過程を公開しながら小説を書く【第4回:キャラクタについて考える②】

2019年7月11日小説LABO創作公開,小説執筆

本記事は「小説を1本書いていく過程を公開する」というものになり、今回は4回目になります。

これまでの過程は以下になります。

これまでに決まったことは

  • 舞台は現代、ジャンルはラブコメ
  • 物語の流れは王道の「シンデレラ曲線」に則ったものにする
  • 最もウリにするべきは「コメディ要素」
  • 主人公は不本意ながら同棲生活を強いられる高校生
  • 二人は同じ中学だったが、ほとんど面識はない(お互いに興味がない)
  • 「興味がない」→「お互いに苦手なところがあり少し関係が悪化する」→「互いの良いところを認識して、徐々に惹かれていく」→「他の異性との関係で誤解が生じ、二人の仲が悪化する」→「誤解が解けハッピーエンド」
  • 主人公は高校一年生の男の子「新田圭太」ヒロインは「山手琴美」
  • 性格は「圭太:真面目・考え過ぎ・暗い・内向的」「琴美:大雑把・前向き・明るい・社交的」と正反対に
  • 登場人物はメインが六人

という感じでした。

で、前回のラストで「キャラクタのイメージ作りのためのストーリーを考える」と書いたのですが、これがなかなか難航しております。

と言うのも、頭が暇な時(つまり移動中とか家事してる時とか)に色々考えたりはしているんですけど、それを文章にするというのは今回初めてのことで、なかなか「頭の中で想像する→書く」という行程が取れにくいんですよね。「こういう時こそポメラだろ」とも思うんですが、いつもポメラを携帯しているわけでもないし。スマホでフリック入力がもっと早くなれば、解決しそうなのですが……練習しないと駄目かなぁ。

それでもいくつかは文章に落とし込んでみましたので、それを公開しつつ少し設定を詰められた部分もご紹介したいと思います。

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メインキャラクタのイメージストーリー

まず最初にお断りしておきますが、あくまでも「キャラクタのイメージを固めるためのお話」であって「面白さ」は二の次になっております。やり方としては「ある舞台(部屋の中とか学校とか)にキャラクタを配置して、彼らのやり取りを取り留めなく書いていく」という方法で、それを繰り返しながら「こんなイメージかなぁ」と探っていくような感じです。

なので、実際の小説を書く際のキャラクタとは若干異なる可能性があります。またストーリーを書きながら、キャラクタ同士の関係とか設定とかも考えたりしているので、ストーリーごとで食い違う場面もあるかもしれません。

という感じで、一応予防線を張ったところで本編にいきましょう(笑)。

第1回ではテキストファイル形式でアップロードしていたのですが、どうもiPhoneなどだと文字化けするみたいなので、今回からは直で書き込むことにします。ちょっと長くなりますがご容赦下さい。

まず主人公である新田圭太とヒロインの山手琴美のやりとりからです。物語は高校一年の入学直前からスタートとなる予定で、その頃の二人は「両親同士の付き合いがある幼馴染だが、最近はすっかり疎遠になっており、ちょっと気まずい関係」という感じです。

幼馴染設定は使いすぎなのでどうかとも思ったのですが、二人が(意図せぬ)同居生活を送るという話ですので、全く知らない人同士だとちょっと厳しいかな、と思いやむを得ず。

そこから少し進んで「恋人未満友達以上」くらいになった辺りを想定して書いてみました。

【圭太・琴美の冬休み】

圭太と琴美は琴美の家のコタツに入っている。
圭太は本を読み、琴美はテレビを見ている。
「圭ちゃーん。暇だよぉ、どこか遊びに行こうよぉ」
「却下」
「即答!? なんでよ?」
「だって外は寒いし、そもそも面倒くさいし」
「そりゃ冬だもん、寒いに決まっているじゃない」
「だろ? だからこうやって温かいコタツで過ごすのが正しい冬の過ごし方」
「じゃあ圭ちゃんは冬の間ずっとそうしてるつもり?」
「俺だって必要なときは動くぞ」
「例えば?」
「そりゃ……まぁ……コンビニに行くとか?」
「あっ! それいい!! コンビニ行こ。なんかね《友達》が言ってたんだけど、新作の肉まんが出てるんだって!」
「……肉まん……か」
「おっ? ちょっと興味が湧いてきた?」
「……うーん……まぁ……行くか」
「やった! じゃ、気の変わらない内に行こう!」
「へいへい……って、ちょっと待て」
「ん?」
「その格好で行くつもりか?」
「へ? 駄目?」
「いや、駄目って言うか……それ中学のときのジャージだろ?」
「へへ、物持ちいいでしょ?」
「まぁそりゃそうだけど。でもジャージはないだろ」
「そうかな? コンビニ行くだけだしいいんじゃない?」
「いやでも、ほら、誰かに会ったら――」
「会ったら?」
「……いや、何でもない」
「うん。じゃ行こう!」
「いやいや、どうしてボールを抱えて出ていこうとしてるんだ?」
「あー……あはは。帰りにちょっと河川敷で練習でも……とか?」
「誰と?」
「そりゃまぁ……圭ちゃんと?」
「しません」
「えー、いいじゃんいいじゃん! たまには付き合ってよぉ」
「やだよ。寒しい」
「やってる内に温まるって」
「コタツの方が温まる」
「なんかさっきから圭ちゃん、否定してばっかだ……」
「あ……」
「圭ちゃん変わったなぁ。昔はそんなんじゃなかったと思うんだけどなぁ」
「いや。俺は昔からこうだぞ……って分かった分かった。ちょっとだけだぞ。だから泣くな」
「いいの!?」
「って、琴美。ウソ泣きかよ」
「へへ。ウソ……じゃないけどね」


