過程を公開しながら小説を書く【第5回:何を書きたい小説なのかを考える】
本連載は「小説を1本書いていく過程を赤裸々に公開する」というもので、今回は5回目になります。前回までの記事は以下のリンクからお読み頂けます。
一応確認ですが、本記事は「これを読めば小説を書けるようになる」という、いわゆる指南本の類ではなく、あくまでも「こんなことを考えて、こんなふうに書いていっています」という一例ですので、正しい使い方としてはこれをお読みになり「それは違うんじゃないか」とか「私ならこうするけどな」と気付きのきっかけになればと思っています(もしくはこれ自体がひとつの創作だと思っていただければ、それはそれでいいのかもしれません)。
さて前回までのおさらいを箇条書きにしてみましょう。
- 舞台は現代、ジャンルはラブコメ
- 最も売りにしたいのは「コメディ要素」
- キャラをしっかり固めるために、イメージストーリーを書く
- 主人公は高校一年生の新田圭太、ヒロインは同学年の山手琴美
- 性格は「圭太:真面目・考え過ぎ・暗い・内向的」「琴美:大雑把・前向き・明るい・社交的」と正反対に
- 高校進学と共に一人暮らしを始めた圭太の元に、琴美が転がり込んできて同棲生活をする羽目になる
- 登場人物はメイン六人
ざっくり言うとこんな感じ。
今まで書いてきた小説で一番問題だった(と自分で思っている)のが「何を書いた小説なのかがブレる」というもの。
特に長編(10万字以上)かつ「プロットなしであるイメージから書き出す」場合にそれが顕著でした。
なので、今回はその辺りをしっかり決めておきたいところ。「何を書いた」は言い換えれば「何を売りにしているのか」ということですよね。
「何が売りの小説なのか?」
例えばカクヨムに投稿した『管理官と王女様』では元々「選挙戦の面白さ」を書きたかったんですよね。でも途中で「王女様を護るカタブツの主人公っていいんじゃない」という要素も入れてみたくなったんですよ。で「転生ものにして主人公は警察官にして……」とやっているうちに、選挙に行く前に物語の大半を消費してしまうという事態に。
『きみとぼくのダンジョン再建記』では「再建もの」を書きたかったんです。何度も書いていますが、即興で書いたものだったので「箱庭的小説」としてボロボロだったダンジョンが段々とよくなっていく過程を書いて行こうと思っていたんですが、思わず「後の伏線になるかも」と入れた要素(つまりヒロインがとある国の出身者であること)がメインになってしまい、話がどんどんズレていってしまいました。
そういう話の芯のようなものは
「何を書いた小説なのか」≒「何を売りにしている小説なのか」≒「小説のタイトルやキャッチ」
ともいえるので、読んで下さる方の期待を裏切らないという意味でも大切です。
上で「売りはコメディ」と書いたのですが、色々考えているうちに「それはやっぱり違うんじゃないか」と思うようになってきました。ラブコメの面白いところは「主人公とヒロイン(たち)がくっつきそうでくっつかない。あー、もう! どうなっちゃうんだよ! さっさとくっついちゃいなよ!!」というのが王道じゃないかな、と。
であれば、それを外してコメディを売りにするのはやはりどうかなと思ったわけです。今更ですが。
話をまとめますと「ハーレム要素を持った、ジレジレ系ラブコメ」が、今回の小説の柱となりそうです。かなり王道ど真ん中ですが(笑)。
「主人公の性格を変更」と登場人数の決定
それを踏まえた上で考えてみると「主人公の性格に問題があるんじゃないかなぁ」ということに気付きました。というか、前回のイメージストーリーを見直しているとモロにそうなんですが「全然暗くないし、内向的でもないじゃない」という感じなんですよね。
上で「ヒロイン(たち)」と書いたように、少しだけ「ハーレム的要素」は必要だと感じたんですよね。「くっつきそうでくっつかない」のが「ヒロイン以外の女の子の可能性も微レ存!」というのが入っている方が面白そうですもんね(微レ存ってもう言わないのかな)。
