「カクヨム」が新たな取り組みを発表し、投稿小説の収益化などを検討していることが判明
カクヨム3周年記念選手権も終わり(まだ発表は残ってますが)新しい1年を刻もうとしている小説投稿サイト「カクヨム」ですが、本日付で「カクヨムの新たな取り組み」というお知らせを掲載し、その中で「投稿小説の収益化」について検討していると書いています。
カクヨムの新たな取り組み
カクヨムのお知らせページはこちらになります。
同ページでは、ここ1年間の閲覧数が急激に伸びており、昨年の年明けに比べ約2倍の伸びを示していることに触れられており、様々な施策が実を結びつつあるのではないかと書かれています。
確かに「3rd Annyversary SPECIAL」のページにある「三周年の歩み」を見るまでもなく、カクヨムは精力的に改善を行ってきました。
もちろん、まだまだ改善すべき点は多いでしょうし、読者、作者の全ての要望を反映させるのは困難だとは思います(と言うか、恐らく無理)。
その中で「出版以外の収益化」について考えているというのが判明したのが、今回のお知らせになります。
カクヨムのお知らせページには次のように記載されています。
これまで小説の執筆によって収益を得るには書籍を出版してその印税を受取るという方法が一般的で、書籍を出版できるかどうか、1か0かの世界だったと思います。今回の取り組みはこれまでの書籍化を否定するものではなく、1と0の間に新しい段階を設け、創作活動の間口を広げることで書籍についてもこれまで以上に拡大させ、創作活動全体を盛り上げていければと思っています。
カクヨムお知らせページより引用
収益化の方法としては二つの方法を模索しているとのことで「小説に広告を掲載」「読者がお金を払う」が検討に上がっているとのこと。
1番目の広告を掲載する方式は、一般的なウェブサイトでも実施されているものですよね。
Google Adsenseなどでは「1PV辺り0.2円〜0.5円辺り」が普通であると言われています(あくまでも一般的にはです)。
もちろん直接比較はできませんが、同水準として考えてみると
1,000PV | 5,000PV | 10,000PV | 100,000PV | 1,000,000PV | |
0.2円 | 200円 | 1,000円 | 2,000円 | 20,000円 | 200,000円 |
0.5円 | 500円 | 2,500円 | 5,000円 | 50,000円 | 500,000円 |
となります。
ただ、これはあくまでもGoogle Adsenseをベースにしていますので、もっと低くなる可能性は大でしょう。
またブログなどと異なるのは「月間のPVではなく、累計のPVで考える」点だと思います。
ブログなどのウェブサイトでは「月間PV」をベースにして考えますが、小説では「累計のPV」になるわけで、例えば1万PVの小説が受け取れる広告料は1度限りです(0.2円ならばトータルで2,000円)。
それでもいくらかの収入になるわけですから、創作者としてはモチベーションのひとつにはなりえると思われます。
2の方は現時点での電子書籍版に近い形であると思われます。
もしかすると「お布施形式」になるのかもしれませんね(つまり気に入った作品に後払いする方法)。
作者的にはこっちの方が心理的な負担もなく、また気楽に読んでもらえるのでいいのかも。
考えられる問題点
今回のカクヨムの取り組みは(現時点では検討段階とは言え)私としても大いに賛同するところです。
この方式が広まればカクヨムが言うように「書籍化だけが全てではない」ということにもなりそうです。
またカクヨムやKADOKAWAにしても書籍が売れない中「広告などの新たな収益の柱」を持つことになり、これはこれで良いことであると思われます。
一方で、考えられる問題点もいくつかあるでしょう。
今ざっと考えられるものだけを上げてみますが、まずは「今まで以上に個人の宣伝は苛烈になる」ことではないでしょうか?
特に広告方式の場合「見てもらえれば収益化」するとなれば「何をどうしても見てもらう」ことが最優先され、今まで以上に「読ませる方法」が模索されることになるでしょう。
SNSなどの宣伝であればさほど実害はないかもしれません。
でも私が前から危惧してた「読まれた場合、お返ししなくちゃいけないの?」問題は考えてみる必要がありそうです。
これは例えば自分の作品を読んで「感想・レビューなどをくれた人」に対し、どうしても「お返ししなくちゃいけないかな?」という心理状態が発生することを意味します。
「そんなのしなきゃいいじゃん!」と言えばそれまでなのですが、やはり読んでくれる人がいると嬉しいもので、その方が小説を投稿していればやはり読みに行くという行動を取ってしまいがちです。
これらが「PVの投合い」になってしまうと、折角の広告モデルが崩れてしまう可能性すらあります。
つまり「自分の作品を読んでもらうために、手当たり次第に他の小説に感想・レビューを行う」という手法が有効になってしまい、広告などがほとんどクリックされず単価が限りなく0に近づいていくということもあるかもしれません。
まぁその辺は私が心配しても仕方がないことですが(笑)。
いずれにしても、カクヨムの今回の発表は歓迎すべき素晴らしいものであるのは間違いありません。
実装はまだ先のようですが(今秋の予定とのこと)、続報を待ちつつ、まずは「小説でも書いて」おきましょう。
でも、これが成功したら他の投稿サイトは……。
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