小説を書くPC(パソコン)を選ぶ際の、スペックの見方(用語解説)【2018年12月加筆修正】
※本記事は2018年4月18日に書いたものを同年12月29日に加筆修正したものになります。
小説を書く際、最近ではスマホやタブレットを使うことも多くなってきましたが、それでもPCを使うという方もまだまだ多いかと思います。
小説を書くだけであれば、PCのスペックはさほど気にしないでも大丈夫なのですが、やはり長年使っていると壊れたり、調子が悪くなったりして買い替えたいこともあるかもしれません。
本記事はそういう場合に「PCを物色したんだけど、スペックの数字が全然分からない」という方に向けたものになります。
実は前にも似た記事を書いています。
上の記事は、WindowsかMac、ついでにタブレットなど、小説を書くツールの特徴をまとめたものでした。
今回は主にWindowsマシンを中心に、PCスペックの見方を解説するものになります。
また、あくまでも小説を書くためのPC選びを主眼としていますので、必要ないものに関してはサラリと触れるだけになっています。
店頭、もしくはネットでPCを選ぶ際の、参考になればと思います。
PCのスペック 【CPU】
CPUとはPCの頭脳になります。
「Central Processing Unit」の略で、演算処理装置のことを言いますが、日本では単にプロセッサと呼ばれたりすることもあります。
CPUを製造するメーカーは複数ありますが、PC向けのCPUを作っているのは「Intel(インテル)」と「AMD(エーエムディ)」の2つになります。
以前はインテルとAMDが激しく覇権を争っていましたが、少し前からインテルの独壇場となり、最近になりAMDが少し頑張ってきている、という感じになっています。
基本的にはどちらのメーカーのCPUを選んでも、操作自体に変わりはありません。
特にこだわりがないのであれば、自然とインテル製CPUを選ぶことになると思います。
CPUのスペックは非常に複雑で、その全てをここに書くことはできません。
インテル製ですとCoreシリーズ辺りが主流となり、上から
Core i9
Core i7
Core i5
となっています。Intel製CPUの末尾に「U」や「Y」のアルファベットが付いている場合は、主にノートPC用の低電圧版となります。そこまで気にしなくてもOKです。
AMDでしたらRyzen(ライゼン)シリーズになり、上から
Ryzen 7
Ryzen 5
Ryzen 3
となります。
他にも色々ありますが、小説を書いたりネットを見たり、一般的な用途では、この辺りから選んでおけば十分でしょう。
上位機種は当然値段も高めになります。
下位機種を選んでも、今時のものでしたら、余程重い処理を行わない限り十分と言えます。
また最近では「Core M」というCPUも増えてきています。超低電圧で駆動しCPUを冷やすファンが必要ないことから、主に超薄型ノートPCやタブレットに使われています。
CPUのスペックとしては「コア数」「クロック数」「同時処理スレッド」「キャッシュ」が載っていることが多いかと思います。
コア数とは、簡単に言うと一つのチップ上に、いくつの頭脳が乗っているのか、ということです。4コアよりも6コアの方が当然優秀になります。
クロック数とは、2Ghzなどと表記され、これは2ギガヘルツで駆動するという意味です。詳細は知らなくても良いのですが、大きい方が高性能だということだけ覚えておきましょう。
同時処理スレッドとは、並列処理で行える数(スレッド)のことで、これも当然多いほうが、高速な処理を行うことができます。
キャッシュはCPUに付いている一時的なメモリのことで、これも多いほうが処理の高速化が図れます。
しかし、実際にはスペックまで見る必要はありません。
PCのスペック 【メモリ】
メモリはデータの一時保管を行うパーツです。
PCで何か操作を行う際にには、ストレージ(ハードディスク等)からCPUへデータを渡すのですが、その都度読み込みを行うとどうしてもストレージの速度に引っ張られて、速度が低下します。
それを解消するために、一時的にデータを置いておく場所がメモリです。
書庫をストレージとし、仕事を行うあなたをCPUとすると、必要な資料を机の上に並べておくような感じですね。
いちいち書庫まで行ったりきたりする手間が省けますので、仕事が早くなりますよね。
ですから、メモリは多いに越したことはありません。
一般的なメモリは2の倍数になっていることが多く、今現在のベーシックなノートPCのメモリは4GBあたりになっています。
少しスペックが高いもので8GB。ハイスペックPCと呼ばれるものは16GB以上のものもあります。
グラフィック系のソフトを扱う予定がある方は、まずこのメモリを重視した方が良いでしょう。
小説を書く、ネットを見るだけなら4GBでも十分です。
予算に問題がなく、よく分からない場合は8GB辺りのものから選べば、ほぼ失敗はないと思います。
PCのスペック 【ストレージ】
ストレージとはデータの保管庫のパーツになります。
メモリと同じくGB(ギガバイト)単位で表されていますが、最近ではTB(テラバイト)級のものも珍しくなくなっています。
これも当然、多いに越したことはないのですが、一番重視すべきはストレージがHDDなのかSSDなのかという部分になります。
HDDとはハードディスクの略で、レコードの様な円盤が回ってデータの書き込み、読み込みを行います。
物理的に動いているパーツを使っている関係で、処理速度は遅くなります。
