キャラクターについて考えてみよう2【はじめての小説執筆10】

2019年1月21日小説LABOはじめての小説執筆

本連載は「小説なんてほとんど書いたことがないけど、書いてみたいな」という方に向けての「足がかり」的な記事になります。
「面白い小説の作り方」「人気が出る方法」などではございません(何度も言いますが、それは私が聞きたい)。
あくまでも「こういうやり方はどうでしょうか?」と提案するものであり、お読みになられた方の何かしらのヒントになればと思います。

以前「キャラクターについて考えてみよう」という記事を書きました。

その記事では主に「キャラクターの作り方」という面から、色々なことを考えてみました。今回は「小説にキャラクターをどう登場させるか?」について考えてみましょう。

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冒頭に登場するキャラクタは主人公

まず、小説冒頭で一番最初に登場するキャラクタについてです。

これは必ず「主人公」である必要があると思います。一人称小説であれば「語り手=主人公」なので、必然的に主人公が描かれるはず……なのですが、ここには落とし穴があって「主人公目線からサブキャラを書いてしまう」という場合が存在します。

その場合でも読者的には「語り手=主人公」という認識は崩れませんが、読者としては「自分がこれから読む小説の主人公はどんな人なんだろう?」という思いがあります。

主人公のみの登場である必要はないのですが、主人公が描かれる前にサブキャラクターの説明が詳細に行われると、読者としては「何だかよく分からない視点」から小説を覗くことになり混乱しかねません。

私がよく他の方の小説を読んでいて「あれ?」と思う瞬間は「一人称小説で、いきなりヒロインの描写が始まってしまう」というものです。

ただ、そうは言っても冒頭で「主人公の説明」を延々とすれば良いというわけでもないですよね。

俺の名前はしろもじ。高校1年生で、成績は中の上。容姿は……性格は……生い立ちは……。

なんてやってしまうと、良くなさそうだというのは何となく分かりますよね。

「俺の名前はしろもじ。高校1年生だ」程度の書き始めは、最近ではすっかり定番化したとも言えるので、小説によっては許容範囲内ではないかと思います(面倒なやり取りなしに、一気に説明しちゃう手法とも言えます)。

少し小説っぽくしようと思ったら

「しろもじー、学校行くよー!」

 なんだよ、うるさいな……。後5分だけ……。

 「おーきーろー!」という声と同時に、ふかふかの布団が引っ剥がされる。

「何すんだよぉ、寒いじゃないか」

「あんたね。高校に進学してこの半年、あたしが毎日毎日毎日起こしてあげてるの、少しは感謝しなさいよ」

 寝ぼけ眼で見上げると、幼馴染の◯◯が立っていた。

みたいな感じにすると、同じ内容を独白ではない形で書くことができますね。

ただ、この後このヒロインについての描写が長すぎると「一体主人公は誰なの?」ということになってしまいます。

この場合であれば、ヒロインに主人公の説明をしてもらうとか

「しろもじって、ホント朝弱いよね。小さい頃からずっとそう。ほら、早く起きて。顔洗って、歯を磨く。ご飯できてるっておばさん言ってたから……ダメだよ。ちゃんとご飯は食べないと。ただでさえ、しろもじって痩せすぎなんだから」

こんな感じでしょうか。もしくはヒロインには一旦ご退場願って(「私、先行ってるからね」)主人公の描写を始めるか、そんなところでしょうか。

主人公の容姿については、ある程度ボヤかすことで読者の感情移入度を高める事ができるようになると思います(感情移入には「なりきる」パターンや「思い入れ」パターンなどがあると思いますが、これはまた別の機会に)。

肝心なのは性格や行動だと思います。後は立ち位置。

ある程度の説明・描写が終わったら、サブキャラクタとの関連性(幼馴染・好きな人・友達など)も入れていくのがいいですね。

主要キャラクタの登場時期は?

キャラクタの登場時期については、非常に悩むものがありますよね。

あくまでも私が読む時の話ですが、冒頭から2人以上のキャラクタが出てくると「一体、何がどうなっているのか分からない」という感じがします。

アニメみたいにキャラクタが容姿によって判別できるものですら、あまりにたくさんのキャラクタが出てくると混乱することがあります。

個人的な観測では、一人のキャラクタを正確に認識(※)するまでには「約1話分くらいは必要」ではないかと思っています。※小説はあくまでも読者の想像力によって補完される部分がありますので、ここでいう認識とは「この人はこういう人」というキャラクタごとの区別が付く状態を指し示しています。

