワード」が入っていたからクリックしたのではないでしょうか?

昔、どこかで読んだ記憶があるのですが、Yahooニュースの記事タイトルって文字数の制限があるので(一覧の方)担当者はかなり気を使っているそうです。

今ざっと調べてみたら、長いもので全角で13文字程度でした。

この13文字で「引っかかるキーワード」を入れてタイトルが作られているわけです。

小説であっても、同じことが言えるのかもしれませんね。

キーワードは「読んで欲しい読者層」というのを想定して考えると良いかもしれません。

「年代」「性別」「職業」などなど。一番簡単なのは「自分が気になったタイトルで、何が気になったキーワードだったのか?」を考えることです。小説でもいいですし、ネットの記事でもゲームのタイトル、マンガのタイトルでもいいです。

主となるキーワードを決めて、後はそれが引き立つようなものにすれば良いだけ……なんですが、それが一番難しいという(笑)。

先程言ったような「長いタイトル」は、キーワードをてんこ盛りにしていることが多いようですね。

  • 異世界
  • 転生
  • チート
  • ハーレム
  • ニート
  • 引きこもり
  • 勇者
  • 賢者
  • ドラゴン
  • ダンジョン
  • 追放
  • スキル
  • 無双

などなど。

これらは人気のキーワードなので、入れておくと読まれやすそうですが、逆にライバルが多すぎて埋もれてしまう可能性もあります。

それ以前に最も気をつけたいことがあります。

タイトルは先に決めるのか? 後から決めるのか?

普通小説を投稿する場合、公募などでしたらとりあえず終わりまで(12万字程度)、ネット投稿でしたら何話か書いてから投稿することが多いと思います。

いずれにしても、多少は書いているわけですが、その書き始めの段階で「タイトルを決めるのか? 後で決めるのか?」という悩みがあるかと思います。

私自身は「とりあえず書いてみて、後から(投稿段階で)決める」というスタイルでやってきたのですが、最近は「先に決めよう」と思うようになってきました。

と言うのも、先程言ったように「タイトルは小説の看板」だからです。

タイトルにはその小説の魅力を現すキーワードが散りばめられているわけであり、そう考えると先にタイトルを決めることによって、小説の芯が通るということになると感じました。

逆に先に作品を書いてしまうと「一体この小説で、自分が一番言いたいこと(魅力的だと思うこと)は何だったんだろう?」ということになってくるんですよね。

そういうのは、何もタイトルだけではなく、場合によっては「ログライン」と呼ばれるものであったり、もしくは「キャッチコピー」「あらすじ」でも語れるものですが、最も象徴するのがタイトルだと思うんですよ。

あくまでもそれぞれの人の小説の作り方はあると思いますので、絶対にそうした方が良いというわけではありませんが、もし私のように「結局何の小説だったんだろう?」と後で首をひねってしまう方は、先にタイトルから決めていくのがいいかもしれません。

まとめ

最初にも書きましたが「こういうタイトルが良い」というものはありません。

『砂漠』のようにワンフレーズのタイトルでも、英語のタイトルでも、自分が良いと思ったタイトルが一番良いわけです。

ただ「できるだけ沢山の人に読んで欲しい」と思ったとき、小説のタイトルは重要な要素になってくる可能性があります。

「自分に共感してもらう人を探すため」に、たくさん頭を捻って秀逸なタイトルを見つけ出すことができるように、頑張って参りましょう。

念の為、最後に申し上げておきますが、今回の記事も自分のことは棚に上げまくっています(笑)。その辺を突っ込まれると困ってしまいますので、ご容赦下さい。

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