iPhoneをQiなどの無線充電器に置きっぱなしにするのは、バッテリー的によくないのか?

2019年4月5日雑多記事Apple,iPhone

昨年iPhoneをXSに買い替えた際、無線給電のQi対応充電器を買いました。

スタンドタイプの充電器はとにかく便利で「置くだけで充電ができる」だけでなく「置いたままFace ID認証できるので、スタンドに置いたまま操作可能」という利便性もあります。

一方でふと「これって置きっぱなしにしておいても大丈夫なんだろうか?」という疑問が湧いてきました。

かねてよりの知識と、新たに調べ直した結果をお伝えしたいと思います。

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リチウムイオンバッテリーにメモリー効果はあるのか?

iPhoneなどのモバイルデバイスには「リチウムイオンバッテリー」が使われています。

一般的にリチウムインバッテリーは、メモリー効果の起こらないバッテリーとして知られています。

メモリー効果とは「継ぎ足し充電を繰り返すことで見た目の充電容量が減ってしまうこと」であり、かつて主流だったニッカド二次電池などで起こる現象です。

だから昔は「電池は時々使い切ってから充電」が常識でした(使い切ることで、真のバッテリー容量を再起認識させる)。

ところがリチウムイオンバッテリーでは、このメモリー効果が起こらないため継ぎ足し充電自体は全く問題ありません。

Appleのウェブサイトにも

Appleのリチウムイオンバッテリーは、いつでも好きな時に充電できます。再充電の前に電力を完全に使い切る必要はありません。またAppleのリチウムイオンバッテリーは、繰り返し充電して使えます。

なぜリチウムイオンバッテリーなのか?|Appleより引用

という記載があり、継ぎ足し充電が問題ないと説明されています。

では、バッテリーの寿命と充電回数はどういう関係になっているのでしょう?

バッテリー寿命≒総充電回数

リチウムイオンバッテリーの寿命は一般的に「500回の充電サイクル」と言われています。

この充電サイクルというのが分かりにくい言葉なのですが「充電した回数≠充電サイクル」ではありません。

バッテリー容量を100%としたときに「100%分の充電を使ったときに1サイクル」としてカウントされます(厳密にカウントされているわけではありません)。

つまり「100%から75%まで使って、再び100%まで充電」という使い方をした場合、4回充電すると1サイクルの充電をした(25%×4=100%)ということになります。

これが500サイクル行われると「製品の使用に問題が生じる可能性があるほど劣化する」ということのようです。

この「劣化」の定義が難しいのですが、Ankerのウェブサイトによると「おおよそ250サイクルの充電サイクルで約73%〜84%まで劣化する」というグラフが載っていますので、単純計算して「500サイクルで約45%から65%程度劣化する」といった辺りでしょうか。

本来持っているバッテリー容量から半減してしまうと、製品としての使用にも支障が出てくるわけですから、おおよそ合致していると思われます(例えばスマホであれば、一日使用できていたものが夕方にはバッテリー切れになる場合、支障が出てくると言えそうです)。

バッテリー寿命に悪影響を与えるもの

色々なメーカーのサイトを見て回ってみると、リチウムイオンバッテリーの寿命に悪影響を与えるものとして「温度」が挙げられています。

AppleのウェブサイトにはiPhone、iPadなどは「0℃〜35℃」、MacBookは「10℃〜35℃」の環境下での使用が推奨されています。

Appleウェブサイトより

つまり本体を極端に高い、もしくは低い温度の環境下に置くことは、バッテリーにとって寿命を縮める要因になると言えますね。

普通に使っていればこの温度帯を外すことは滅多にないと思われますが、例えば高温の車の中(特にダッシュボード上)などに放置するのは危険であるということです。

また、そうでない場合での本体の温度として「バッテリー充電中に熱くなるのでは?」という懸念があります。

「そう言えば、昔の機器って充電してたらバッテリー付近が熱くなってたよなぁ」ということを思い出しました。

そこで試しにiPhoneを約半日ほどQi充電器に置きっぱなしにしてみました。

結果としては、温度の上昇は全く見られませんでした。

再びAppleのサイトを見ると

Appleのリチウムイオンバッテリーは、バッテリー容量の80%までは高速充電し、その後、低速のトリクル充電に切り替わります。

Appleウェブサイトより引用

との記述がありました。

キーポイントはトリクル充電?

