地の文と会話文【はじめての小説執筆07】

2018年10月12日小説LABOはじめての小説執筆

こんばんは、しろもじです。

本連載は「小説なんか書いたことがない。でも書いてみたい」という方に向けたものになります。

「書いてみたいんだけど、どうしたら良いのかさっぱり分からない」という方へ「こうやってみてはどうでしょう」という感じの記事ですね。

「人気作の創り方」「面白い小説の書き方」ではありませんが(それは私の方が聞きたい)、何かの参考になればと思います。

前回までの「はじめての小説執筆」は、タグから一覧を表示させることができますので、よかったらご覧下さいね。

 

今回は文章の構成要素である「地の文」と「会話文」について考えてみましょう。

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地の文は人称によって書き方が変わる

 

地の文は「じのぶん」と読みまして、小説を書こうと志された方なら聞いたことくらいはあると思いますが、簡潔に言うと「会話文以外の文章」となります。

地の文は小説の人称によって書き方が変わってきます。

人称とは「誰の視点で小説を書くのか?」というもので、主人公視点であれば「一人称視点」となり、客観的視点から書かれたものは「三人称視点」となります。

人称については以下の記事に書いてあります。

「一人称」「二人称」「三人称一元視点」「三人称客観視点(神視点)」「三人称多元視点」などなど、色々な考え方や分類方法があってこれらを考慮しながら書くのは大変ですよね。

ですので、上記リンク先記事のように「カメラの位置」を意識しながら書けば(言い換えれば映像化しながら書けば)、迷いも少なくなるのでないかと思います。

 

気をつけておきたいのは、カメラワークのブレです。

Aさんの一人称視点で書かれていた小説が、次の行から突然Bさん視点になってしまうと、読む方が混乱してしまいます。

基本的には一人称視点は小説の始めから最後まで固定されるべき、となっていますが、最近では途中で三人称視点を挿入したりする小説もチラホラありますので(いや、前からあったかな)その辺りは作風によるのだと思われます。

ただしその場合でも「視点の切り替え」は明確に行わないと駄目です。

会話文が多いとライトになる?

会話文とはそのままでかっこ「」で区切られた中の会話を指し示します。

よく「会話文が多い方が読みやすい」と言われたりします。

それは口語と文語の違いで、口語の方が普段の生活で使われている言葉だけに、より万人向けであることに由来しているのだと思います。

 

彼が見上げると、そこには澄み切った空が広がっていた。青いキャンパスに絵の具の切れかかった筆で書いたような雲が所々に広がり、遠くの方では無数の鳥たちが飛ぶ姿が見える。

 

「見てみろよ、すげーキレイな空だぜ。雲ひとつない……ことはないか。あっ! ほら、あっち。うわー、鳥だよ鳥。すげー数だな」

 

やっつけなのでクオリティについては無視して下さい(笑)。

まぁ上の例は極端ですが、会話文にすることによって小難しい文章が砕かれ、同じシーンを説明する場合でもより読みやすい文章になるのは分かりますよね。

 

最近の、特にWeb系の小説では会話文がメインでそれを繋ぐ地の文という形で小説が構成されていることもあったりします。

この辺りも作風によりますので、どちらが優れていてどちらが劣っているという話ではありません。

どちらかというと「読んで欲しい読者層」に合わせて書くのが良いと思います。

これは年齢層という分類にも近いのですが「小説を読み慣れている人」「あまり小説を読まない人」というくくりでも良いですね。

地の文の「説明」と「描写」

地の文は「説明」と「描写」に分けて考えることができます。

説明とは小説を読み進めていく上で、必要な情報を読者に提示するために使われます。

例えば「今から十年前のこと」などは説明になります。

時間軸だけの話ではなく、事実を客観的に書く際にも説明が使われることがあります。

 

ドラクエの戦闘シーン。

「しろもじのこうげき。スライムに15のダメージ! スライムを倒した!」

これは説明ですよね。

「しろもじは剣を振りかぶると、それをスライムに叩きつけた。剣は腕力とそれ自体の重みも加わり、恐ろしい勢いでスライムに迫っていく。剣先がスライムに触れ地面ごとそれを叩き潰す。水風船が弾けるような音がして、一瞬でスライムは消し飛んだ」

これが描写になります。

 

説明は連続したシーンでは淡々と時間が進んでいく、もしくは止まっているように書かれます。

また突然時間が飛ぶこともあります。

「それから五年後」みたいな感じで、ポンと先へ進んだり、昔へ戻ったりできます。

 

一方で描写のスピードは書き方によって変化していきます。

スローモーションのようにゆっくりと進んだり、早回しのようにスピードが上がったりします。

このことから、普通は描写の方が地の文には適していると思われます。

 

個人的に説明は補足的に使うのが良いかと思います。

会話や描写で物語を綴っていき、そこを補う形で説明を入れていくという感じですね。

小説の冒頭からいきなり長い説明に入るものもあったりしますが、これはかなりレベルが高くないと難しいのではないかと思われます。

田中芳樹さんの『銀河英雄伝説』などは、かなり長い説明が入ったりしますのでご参考にしてみて下さい。

 

少し言い方を変えれば「説明とはカメラの枠外の出来事」「描写とはカメラフレーム内のこと」と言い換えることができるかもしれません。

一人称の小説の場合、地の文もある意味主人公による会話文(独白文)になりますが、この場合は「今目の前で起こっているシーン」は描写、「過去のことを思い出す回想シーン」は説明と分けることができますね。

 

深く意識して書くよりも、ある程度書いてから読み直すときにその辺りを考慮すると良いかと思います。

書くときに気をつけすぎると、文章の勢いを消してしまうこともあるからです。

読み返すときに映像化していくと、より分かりやすくなるんじゃないかな、と思います。

 

次ページでは「地の文ではどこまで書く? キャラの描写は?」という話をしましょう。