素人臭さを消す文章とは?【はじめての小説執筆09】

2019年1月15日小説講座はじめての小説執筆

本連載は「小説なんてほとんど書いたことがないけど、書いてみたいな」という方に向けての「足がかり」的な記事になります。
「面白い小説の作り方」「人気が出る方法」などではございません(何度も言いますが、それは私が聞きたい)。
あくまでも「こういうやり方はどうでしょうか?」と提案するものであり、お読みになられた方の何かしらのヒントになればと思います。

今回は「小説を書いてみたんだけど、なんだか素人っぽい(小説っぽくない)んだよなぁ」という方に向けた記事になります。

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大前提として「素人っぽい文章はダメなのか?」を考えてみる

自分の書いた小説を読み返してみると、売っている小説に比べてどこか陳腐な感じがする……。

それは恐らく、小説を書き始めたころに誰もが感じることではないかと思います。

しかし、昨今のいわゆる「Web小説」を読んでみると、そのような作品は数多く見つけることができますし、書籍化されたものであっても同様です。

「素人っぽい文章」にはいくつかパターンがあると思いますが、その多くは純文学・一般文芸に比べて「言い回しが平易である」というのが根底にあるのではないでしょうか。

主に一人称小説では、その主人公(視点キャラ)の主観で語られる文章で構成されるので、主人公の口調(思考)が砕ければ砕けるほど、平易な言い回しになるというは当たり前のことです。

簡単に言うとですね、上に書いたように硬い文章じゃなくって、こんな感じでかる〜く書いてるような文章だと、読みやすいんだけどちょっと素人っぽいかなってことだよね。

ちょっとおふざけが過ぎましたが、そんな感じで地の文が緩い(≒読者に近い)文章は、どこか軽さを感じるので「素人臭いな」と思わせる原因になるのではないかと、私は思います。

では、そのような文章がダメなのか? 

私はそうは思いません。あくまでも対象の読者が誰であるのかによると思います。比較的低年齢向けの小説であれば、敢えてそのような書き方をするのも良いでしょう。

ただ小説全体の文体の統一は図るべきでしょう。かなり砕けた口調で話すキャラクタが主人公なのに、地の文は硬い文章、というのでは違和感が出てしまいますし、逆も同じです(そのギャップを面白さに繋げたいときは別ですが)。

それらを踏まえた上で「それでも、もうちょっとプロっぽい文章にしたい」という場合のことを、いくつかのパターンで見ていきましょう。

一人称視点で地の文の語り

一人称視点の小説とは、あるキャラクタの視点で語られる小説のことです。

この一人称視点では、キャラクタの独白が地の文となるため、三人称視点よりも書きやすいというメリットがあります。また、キャラクタの心情を書くことができるので、(場合にもよりますが)より早くキャラクタに感情移入してもらえるというのも利点であると思われます。

しかし一方で「地の文での説明がやりにくい」という欠点もあります。よくあるのが「俺の名前はしろもじ。しがないサラリーマンだ」みたいな書き出し。

これに関しては、良い悪いは言い切れない部分があります(すでにテンプレ化してて、ある意味それでサラッと済ませてしまう方が読者的にも負担が少ない感じがします)。

ただ、キャラクタ視点で書くわけですから、例えば設定などを語る際にはやや難しい面があるのも確かです。

例えば

人工知能が世界を支配したのが十年ほど前のことだった。知性を持ったAIが人類に降伏を迫ったのだ。各国の首脳はそれを受け入れることはできず……

みたいな文章は、キャラクタが軽い性格だったりすると、ちょっと違和感を覚えてしまいますよね。渋めのハードボイルドキャラなら、なんとかなりそうな気もしますが。

自分も色々やってみたんですけど、やはり地の文で長い説明をしようとすると、どうしてもキャラクタが重い感じになるのは仕方がないところ。

こういう場合の解決方法は「設定を語る場合は、他のキャラクターに語らせる」というのが最も簡単ではないかと思います。

「しろもじくん、あなた何も知らないのね」

「えっ、どういうことですか?」

「分からないのなら教えてあげる。十年ほど前のことね。知性を持ったAIが突然暴走して、人類に降伏を迫ったのよ」

強引にやるとこんな感じでしょうか。

もう少しやんわりとやるのなら、少しずつ小出しにしていくとか、それを説明するためのストーリーを入れるとかすれば、スムーズにはなると思います。やりすぎると冗長になってしまい、いつまで経っても話が進まなくなってしまいますので(自分もよくやります)気をつけたいところです。