それに関連したことでは「どのくらいの人数のサブヒロインを登場させるのか?」ということで悩んでいるのですが、今まで書いていた「メイン六人」はちょっと多いかなぁと思ったり。主人公、主人公の友人(男)、ヒロインとなると、後三人のサブヒロインが登場することになります。
12,3万字で一応完結するわけですから、尺的なことを考えるとサブ三人は書ききれそうにありません。ということで、一旦「サブヒロインは二人」に仮置しておきます。本当は二人でも多いような気がするんですが。
そして主人公の性格は「暗い」のではなく「内向的である」という部分だけを残すことにしました。この内向的というのは「人付き合いが苦手」というよりは「人付き合いがあまり好きではない」という感じです。
積極的に他人に絡まない。実際にはそんなことはないのに、他人に興味がないふうを装う。それが主人公の持つ悩みで「自分は冷たいやつだ」と思い込んでいる。
その原因は主人公(圭太)が小学生のころに体験したある出来事(まだ決めていません)が原因となっており、それに琴美が絡んでいる。
小説の途中でそれが原因でヒロイン(琴美)が同棲生活を打ち切って家を出ていくことになる(琴美が怒って、ではなく自分が悪いと思って)。
最終的に誤解が解けてハッピーエンド。
という感じかな? と今のところは思っています。
またその圭太の性格を踏まえると、ヒロイン、友人、サブヒロインたちは「圭太から絡んでいくのではなく、彼女ら(彼)から絡んでいく、つまり巻き込まれ型が良さそうです。
次までに決めたいこと
さて、今回はこんな感じです。
凄く決まってきたような、何も決まってないような。会社会議のあるあるみたいな感じになってしまいました(笑)。
細かい部分は書いてみないと分からないことも多いのですが、書く前に決めておかないといけないこともあります。それは
- 小説のタイトル
- メインとなるイベント
- (この記事で書いた)主人公の過去
- 大まかな流れ
- 全キャラクタの名前と性格
- どこに投稿するのか?
ですね。四番目の「大まかな流れ」は今一生懸命考えているところです。前にお話したシンデレラ型を少し改良したものを考えています。
キャラクタの名前も友人以外は決まりました。後は前に書いたようなイメージストーリーを書きながら性格を練り上げていく……のが大変なんですけど、まぁやるしかないわけで。それの中に「主人公の過去」も入りますよね。
最後のは……うん、まぁまだそれを悩む時間じゃない。
一番の問題は……小説のタイトル。
これ、本当に苦手です。毎回禿げそうになるくらい悩みます。
前にも書いたかもしれませんが、私はいつも「小説を書いてある程度溜まったら、タイトルを決めて投稿を始める」というスタイルでやってきました。なのでタイトルはいつも後に決めていたんですよね。
それが「小説の芯がブレる原因」だとはいいませんが、ある意味要素にはなっている気はします。
だから今回はちゃんとタイトルを決めて、できればキャッチコピーも決めてから書きたいなぁと思ってるんですよ。
書き始めまでにはなんとか決めておいたいところです。
ディスカッション
コメント一覧
いいよ、いいよ、まだ書き始めてないんだから、どんどん設定変えちゃって!
ハーレムルートだったら、『恋の鞘あて』は外せません♡
しろもじ先生が書くお話なら、きっとコメディ的な要素はしっかりと出てくると思う♪
ところで『管理官と王女様』が、前書いてた選挙戦の話なのかぁ☆
鞘当てはガチですよね!
っていうか、今記事読み返してみたんですが、改めて「進んでそうで進んでない」という感じですね。
これはいかんざきです。
コメディ要素、大丈夫でしょうか? 本気で心配なんですが。
そうです。『管理官と王女様』が、選挙戦を書きたかったんです。
で、記事にも書いたように「主人公がヒロインを護る」みたいな要素を多めにしちゃったことと
「普通の学園ものだと面白くないよね」と転生しちゃったのが失敗の原因でした。
本当は「海外からの転校生」だったんですよ、フェリシアは。