ロボット・イン・ザ・ガーデン【小学館文庫|デボラ・インストール著】
小学館文庫から出版されている、デボラ・インストール著の「ロボット・イン・ザ・ガーデン」。
2016年のベルリン映画祭で「映画化したい一冊」に選ばれた、という帯に惹かれて買ってみました。
ある出来事をきっかけに、挫折を味わい仕事にも就かず、両親の残してくれた家でニートのように暮らす34歳の主人公「ベン」。
ニートなのに奥さんがいて、その奥さんはやり手の弁護士「エイミー」。ちょっと羨ましく思えてくる環境ながら、よくよく考えてみると、それはそれで辛いよなぁという二人の仲は、当然のように上手くいっておらず、喧嘩も絶えない日々。
そんな時、自宅の庭に転がり込んできた、壊れかけのレディオ……ならぬ人形ロボット「タング」。
表紙の絵にもあるように、四角い身体に四角い頭。手は蛇腹のホースのようなものでできていて、胸にあるフラップは事ある毎にパカっと開いてしまう。
そんなポンコツロボットのタングですが、これが憎めそうで憎めない、凄いギリギリを突いてくる可愛さ!
ベンとタングは、とある目的のために旅に出るのですが、事あるごとにタングのワガママに振り回されるベン……と思いきや、ベンはベンで「おいおい、大丈夫か?」という行動を取ったりしてて、ある意味とても「似た者同士」な二人(と敢えて言う)。
この物語には「異能力者のバトル」も「強大な悪の敵」も「人類が滅亡する危機」も「あっと驚くような大どんでん返し」も「巧妙に張り巡らされた伏線」も……
ありません。
物語は淡々と進み、ベンとタングのやり取りに「キャッキャウフフ」しているうちに、あっという間に終盤へと向かい、そこで少しだけ「そうなの!?」という展開が待っています。
ページを捲ると、いつまでもその世界にいたくなり、本を閉じるのが嫌になります。
読み終えると、ほっこりした気分になって、心が少し暖かくなった気がします。
そして、その後の続きが読めないことを、少し寂しく思ってしまいます。
ディスカッション
コメント一覧
ここ数年、カクヨムでしろもじ先生の作品を読んでる以外では、小説を読んでないですねえ。
その前によく読んでたのが、亡くなられた松智洋先生の作品と、『この素晴らしい世界に祝福を』(だったっけ?)に、『とらドラ!』の竹宮ゆゆこ先生の新作の『ゴールデンタイム』、それから、艦これのノベライズ作品を、いっぱい読んでいました。
『ロボット・イン・ザ・ガーデン』、面白そうですね。読んで見ようかしら♪
と思いつつも、時間がない★
正確に言うと、この小説を読むより先に、しなければならないことがたくさんある、ということです。
でも、小説を書こうと思ったら、色々な作品に触れることも大切ですよね?
うん、まあ、なんと言うか……。
がんばルビィ!
ここを始める前って、ちょっと読む方も止まっていたのでリハビリ的にこういう記事を書いたんですよね(いや、まだ書く予定ですが)。
『ロボット・イン・ザ・ガーデン』は続編も出ているんですが、そっちはなんか微妙でした。
読むと書くのバランスは難しいですよねぇ。
個人的には「書く優先」でいいとは思いますが、おっしゃられているように多少は触れることも大切かもしれませんね。