アニウッド大通り【記伊孝|KDP】
こんばんは、しろもじです。
今回の「読んでレビュー」は、久々のマンガ回です。
と言うか、マンガを取り上げたのは2回目ですね。
今回取り上げさせて頂くのは、AmazonのKindle Unlimitedで読める『アニウッド大通り』です。
今年最新の9巻が刊行されています。
溢れ出る昭和感がたまらない!
いきなりこの出だしはどうかと思ったのですけど、やはり書かざるを得ません。
舞台は(確か)明言されていないものの、恐らく1980年代あたり。
1980年が昭和55年ですから、ちょうど昭和の末期あたりですね(昭和は64年まで)。
当然、スマホはおろか、携帯すらない時代です。
コンピュータは黎明期と言っていい時代で、1980年中盤辺りからNECの8801や9801などが出てきたころじゃなかったかなぁ。
ゲーム関連では、ゲームウォッチやファミコンが登場し始めたのもこの頃。
と言っても、そういうデジタルな部分とT-RPGなどのアナログな部分がまだ残っていたりと、遊びに関しては豊穣の時代だったと思いますね。
500円玉というのが誕生したのも、確かこの辺りだったと思います。
えっ!? やけに詳しいな、ですって?
いやだなぁ、調べたんですよ。ええ、ええ。
で、話を戻しますが、本作でも昭和感はバッチリ溢れ出ておりまして「そういう時代」を学べるという意味でも貴重な作品だと言えます。
9巻には「ガバスで払うから!」というセリフまで登場してたり(笑)。
実家を探したら、どこかにありそうな気がしますね(あれっ?)。
創作者魂を揺さぶられる
そういう昭和感に浸る……という楽しみ方もできるのですが、本作の魅力は何と言っても「創作をしている人の胸にグイグイ刺さってくる」というものです。
主人公の真駒樹貴くんは、アニメ監督のお父さん(おとたん)の影響を受けて漫画を書いています。
彼は小学生ということもあり、漫画の創作以外にも友達や妹の園との遊びや、ファミコン、気になるクラスメイトの女の子など、興味のあることがいっぱい。
この辺りは、創作だけに向かっていない、人生の経験値を積む上でも大切なことであり、小さな彼はもちろん我々のような大人になっても、ある程度大切なことではないだろうかと私は思います。
そして、おとたんこと真駒和樹。
前述したようにアニメ監督なのですが、アニメを創ることに関しては妥協を許さない。
何日も泊まり込んだりしますし、仕事がなくなっても頭の中はアニメのことでいっぱい。
今で言えば、バッチリ「ブラック」な環境とも言えそうですが、やはり創作は9−17ではできないものだと、私は思います。
何をしてても創作に繋げてしまう。
一旦、書き始めると寝食忘れてしまう。
寝ても覚めても考えることは創作のことばかり。
もちろん、アニメータのような「お仕事」としてやっている方などは、ある程度の配慮をされるべきだとは思いますが「物語を創る」ということへの姿勢であったり、考え方としては、そういう部分が最も大切なんじゃないかなぁと思ったりするわけですね。
それが上手くいくかどうか、受けるかどうか、そんなことは誰にも分かりません。
それでも自分が創っているモノに、どれだけ真摯に向き合えるのか?
自分で何作か創ってみた上で、本作を読んで私が思ったのはそのことでした。
前にも書いたことがありますが、多くの人にとって創作とは「誰かに命令されてやっていること」ではないはずです。
「好きだからやっていること」かと言って、独りよがりになりすぎても駄目でしょう。
一番大切なことは「人の意見は聞いた上で(インプット)、自分で考えること」ではないかと思います。
このサイトでも「創作論」や「創作講座」という記事を書いたりしていますし、世の中にはそういうものが溢れかえっている状態です。
その中で「書いてあること」「言われれたこと」を、そのままコピーするのではなく、自分の中でキチンと消化しものにしていく。
そういう姿勢こそ創作の本質であり、醍醐味ではないのかな、と個人的には思います。
話が少し逸れましたが、そういうことを考えさせてくれるのが本作です。
読み進めれば、きっと途中で放り出して、PCに向かうことになるでしょう(あとで読めますからね)。
世代によっては「考え方が古いよ」と思われる方もいるかもしれません。
それでも構わないと思います。
大切なことは、色々な考え方に触れて考えることです。
そのようなことから、創作をされている方なら一度は目を通しておくべき良書だと思います。
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