トリクル充電とは「充電を微細な電流に切り替え、自然放電した分を継ぎ足していく充電方法」のことです。

やや語彙力のない言い方をすれば「80%まではがーっと充電して、そこから100%まではチビチビ充電する」というものになります。

100%の状態でそのまま充電を続けていくと「過充電状態」になってしまうので、それを抑えるために少ない電流でちょっとずつ継ぎ足していくというわけですね。

これらは機器のチップによって制御されており、最近のスマホやデジタルガジェットではほぼ搭載されている機能のはずです。

さて、ここで充電サイクルの話に戻ります。

充電サイクルとは「100%の容量を使った回数」のことでした。

「99%→100%」の充電を100回行ったときと「50%→100%」を2回行ったときのサイクルは、どちらも1回で変わりません。

つまり充電しっぱなしで放置しても、充電サイクル自体が増えるというわけではないということです。

なので、充電機器に接続しっぱなし≒Qi充電器に置きっぱなしの状態は問題ないと言えます。

ただひとつだけ気になることもあります。

色々なメーカーサイトを見て回ると「長期保存」についての記述があります。

その中で「長期間リチウムイオンバッテリーを使用しないで保存する場合には、約半分ほど(もしくは2/3から半分ほど)の容量を充電して、半年ほどで充電し直す」との記述があります。

Panasonicのウェブサイトには

内蔵されているリチウムイオン電池は、通常の使用においては内部の制御システムで管理されているため、満充電や放電状態自体は全く気にする必要はありません。
しかしながら、長期間の満充電状態での放置では電池自体の化学反応が継続されることでの劣化、また放電状態での長期放置は内部の制御システムの不動作などで、過放電となり電池の劣化をまねきます。

Panasonicウェブサイトより引用

と記載されています。

ここで言う「長期保管」とは、機器をシャットダウンしての保存のことであり、例えばスマホのスリープ状態のように「わずかでも電力使用がある状態」とは異なります。

ただ、スマホなどは省電力化が進んでおり、スリープ状態の電力使用は少なくなっているものとも思えます。

で、結論は?

これらのことから

  • 充電しっ放しについては、それほど意識しないでもよい
  • ただし、長期間充電状態が続くというのも、あまり良くなさそう
  • よって「寝る前に充電器に繋いで放置」は問題なさそうだが「一日中充電器に繋ぐ」というのは問題がありそう
  • 使用しながらの充電もそれほど意識しなくてよいが、常時満充電は避ける方が良さそう

ということが言えるのではないでしょうか。

また、個人的な体験から言えば「過放電はかなり悪影響がある」と言えそうです。

使わなくなった古いスマホなどを久々に充電して使う際、あっという間にシャットダウンまで放電してしまうことがあります。

ここまで放電してしまうと、再充電を繰り返してもバッテリー容量が戻ることはありません(デバイスの使用電力にも依っていて、低電力で作動するデバイスであれば何とかなることも)。

ですので、しばらく使わないデバイスは「80%ほど充電して、シャットダウンしてから温度変化の少ない場所で保管し、定期的に充電し直す」というのが良いかと思われます。

最後にiPhoneでのバッテリーの劣化具合を調べる方法を書いておきます。

iPhoneでバッテリーの劣化を調べる方法

設定Appを開きます。

設定

「バッテリー」という項目があるので、それをタップ。

「バッテリーの状態」をタップしましょう。

「最大容量」と書かれているのが、新品のときを100%としたときの現在の容量になります。

私がiPhone XSを買ったのが2018年9月のことでしたから、約半年ほどで2%の劣化ということですね。

年4%とは行かないでしょうが、このペースであれば2年から3年ほどはさほど問題なく使用できそうです。

2019年7月追記】

本記事を書いてから更に数ヶ月経ちました。

上記の方法でiPhone XSのバッテリー状態を確認したところ、全く同じの98%を維持しています。

購入後のバッテリーの使い方としては「家でも会社でも50%を切った時点で充電可能な環境なら100%まで充電する」という使い方です。

特に家でQi充電器に置ける状態のとき(PCで小説やブログを書いたりしているとき)は、置きっぱなしにしています。