もちろん舞台や主人公を説明させるために、モブキャラを登場させるのはアリだとは思いますが、その場合は明らかにモブですという感じで書く必要があるでしょう。

逆に「遅すぎる主要キャラクタの登場」というのも問題があるかと思います。

本1冊を約12,3万字とすると、その1/4である3万字くらいまで(1話3,000字とすると10話辺り)までには主要なキャラクタは登場しておきたいところです。

主要なキャラクタとは「主人公」「ヒーロー・ヒロイン」と、その友人であったり家族など、本編に深く関わる、もしくは影響力を与えるキャラクタたちのことです。

私にも身に覚えがあるのですが、ストーリーの要となるキャラクタを後半に出してしまうと「なんだそりゃ」ってなっちゃうんですよね。

例えば「勇者と魔王の戦い」の物語の場合。勇者視点で物語を進行させるとき、魔王の存在をどの程度序盤で書くのかは重要なポイントだと思います。

最低でも「魔王というのがいて、それを倒すのがこの話です」という説明があれば良いのですが、終盤になって突然魔王が出てきたら驚きますよね。

出来るならば、序盤に登場させた方が(そして定期的に登場させた方が)よりストーリー的には良さそうです。

ただし、この話は「1冊単位で綴られる物語」の話であり、小説投稿サイトなどに掲載されている「連載もの」であれば、話は別になってきます。

週刊漫画方式でよく「次々新しい敵が現れる」という展開がよくありますよね。

この場合ですと、最終的なラスボス(連載終了時点での最後の敵)は序盤には描かれなくてもいい場合があります。その辺はお約束で、読者的にも「きっとそういうのが出てくるんだろうな」と想像してくれる部分がありますので、書いても問題ないのですが、書かなくても大丈夫ということですね。

もちろん、これらは敵だけではなく仲間などにも当てはまります。

モブキャラの名前

最後にモブキャラについて。

ここで言うモブキャラとは「ストーリーに直接は絡んでこないが、ストーリー展開の説明に必要なキャラクタ」ということになります。

先程言ったように「主人公などの説明をさせるため」などに使われます。

誤解しがちなのですが「ストーリーを転がすためにモブキャラを使う」というのは、あまり良い手ではありません。「モブキャラのお陰で主人公たちが助かった」とか「モブキャラのセリフで、ストーリーが展開した」というのは、いわゆる「ご都合主義」になります。

主人公がずっと悩んでいて、それが解決したのがモブキャラのひと言だった、なんて小説読みたくないですもんね(と書いてて、グイグイ胸に何かが刺さっています)。

よって、モブキャラには名前がない方がいいでしょう。

モブキャラはあくまでもモブキャラです。名前が付いてしまうと、サブキャラクタになってしまいます。サブキャラクタは小説の中である程度の発言をし、行動をし、ストーリーや他のキャラクタに影響を与えます。

逆に言えば、そういうキャラクタでないキャラクタ(モブキャラ)に名前を与えてしまうと、読者にとっては混乱してしまいかねません。

ごくたまに見かけるのですが、冒頭にとある名前が出てきたのにも関わらず、それ以降は全然出てこないキャラクタが登場する小説があります(私の小説にもたくさんあります!)。

特に序盤は読者にとっては「手探り状態」なので、余計なキャラクタの名前を登場させるべきではないと思います。

まとめ

小説とは言い換えれば「人を書く」ものですから、そこに登場するキャラクタはとても大切で奥が深いものです。

「キャラクタシート」というのもあちこちで見かけますし、悩んでいる方はそういうのを使ってみるのもいいかもしれませんね。

ただ、始めの内はあまり深く考えすぎないでもいいのだとも思います。

文庫本1冊くらいなら、序盤と終盤でキャラが変わっているとおかしくも思えますが、何十万字にも及ぶ連載ものでしたら、多少の変化はあって当然です(別人になるほどだと問題ですが)。

個人的に一番いいなぁと思うのが「とりあえず書いてみる」ということです。プロットなども大切なのですが、なかなかイメージができませんから、まず書いてみる。

書いている内に段々自分の中でイメージが固まってくるので、それを元にもう一度小説を書き直してみる。

時間はかかるのですが、こういうやり方が最もやりやすいのかなぁと思っています。

と言っても、前々から何度も言っているように「小説の書き方は人それぞれ」でもあります。

「こうすれば絶対に面白い小説が書ける」という方法があるのならば、それを実践した人は全てベストセラー作家になっていないとおかしいわけですし、書籍を発行された作家さんは一生本を出し続けられるはずです。

実際にはそうではないので、ある程度のルールはあるにしても、基本的には自由なものだと私は思っています。

そこが小説創作の面白いところでもあり、また難しいところなんですけどね。

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