初めて「小説を書こうかな」と思っている方へ【はじめての小説執筆11】

小説LABOはじめての小説執筆

自称「小説を書く人を応援するサイト」であるTEXT FIELDでは、これまで「はじめての小説執筆」と題して、小説を書いたことがない方向けの記事をいくつか書いてきました。

私自身が「小説で生計を立てているプロ小説家」ではないので、あくまでも「小説を書きたいと思ったけど、何からしていいのかさっぱり分からん」という方向けに「小説を書く」という行為を分解して「こういうやり方もありかもですよ」という提案的な記事になります。

全10回の記事を書き終えて、ある程度一通りのことは書き終えたのではないかなぁと思っています。またもう少し具体的な小説の書き方として「過程を公開しながら小説を書く」というシリーズ記事も書いています。

今回は「はじめての小説講座」(一応)最後の記事として、総括的な記事を書いてみたいと思います。小説は漫画や音楽などと違って、パソコン、最低でも紙とペンさえあればほとんどの人が行うことができる創作活動です。

それ故に「何から始めたらいいのか分からない」とか「どういう準備をしたらいいのかな?」という疑問が沸いてくるのかもしれません。具体的な創作活動というよりは、そういう「創作前」のことについてあれこれ考えられればな、と思っています。

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小説創作のために「小説指南本」を読むべきか?

ここ数年、Web上の小説投稿サイトがどかっと増えてきました。

それに伴い「小説創作」という活動も注目を集めるようになってきた感があります。特に「小説家になろう」が有名になり始めた辺りから、その傾向は顕著になってきたように思われます。

そのせいか「小説の書き方」などを書いたいわゆる「小説指南本」も数多く登場しています。指南本ですから当然「小説はこうやって書くべし」ということが書かれているわけですが、それらは指南本によって内容が異なります。

結果として「どうしたらいいの?」ということになってしまいます。

例えば「DIYで机を作ろう!」と思ったとしましょう。机をどうやって作ればいいのか分からないのですが、なんとなく「天板と足が4本付いてたよな」ということくらいは分かります。

でも実際には天板に足を釘で打ち付けただけでは、机としては成立しません。もしかしたら天板にベニヤ板を使ってたわんでしまうかもしれませんし、足の固定が上手く行かずグラグラしてしまうかもしれません。

そこで本やWebで調べてみると、色々な机の作り方の方法が見つかりました。

高級な木材をふんだんに使用したオシャレな机。合板とカラーボックスを使ったコスパに優れた机。PCを使うのに適した机もありますし、家族でくつろげる大きなテーブルもあるでしょう。

構造にしても「これが正解!」というものはなく「足をどのように固定するのか?」「強度を持たせるにはどういうふうに筋交いを入れるのがいいのか?」とか色々な方法があります。

小説の指南本もこれと同じだと思います。ある程度の「How to」はあるものの方法は無限にあり、どれが正解であるとは言えないわけです。

なので、小説指南本は「ある程度は見た方がいいかもしれないが、たくさん読めばよいというものでもない」ということになります。

大切なのは「それを元にオリジナルの方法を探っていく」ことではないでしょうか。

小説指南本に限らず「自己啓発書」とか「ビジネス本」など色々な解説本を読んだとき、たいていの場合は「読んだときはなるほどと思ったけど、結局何も変わらなかった」ということがあるのではないでしょうか?

人間というのはPCとは違いインプット(読んだこと、知ったこと)を、正確にアウトプット(行動)できるとは限らない生き物です。

でもそれこそが創作だといえるのではないかな、と私は思っています。

試行錯誤、悩んだり苦しんだり。上手くいかなかったり失敗したり。その過程全てが創作なのではないでしょうか?

指南本の正しい使い方は「オリジナルを探すための土台」であると、私は思います。

小説創作のために小説を読むべきか?

これについては色々な意見があるとは思います。

それでも私は「読むべきだ」と思っています

小説以外の様々な分野。例えば料理が趣味の人がいたとしましょう。「料理がもっと上手くなりたい!」と言っています。でも「他の人の料理は食べたくない」とも言っています。

どう思いますか?

その道に精通していくためには、その道の先人を知ることは大切なことではないでしょうか? そういう意味で「小説は読んだ方がいい」と私は思います。

別にウンチクを語れるようになる必要はありません。「この調味料は○○年に誰々が考案した……」というような知識は、料理を作るのに不要とは言いませんが必須ではありませんよね。

「ん? なんかこの味いいな。何を使っているのかな?」というような探究心はあったほうがいいかもしれません。

そのためには色々なジャンルの本を読む、というのも大切な気がします。

ラーメンを作りたい場合にはラーメンを食べるべきです。でも時には和食を食べたりフレンチを食べたりすることで、何かヒントが生まれるかもしれません。

ラノベを書きたいのならラノベは読むべきでしょう。でも他のジャンルの本、例えば純文学や一般文芸、エッセイ、絵本などなど。他の本を読むことで見つかることもあるかもしれませんよね。