同じ言い回しを連続して使ってしまう

最初に例を見てみましょう。

僕は机の上のカップを手に取った。それをじっくりと眺めた。細い繊細そうな取っ手を見て、とても高そうなカップだなと思った。壊しちゃいけないと思ってそっと机の上に戻した。

この場合だと文章の終わりが常に「……た」で終わっています。このように同じような言い回しを連続で使うと、文章が単調になってしまいます。

僕は机の上のカップを手に取る。それをじっくりと眺めた。細い繊細そうな取っ手を見て「とても高そうなカップだな、壊しちゃいけない」と思って机の上にそっと戻した。

私がよく使うのが、最初の「取る」「眺めた」のように、語尾を変化させる方法です。無意識の内にやっている方も多いんじゃないかなと思います。これらは書くときにはあまり意識しないで、読み返したときに違和感を感じたとき、直しています。それほど文章を変えなくても良いので、簡単に修正を行うことができます。

ただ、多少でしたらさほどおかしくはないとも思いますし、敢えてこのような書き方をすることもあるでしょう。

長い文章で、入れ子の構造がおかしくなってしまう

一文の長さは、小説のテンポにも影響を与えます。短い文章で構成していくと、比較的テンポは良くなりますし、逆に長い文章で構成するとゆったりとしたテンポになります。

また、それらを組み合わせることで、文章の緩急をつけることもできますよね。

どこまでが長く、どこからが短いのかは難しいところですが、おおよそ20字までは短い、25字から40字辺りまでがやや短め、40字から60字辺りが標準、それを超えてくると長い文章と言えるのではないでしょうか。

上で出した例文

僕は机の上のカップを手に取る。それをじっくりと眺めた。細い繊細そうな取っ手を見て「とても高そうなカップだな、壊しちゃいけない」と思って机の上にそっと戻した。

これは14文字、11文字、47文字で構成されています(句読点やカギカッコは除く)。

文章は長くなればなるほど、その構成が複雑になりがちです。

夕日を見るたびに僕は高校時代に部活で知り合いになった彼女のことを思い出すのだが、おかしなことにあのとき彼女が言ったことだけは社会人になった今でも理解できないでいる。

社会人になった今でも夕日を見るたびに思い出すのだが、僕が高校時代に部活で知り合いになった彼女の言ったことをおかしなことに理解できないでいる。

2つの文は同じことを書いているわけですが、明らかに下の文章はおかしいですよね。

これは上の文では「彼女」の説明が最初にきて(高校時代に部活で知り合いになった)「だが」で文章が一旦切られ、後半へ続いているのですが、下の文章では「僕が〜理解できないでいる」の中に「彼女」の説明が入ってくるので、文章がややこしくなっています。

こういう場合、一番簡単な方法は「文を短く切る」ことです。上記のように「だが」や「しかし」などで切ってもいいですし、いっそ句点(。)で文章自体を切ってしまっても良いと思います。

社会人になった今でも夕日を見るたびに思い出す。高校時代に部活で知り合いになった彼女。おかしなことに彼女が言ったことを僕は理解できないでいる。

どうしても長い文章で構成したい場合は、時系列順に並べていくと良いかと思います。ここで言う時系列とは「起こった順番」ではなく「起こったことをまとめて書く」ということですね。

下の例文がおかしいのは「高校時代」と「理解できない」が同時に起こっていることではないのに、ひとつの文章にまとまっているからです(句点などで区切られてもいない)。

この辺りは「これが正解です」というものがないので難しいところです。

少し時間を置いて、何度か読み返してみると(音読がおすすめ)何か引っかかる箇所が見えてくるかと思います。その場合は、文章を入れ替えたり切ったりしてスムーズに読めるようにすることで、より読みやすい文章になるかと思います。

擬音など

まぁ最近はあまり見かけなくなりましたが、いわゆる擬音はあまり使わない方が良いことも多いようです。

例えば「ドカーンという音が」とか「パンパンという音が」とか。

個人的には別に使っても良いとは思うんですけどね。漫画などに慣れ親しんだ世代にとっては、擬音は身近な存在です。今でも漫画では「ドン!」とか「バン!」とか「ドコーン!」とか使っていますからね。