SSDはソリッドステートドライブの略で、半導体メモリを使ったものになります。
簡単に言えば上のメモリの親玉みたいなものですね。
特徴としては、HDDに比べて高速処理ができることになります。
その分、値段も高めになるのですが、2018年現在ではSSDを選んだ方が良いでしょう。
データの保管はクラウドストレージ(後述)の選択肢も多くなってきましたので、写真などのかさばるデータはクラウドに置くほうが良くなってきました。
また、クラウドでなくても、外部のストレージを接続して保存する方法もあります。
一台のPCにデータを全て置くことは、PCが壊れた時などに復帰させるのも面倒になりますから、本体への保存は最小限にする意味でも同じ値段で容量の少ないSSDでも十分運用可能になるかと思います。
何と言っても高速化の恩恵はHDDとは比較になりません。
他はケチっても、ここは外さない方が快適に使うことができるでしょうね。
PCのスペック 【グラフィックボード】
グラボ、と略されることが多いグラフィックボード。グラフィックカードと言われることもあります。
主に映像などの描写を担当するチップになります。
PCはボードと言われる基盤に、色々な部品を付けてひとつの機能を実現できるようになっています。
メインのものは「マザーボード」と言います。これに「グラフィックボード」や「サウンドボード」などを差すことで機能を拡張していくというわけです(主にデスクトップ)。
グラフィックボードは「オンボード」と言って、CPU内に統合されたものもあります。
ゲームなどを行う場合には、別途グラフィックボードを搭載したPCを選ぶしかないのですが、通常の利用でしたらオンボードでも十分です。
また最近は、より高性能なオンボードと言ってもいいAPUというものも登場しており、主にAMDからリリースされています。
まだまだ中途半端なので、個人的にはゲームをするのならば、やはりグラフィックボードを刺した方が良いかと思います。
グラフィックボードには色々なメーカーがあるのですが、一番シェアが大きいのはやはりnVIDIAのGeForceシリーズです。
nVIDIAが開発したチップセットを使って、それぞれのメーカーがグラフィックボードを販売しているのですが、型番は複雑で非常に分かりにくいものになっています。
先程も言いましたが、小説を書いたり、ネットを見たり、YOUTUBEなどの動画を見る程度でしたら、オンボードでOKです。
PCのスペック 【画面の大きさ、解像度】
デスクトップPCの場合は、別途ディスプレイを買うことになりますが、ノートPCや一体型のPCの場合は、後からディスプレイを変えることはできませんので、始めにしっかり選んでおく必要があります。
ディスプレイの大きさはインチで表されています。
テレビも同じなので分かりやすいと思いますが、念のため言っておくと、これは画面の対角線の長さを表しています。
ノートPCではベーシックサイズで13インチから15インチ程度。大きいものでは17インチくらいになりますね。
デスクトップPCの場合は21インチが下限かな、と思います。
最近ではウルトラワイドと言われる、横に長いパネルも増えてきました。
モニタには「解像度」というスペックもありますが、これはあまり気にしなくても良いでしょう。
よく聞く「4K」というのも解像度を表しています。
フルHDのモニタが1920×1080の解像度なのに対して、4Kではその倍の3840×2160の解像度があることになります。
当然解像度が高いと、細かい表示が可能になってくるのですが、その分表示自体も小さくなるので、テキストを扱う際には「小さすぎて見えない」ということになる可能性もあります(まぁフォントを大きくすれば解決するのですが)。
私は以前までMacbook airの11インチを愛用していましたが、今は外部ディスプレイを使って21インチモニタに映し出して作業しています。
11インチから13インチクラスは、フットプリント(机の上に置いた時の接地面積)が小さくなるので、持ち運びには最高です。
一方で、画面が小さいので長時間の作業や、参考資料を見ながら書くというような用途では苦労します。
複数ディスプレイを繋いで、マルチモニタにするという手もありますが、そこまでこだわる方は本記事を見なくても大丈夫です。
ノートPCで普通に使うのでしたら15インチ辺りがバランスも良いでしょう。
家に置いて使うのであれば、17インチの方が快適ですね。
PCのスペック 【バッテリー容量】
これはノートだけの話になりますが、買う時に意外と考慮しないのがバッテリーです。
持ち運ぶかどうかにも関わってきますが、もしモバイルで使うのであればバッテリー容量は重視しましょう。
スマホなどと同様に、ある程度使い込むと劣化してくものではありますが、それでも多いに越したことはありません。
ベースグレードのノートPCだと5時間くらいのものが多いかと思いますが、実際には9がけくらいで見ておきましょう。
8時間以上持つものであれば、1日不安なく使うことができるかと思います。
少し趣旨とは違いますが、バッテリーを気にしないで使いたい場合はポメラという手もあります。電池駆動のDM30であれば「電池が切れそう!」というときでも、コンビニなどで気軽に買えますので便利です。
とは言え、最近ではノートPCに給電できるモバイルバッテリも随分安くなってきていますので(多少荷物は増えますが)それらを買えば、あまり気にしないでも良いのかもしれませんね。
OS
OSとは「オペレーティング・システム」の略で、日本語では「基本ソフトウェア」と言われることもあります。