ただ、指南本もそうなのですが「必須だ」とか「しなくちゃならない」という義務感でやるのであれば、やめておいた方がいいです。

本来創作は(多くの人にとっては)楽しいものであるべきです。

それが変な義務感やノルマ的なことで、ストレスを感じるようになってしまっては本末転倒です。もし「小説を書いて投稿しても読まれない。それが悔しいし悲しい。もっと読んで欲しい。どうしたらもっと読んでもらえるようになるのだろうか? どうすればもっと面白い小説を書けるようになるんだろう?」というようなことを真剣に考え出すようになれば、自然とそういうことをしたくなるはずです。

そうなったときにやればいいだけ、だと私は思います。

きれいで読みやすい文章を書く技術は必要だろうか?

文章技術について、私はどうこういえる立場ではありません。

でも小説を書き始めたとき「読みやすい文章はどういうものだろう?」と考えたことがありました。自分で感じていたのは「自分はどうしても文章が回りくどくなる傾向があり、とても読みにくい文章になってしまう」という悩みを抱えていたんですよね。

色々考えてひとつ分かったことは「一文を短くすれば、文章は見やすくなる」ということです。

考えてみれば当たり前なのですが、長い文章になればなるほど構造は複雑になっていき、読み手の負担も増えていくことになります。

なので文章を短く切る。

長い文章は句点(。)で分割する。

それだけでも文章はグッと読みやすくなります。

例えばこの項の最初を長い文章にしてみると

文章技術について、私はどうこう言える立場ではないのですが、小説を書き始めたとき「読みやすい文章とはどういうものだろう?」と考えたことがありまして、そのとき感じていたのは「自分はどうしても文章が回りくどくなる傾向があり、とても読みにくい文章になってしまう」という悩みを抱えてて、いろいろ考えてひとつ分かったことは「一文を短くすれば、文章は見やすくなる」ということでした。

という感じで、ちょっと極端ですが読みにくいんじゃないかな、と思います。

ただ文章には緩急というものもあったりします。長い文章はゆったりとした、短い文章は速いテンポを印象づけます。

ですので、ある程度の書き分けは必要かもしれません。偉そうなことは決して言えないのですが、例えば「情景を描くようなシーンではある程度長い文章を、戦闘シーンのようにスピード感を出したい場合には短い文章を」というようなのがいいのかもしれませんね。

これらを学ぶために本などで学習するのもいいとは思いますが、最もいいかなと思うのは「書いた文章を後で音読してみる」というものです。音読と書きましたが声に出さなくても構いません。頭の中で音読すれば大丈夫です(声を出せる環境なら出した方が簡単ですが)。

自分で書いた文章を完全に客観的に読むのはとても難しいことですが、少しでも客観性を高めるためには

  • 環境を変える(デバイスを変える、読む場所を変えるなど)
  • 時間を置く(少なくとも日単位で)
  • インプット方法を変える

というものが個人的には有効かなぁと思っています。3番目の「インプット方法を変える」のが「声に出す」というものですね。目ではなく耳でインプットすることにより、少しだけ客観性を持てるようになる……気がします。

またあまりにもキレイな文章だけではなく、敢えて読みにくい文章にすることで読者のペースをコントロールする、というのもあるそうで。

この辺りはちょっと高度すぎて私も使えていないのですが、まぁ色々な書き方があるというわけです。

指南本のところでも書きましたが「これが正解」という真理のようなものは、文章においてはないと思います。言語自体が時代によって変わっていくものですから当然ですよね。

まとめ

個人的な経験からいうと「悩む前に書こう!」ということになります。

ひとつ小説を書いてみると「文章のおかしさ」だったり「構成の下手さ」だったり「キャラクタのブレ」だったりと、色々な問題点が出てきます。それらはそのとき気づくこともありますが、ある程度時間が経ってから理解できるものもあったりします。

そしてそれに気づいたからといって、次の小説が完璧になるという保証もありません。また同じことをやってしまうかもしれません。別の問題点が出てくるかもしれません。

でも、それも創作の面白さだと私は思います。

また、試行錯誤し「これはけっさくになるにちがいない!」と自信満々で投稿した小説が、ほとんど読まれなくて泣きそうになることもあるかもしれません(いや、ある)。

前にも書いたことですが、創作を始めたときは「書くことが楽しい!」となっていたのが、いつの間にか「読まれることが楽しい」にすり替わっていったりします。公募やコンテストに積極的に出したりしだすと今度は「受賞する喜び」を求めるようにもなってくるかもしれません。

創作のモチベーションは自分の中に持つべきです。

外(読まれること、PV、レビュー、コンテスト・公募の結果)にだけ求めると、それに心が左右されてしまいます。

長く、そして楽しい創作活動ができますように。