『いらっしゃいませー』(コンビニにて)


「おほー、あったあった! これだよ、圭ちゃん。凄い……普通の二倍はあるよ、この肉まん」
「でかいな」
「でかいねぇ」
「……ってか、高っ。一個三百円もするじゃないか、これ」
「ほんとだ……」
「二個で六百円……我が家の一食分を超えてるぞ」


『どうされますか?』


「あ、いや。やっぱ――」
「ちょっと待って下さいね!」
「いや、琴美。流石に六百円は高すぎるって」
「うーーん……あっ、そうだ! なら半分個しよ。それならいいでしょ?」
「うーん……まぁ、それなら」
「やった! すみませーん。この極上お肉ゴロゴロ肉まんひとつ下さい!」

地の文はキャラクタのイメージには不要なので書いていません。

どうかなぁ……。ヒロインの琴美はとにかく明るくて元気な子。圭太は「暗い」という設定を考えていたんですが、書いている内に暗いっていうのも違う気がしてきました。どこか冷めているという感じかな? 

更に他の話も書いてみました。

【琴美と友人の放課後】

「それじゃ、お疲れー! また明日ね」
「あ、琴美さん。一緒に帰りましょう」
「あ、え……ええっと、でも◯◯ちゃんの家ってウチと逆じゃなかったっけ?」
「だって、琴美さんの家の方って結構寂しいところじゃない? 危ないし」
「いや、それなら◯◯ちゃんも危ないと思うんだけど……私送っていった後、一人で帰らなきゃだし」
「私が誰かに襲われたりすると思う?」
「あー……そう言えば◯◯ちゃんの家って」
「そう。◯◯流古武術総本山」
「あはは、それなら確かに心配は要らなそうだけど……でも◯◯ちゃん、なんでサッカーなんてやってるの?」
「それは、その……色々あるのよ」
「ふーん……でも、やっぱり大丈夫だよ」
「えっ……」
「新田くんが送ってくれるって言ってるから」
「ではあの噂は本当なの?」
「あの噂?」
「琴美さんと新田さんが付き合っているって噂」
「……えっ!?」

これは物語の始めの頃の話(だと思う)です。ヒロイン琴美の部活は色々悩んで今は「女子サッカー」になりました。珍しいけどありますよね、女子サッカー部(?)。ネットで最近はどんな部活が流行っているのか検索してみたんですが「陸上部」「吹奏楽部」「バドミントン部」「バスケ部」なんかはちょっと定番過ぎますし。

まぁ部活は今回の話ではメインではないので、より活動的なイメージとしてサッカーに仮置きしています。

上記の話はその部活仲間とのやり取りですね。名前はまだありません……。

いつも私が小説を書くときは「新しいキャラクタが登場した(思いついた)ら、すぐに名前を考える」というふうにしているのですが、それだと書いてる手が止まるという問題があるんですよね。ネットなんかで名前を検索したり調べたりしている内に「あれ、どんな話だったっけ?」みたいになってしまうんですよ(ありますよね?)。

うろ覚えなんですが、かのスティーブン・キング氏も「名称は後回しでいい。書くときには書け」みたいなことを言っていた気がします。なので、今回からは名前系は後回しにしています。

このお友達は文面から分かる……かな? 琴美のことが好きだったりします。そうです百合です。百合苦手なんですが。以前カクヨムの企画でそれっぽいのを書いたんですが、改めて「お前は百合の何が大切なのか分かっていない」ということがよく分かりました(笑)。

