the four GAFA 四騎士が創り変えた世界【スコット・ギャロウェイ|東洋経済新報社】
こんばんは、しろもじです。
最近、小説よりも実用書を読むことが多くなってきました。
そろそろ小説も読まなくちゃな〜と、思いながらも、今回も実用書のレビューになります。
今回読んだ本は、こちら。
2018年7月27日発行。久々の出たばかりの本のレビューです(笑)。
GAFAとは?
GAFAという言葉は、恐らくほとんどの方が知っているか、聞いたことくらいはあるのではないでしょうか。
Google、Apple、Facebook、Amazonの頭文字を取った言葉ですね。
検索サービス、デジタル端末の販売、SNS、Eコマースと、一見それぞれの業態は別々に見えますが、共通して言えることは「プラットフォーマーである」ということです。
本書ではこの4つの企業を「ヨハネの黙示録」の四騎士になぞらえています。
四騎士とは
四騎士はそれぞれが、地上の四分の一の支配、そして剣と飢饉と死・獣により、地上の人間を殺す権威を与えられているとされる。
Wikipedia「ヨハネの黙示録の四騎士」より引用
とあるように、あまりいい意味ではありません。
前回レビューした『ジョナサン・アイブ 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー』や『ジェフ・ベゾス 果てなき野望-アマゾンを創った無敵の奇才経営者』のように、それらを賛美するような内容ではなく、完全に糾弾する内容になっています。
著者はニューヨーク大学スターン経営大学院教授であり、9つの企業を起業したアントレプレナーでもあります。
スコット・ギャロウェイ氏の言っていることは間違いではない……が
著者のスコット・ギャロウェイ氏は、本書の中で四騎士を「ペテン師」と呼んでいます。
あまり詳しく書くとネタバレになるので控えますが、著者がニューヨークタイムズの役員をしていたときに、Googleにこっぴどくやられたことが、詳細に書かれています。
しかし、実はAmazon>Google>Apple>Facebookの順にページを割いており、私はこの順番通りに怒りを感じているのではないかと思っています(笑)。
著者曰く「四騎士は他人の知的財産を盗み」「自らの権益として保護する」。
つまり、前述したようにプラットフォーマーとして情報などを集め、それを活用し、自らの収入に変えている。
そして、それは他社の参入を拒み、囲い込みが起こることで、より巨大に成長し手がつけられなくなる。
それを糾弾することは決して間違いではないと思うんですよね。
確かに「今からEコマース市場に打って出る」「検索サービスを立ち上げる」「魅力あるデバイスを提供する」「巨大なネットワークを構築する」ことは難しいでしょう。
ただ2つ反論することができます。
元の生活に戻れるのか?
まず、四騎士がこれほどまでに巨大に成長した理由。
それはユーザーにとっての「利便性」があったからに他なりません。
Amazon登場以前は「欲しい本を探して書店を駆けずり回り、休日が終わった」ということもありました。
Googleがなかったころは「知りたいことがあれば、図書館に行かなければいけなかった」わけです。
AppleがiPhoneを出す前は「小さな画面で、テキストオンリーのサイトをみることしかできない」ですし。
Facebookがなかったら「音信不通になっていた友達を探すこともできない」のだと思います。
これらはいずれも「なければないで、生きていけないわけではない」のですが、一度手にしてしまえば「もう手放せない」ものとも言えます。
恐らく、ほとんどの方はこの四騎士の内、ひとつかふたつ、もしくは全てを利用しているのではないでしょうか?
確かに巨大になっていくプラットフォームというのは、危険かもしれません。
しかし「CDをレンタルしてきて、カセットやMDに録音する」「知りたい情報は、本かTV、新聞だけ」「本屋さんに予約しておいて、後日改めて取りに行く」ということを、今更できるでしょうか?
こういう話をすると「そんなことはない。昔はやっていたんだから出来ないことはない」という人がいます。
では、そういう方は「洗濯機を捨てて、洗濯板で服を洗ったり」「かまどでご飯を炊いたり」「薪を割ってお風呂を沸かしたり」という生活をしているのでしょうか?
人間は、一度手にした便利さを、簡単には手放せないものです。
四騎士が「儲けすぎている」「独占しすぎている」というのは、また別の問題です。
EUのように四騎士に、定期的に制裁を与えているところもあります。
だから、それは法によって規制するなり、税の仕組みを変えるなりしていけばいいだけの話、だと私は思います。
まぁ、それが難しいのは確かなんですけどね。
四騎士とて永遠の存在ではない
この世の中に「永遠に続くものはない」というのは平家物語の時代から言われていることです。
『祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響あり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす』
世の中は動いてないように見えて、実は常に変化し続けている。どんなに栄えた者でも、いつかは衰退する。
GAFAとて、この理から逃れることはできません。
もちろん、私やあなたが生きているうち、と考えると四騎士のうち2つか3つくらいはまだ残っているかもしれません。
しかし、本書でも言われているように必ずNext GAFAは現れ、新しい時代になっていきます。
現にGAFA以前は四騎士どころか一騎士(Microsoft)でしたからね。
まとめ
今回は随分辛口のレビューになってしまいました。
しかし、以前から言っているように「読んでレビューは、おすすめしたくない本は取り上げない」のが方針です。
つまり、本書は完全におすすめできる1冊になっています。
先にも書きましたが、多少の「恨み節」はあるものの、著者の言っていることは間違っていません。
結局は「では、どうしたらいいのでしょうか?」という疑問も答えられていない、というだけです。
そして、それは正直誰にも分からないことです。
ひとつ言えるのは「いずれ、取って代わる者が現れる」ということだけ。
GAFA関連の本は、とかく賛美するものが多いのですが、それの反証として本書には一度目を通しておいて損はないと思います。
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