簡単に言うと「WindowsかMacか」ということになります。
「Linux」というOSもありますが、やや特殊なためここでは除外します。
原則として、PCを選ぶ際に一番最初に決定するのが「OSを何にするか」だと思います。
他の記事でそのことに触れています。詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。
簡単に言えば「何がしたいのかで変わってくる」と言えます。
「ネットを見たり、小説を書いたり」という程度なら、どちらを選んでもOKかと思われます。
「ゲームがしたい」というのであれば、Windows1択になります。
コスパ的にもWindowsでしょう。
iPhone・iPadなどを同時に使う場合は、確かにMacの方がおすすめですが、色々制約もありますのでこだわりがないのであればWindowsにしておいた方がいいでしょう。
シェア的にもWindowsが圧倒的なので、ソフトウェアによってはMacでは使えないものもあったりします。もし今愛用しているソフトがありMacにしたいなと思った場合は、事前にMacに対応しているか調べておく方がいいですね。
またWindowsには「Home」と「Pro」という2つのエディションがありますが、個人用途であればどちらを選んでもそう変わりはありません。
まとめ
かなり駆け足で話しましたので、ざっくりした記事になったかもしれません。
重視すべき順番は
- ストレージのSSD
- メモリ
- 画面の大きさ
- バッテリーの駆動時間
- CPU
- グラフィック
の順になります。
ちなみに上でも書きましたが、私がメインで使っているMacbook air(2011)のスペックは
- CPU 1.8 Ghz
- メモリ 4GB
- グラフィックオンボード intel HD Graphics 3000
- ストレージ 120GB SSD
ざっくり言うと、こんな感じです。
はっきり言ってかなり貧弱なスペックなのですが、ネット閲覧、小説執筆、ブログ更新、軽い画像処理程度でしたら、困ることはありません。※最近になってWordPress5.0のエディタでは、やや重くなってきました。
SSDのおかげで、余程ソフトを同時に立ち上げたりしない限りは、サクサクに動きます。
あくまでも参考程度、になりますが、用途としてはこんなものでも十分とも言えますね。
もちろん、予算が潤沢な方は、良いPCを買った方がより快適に使えるのは間違いありません。
少し余談ですが、低スペックPCを買うと「ゲームなど余計なことができないので、小説を書くようになる」という特徴もあったりします(笑)。
おまけ(用語捕捉)
上では書ききれなかった部分を補足しておきます。
GB、TB
ストレージ、メモリなどの容量の単位。
byteが最小単位で
- 1024バイト=1KB(キロバイト)
- 1024KB=1MB(メガバイト)
- 1024MB=1GB(ギガバイト)
- 1024GB=1TB(テラバイト)
というふうになっています。
日本語は2バイト文字なので、1KBは約500字となりますね。「時速6Kバイトで書ける」と、可愛い後輩が言ったら「1時間に3,000字くらい書ける」と言っているということです。
クラウドストレージ
クラウドとは雲とかという意味ですが、そこから転じて「ネット上」という意味合いになります。
対義語は「ローカルストレージ」と言って、要はPC内蔵のストレージのことですね。
本文内でも書きましたが、最近ではクラウドストレージが増えてきました。
代表格のDropboxを始め、Googleドライブなど無料で使えるものも多いです。
クラウドに置く利点としては「ローカルよりは安全性が高い」ことと「どこからでもアクセスできる」ことでしょう。
手持ちのPCにパンパンにデータを保管するのではなく、できるだけ分散させた方がデータ紛失の危険が減りますので、そういう使い方を検討するのも良いでしょうね。
ただ、クラウドストレージは、ローカルにも同じものを保存することがありますので、その場合は「ストレージの節約」にはなりませんので注意が必要です。
Retina(レティーナ)ディスプレイ
Retinaとは「目の網膜」の意味の単語になります。
Appleの製品のディスプレイに使われている商標になりますが、一定以上のppi(下記参照)のものに付けられるようです。
要は「目で見てもドットが分からないディスプレイ」という意味合いですね。
もしiPhone(4以降)をお持ちでしたら、画面にグッと目を近づけて見てみて下さい。
ドット(光の点)が見えないと思います。
最近のApple製品はほぼRetina化していますし、他社のディスプレイもほぼ同じスペックのものになってきていますので、あまり気にしなくてもいいでしょう。
ppi
ピクセル・パー・インチの略。
1インチ辺りのピクセル(ドット)の数ですね。
1平方インチではなく、1インチに何個ピクセルが並んでいるかということですね。
同じインチのディスプレイでも300ppiのものよりも380ppiの方が、より細かく表示できるようになります。
まぁ、あまり気にしないでもいいでしょう。
今日も最後までご覧いただきまして、ありがとうございます。
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それでは、また。
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