まぁ、勉強ということで今回はその要素も入れてみようかな、と思っています(百合は勉強するものなのか、疑問ですけど)。

ただ最終的には圭太に惹かれていく予定です。

次行ってみましょう。

【圭太と歩夢の出会い】

高校の図書室。放課後。
圭太は本棚の前で本を探している。
どこからか視線を感じている圭太。
振り返ると図書委員の生徒がカウンターで本を読んでいる。
(気のせいか……)
自意識過剰な自分を反省しながら書架から本を一冊抜き出す。
本の隙間からじーっと自分を見つめる瞳。
「うわっ!」
圭太は思わず声を上げる。
「お静かに」
図書委員にたしなめられる。
「すみません」
謝りつつ恐る恐るもう一度本の間を見る。だが、そこには誰もいない。
(気のせい……だったのかな?)
「ちょっといい?」
突然背後から声を掛けられて、思わず「ひっ!」と声を上げる圭太。
振り返るとムッとしている図書委員。
(あれ……?)
誰に声を掛けられたのか不思議に思っている圭太にやや下側から
「どこ見てんのよ、ここよ」
という声。
少し視線を下にずらすとそこには小さな女の子(圭太が175cmくらいとして、145cmくらい)。
黒いツヤツヤのセミロングの髪。前髪はパッツンでお人形のよう。
「どうしたのかな? もしかして迷子?」
「……」
女の子はムッとした顔で、圭太のスネを思いっきり蹴る。
「痛っ!!」
再び図書委員がキッと睨む。歩夢は圭太を連れて図書室を出る。
廊下にて。
「誰が迷子よ。私を幼女呼ばわりしないでくれる? 新田圭太」
「あれ、なんで俺の名前を?」
「私はここの生徒。一年三組の三木歩夢」
「三組……?」
「そう、あなたの彼女さんの山手さんと同じクラス。あなた時々山手さんに会いに教室に来てたでしょ」
「あー、そのとき俺を見たってわけか……って、琴美は彼女なんかじゃないし!」
「あらあら、こ・と・み、だなんて下の名前で呼ぶのに?」
「うっ……それは琴美とは小さい頃からの幼名馴染みだから……」
「そう言えば山手さんも『圭ちゃん圭ちゃん』って言ってたものね」
「いやだからそれは――」
「まぁいいわ。そんなことはどうでもいいの」
「……で、俺に何の用?」
「あなたよくココに来ているでしょう?」
「ココ? あぁ図書室のこと?」
「そう。本、好きなの?」
「あー、うん。まぁ好きなのかな」
「自分で買ったりするの?」
「前はときどき。今は……お金があんまりないから、ここで読むのがメインかな」
「ふーん? 自分で書いたりはしないの?」
「書いたり? 本を?」
「そうね。小説とか」

こちらは当初から登場予定だった「三木歩夢(みきあゆむ)」という女の子です。元々は「琴美の友達」という設定だったんですが、ちょっと考えて圭太の方にくっつけることにしました。

歩夢関連でもうひとつ。

【圭太と歩夢の部室でのやり取り】

(歩夢が圭太にツンケンした態度を取って)
「なんだよ、三木。随分冷たいじゃないか」
「あら、もしかしてもっと優しくして欲しいの?」
「いや、そういうわけじゃないけど」
「名前で呼んであげましょうか? け・い・ちゃ・ん」
「ちょっ、おまっ」
「あはは、随分慌ててるわね。新田くんって結構ウブなの?」
「いや、ウブって……」
「ま、圭ちゃんは冗談だけど……別に名前で呼ぶのは……いやじゃないけど……」
「名前?」
「圭太くん……とか……?」
「うわ、三木のキャラに合わないぞ、それ。別にいいよ、新田のままで」
「そう……」
少し寂しそうな歩夢。

歩夢は圭太たちと同じ一年生。先輩たちが卒業して廃部になった「文芸部」を復活させようと圭太を無理やり入部させます。

若干上に出てきた琴美の部活仲間とキャラが被っている気もしないではないのですが、部活仲間は基本的に「お淑やかだけど案外ポンコツ」なキャラで、歩夢は「クールで本性を出さない子」の予定です。「本性を出さない≒本音をあまり言わない」という点で、圭太と似た性格にしようかなと。

それは圭太自身の悩みでもあるわけで「近くにいる似た人を見て、我が身を知る」みたいな展開にならないかなー、とか考えています(ならないかもしれない)。

ちょい少ないのですが、ここまでで考えたイメージストーリーはこれだけです。

男の子が主人公でメインに読んで欲しい層も男性なので、ハーレム的な展開はやっぱ要るかなぁということで、部活仲間(名前未設定)と歩夢が登場しています。ただし1本分(=12万字程度)で全てを入れてしまうと流石に一杯一杯なので、今回の話では「メインは圭太と琴美がすれ違ったあと、より仲良くなる」のをメインにして、それ以外の女の子は「それっぽい話をうっすらと書く」程度になると思います。

残りの二人のキャラクタはまだ未定なのですが、定番通りに行くとすれば「もうひとりの女の子」と「主人公が唯一仲がいい男友達」となりそうですねぇ。でもちょっとテンプレすぎるかな?

という感じで、今回はおしまいです。

ストーリーの性質上、キャラクタの魅力は最も大切な要素だと思いますので、もう何本かストーリーを作りながら入念に練っていきたいなと思います。

と言うのも、これまでカクヨムや小説家になろうに投稿した小説って「まずストーリーありき」で作ったものが多かったんですよね。だからどうしても「ストーリーを曲げないためのキャラクタ」になってしまうこともあったりして、個人的にはそこが悩みどころでした。

キャラがバシッと決まれば、後は箱庭的な作り方でもなんとかなるんじゃないかなぁ……とか甘いことを考えつつ、終わりにしたいと思います。

駄文を最後までお読みいただきありがとうございました!