この辺りは使い所かな、とも思います。

俺は魔法を放った。ドカーンという音が響き、辺りが炎に包まれる。

このような使い方は、やはり稚拙に見えてしまいます。まぁ、あまり見かけなくなっていますけどね。

これらも作風に依る部分が大きいので、シリアスな展開ではあまり多用しない方が良いのではないかと思います。

解決方法としては比喩を使うのが良いのではないでしょうか。

俺は魔法を放った。耳をつんざくほどの音が鳴り響き、辺りが炎に包まれる。

俺は魔法を放った。悪魔が吠えるかのような音が鳴り響き、辺りが炎に包まれる。

もしくは、他のキャラクタの動作を入れて、音の大きさを表現しても良いかもしれません。

俺は魔法を放った。大きな音が鳴り響き、思わず◯◯が両手で耳をふさぐ。辺りが炎に包まれた。

単語の選び方

剣と魔法のファンタジー小説に、いきなり「フラッシュライトのような光」という表現が出てくると、違和感があります。「主人公は転生した高校生」みたいな一人称小説であれば、一応間違いではないとも言えますが、それでも折角の舞台を台無しにしてしまいかねません。

ただ、こんな感じで、噛み合わない会話を演出するのには良いとは思います。

「魔晶石は、こんな小さな一粒でも、すごいエネルギーを発することでできるんですよ!」

「へぇ、凄いな。原子力発電みたいなものか?」

「へ? ゲンシリョク……? なんですか、それは」

「いや、なんでもないよ」

また、昨年あたりに流行った(のか?)「USBジャック」みたいに「おかしくはないのだけれど、普通そういう言い方しないよね」みたいな単語は気をつけるべきでしょう。

これは自分がよく知らない分野の小説を書くときに、やってしまいそうですよね。

AIものとか、近未来ものとか、テクノロジー系に多そうです。

こういう場合の対策は「そもそも詳しいことは書かない」というのも手です。

聞きかじった専門用語をバンバン書いていくと、知らないことまで書かなければいけなくなってしまいます。いわゆる墓穴を掘る、ということですね。私もよくやります(笑)。

海外ドラマや映画を見ているとよく分かるのですが、凄く専門的な知識で描かれている作品がある一方で「なんだかよく分からないけど、そういうもんだ」って感じで軽く書かれているものもあります。

前者は『スター・トレック』シリーズや、『マトリックス』(はギリギリ)みたいな作品ですね。後者は『ターミネーター』や『パシフィック・リム』みたいな作品。

ターミネーターは設定上「未来から来たアンドロイド」ってことになっていますが、詳しい解説なんてありませんよね(修理したりするシーンはありますが。裏設定なんかはあるのかもしれません)。

だから、どこに面白さを置くのかということで、ストーリー重視でいくのであれば、敢えて詳しいことは記述しないというのも手であると言えます。

中途半端に書くと、凄く後悔します(体験談)。例えばAIものなんかで、ある技術だけそれなりに詳しいので書いてみたと言う場合。読者にしてみれば「小説の面白さ+AIの技術を学べる小説だ」という認識ができてしまうので、作品全体のハードルが上がってしまうことになりそうです。

また、先程お話したこととやや矛盾するかもしれませんが「日常会話などでは使わない、難しい言葉を使ってしまう」というのも、素人臭さを増長してしまうかもしれません。

「刹那」「首肯」「咀嚼」「慟哭」「暫く」「云う」など……。

これらを使うことが悪いと言っているわけではありません。実際、私も使っていますし(笑)。

ただ、作品の雰囲気によって使い分けるべきだということですね。

こだわりがあって使うのであれば、良いとは思いますが「PCで変換してみたら凄そうだから使ってみた」というのは止めた方がいいかなぁと思ったりします。

ごく個人的な意見ですが、ほんわかのんびりしていた小説に「俺は首肯した」って出てくると、違和感を感じるんですよね。

漢字をどこまで開くのか(ひらがなにするのか)というのも難しいところですが、あまりに開きすぎると読みにくいですし、かと言って漢字ばかりだと逆に詰まっている漢字がしてこれまた読みにくいものです。

一般的には「漢字:ひらがな=3:7」とか言われることが多いと思いますが、敢えて漢字多めで固い印象を出したり、またひらがなで記述しておいて、突然難しい漢字を使ってテンポを出すというのもひとつの手法ではあるとも思います。

要は、その辺りを意識してやっているのであればOKですってことですね。

まとめ

色々書きましたが、結局のところ小説は自由です。

自分がこだわってやっているのであれば、どのようなやり方もしてはいけないということはないと思います。

個人的には「ストーリーを見てもらうために、文章で引っかからないようにする」程度が最も良いのではないかと思っています。そのために有効なのが、文中でも書きましたが「何度か読み返してみる」というものです。ある程度の時間は空けた方が良いと思います。書いた直後は、よく分からないんですよね。

文章はあくまでも文章です。文章の上手さ=小説の面白さならば、小説はそこまで難しいものではありません。最終的には「話の面白さ」が大切であって、それを見てもらうための文章です。

まぁ、その「話の面白さを考える」のが一番難しく、一番やっかいで、一番面白いんですけどね(できるとは言ってない)。

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