未来のエンターテイメント経済圏はどうなっていくのか?

小説LABO

現在の世の中はエンターテイメントに限らず、全て経済=貨幣をベースとした価値の交換によって成り立っています。

つまり、小説というジャンルで言えば「最終的には書籍(電子書籍を含む)を売って、お金を手に入れる」ことで、最終的な価値が生み出されるという仕組みということです。

ところが、昨今の「小説投稿サイト」などでは、小説コンテストなどから書籍化されお金を生むというルートはあるものの、無料で掲載されているものの中にも「人によっては面白かったり、参考になったり、感動したり」というように、価値を生み出してしかるべきものは存在しています。

※価値とはお金の同義ではありませんが、ここでは便宜上「お金(もしくはそれに似たもの)=価値」とします。

貨幣ベースの経済圏の中では、それらは「無料」という形でしか存在できず、結局は「書籍として売り出す」ことでしか、価値を見出すことはできません。

そこで今回は「ずっと先かもしれないけれど、将来、未来のエンターテイメントの経済圏はどうなっていくのか? もしくはどうあるべきなのか?」を考えてみたいと思います。

ひとつお断りしておくと、これは「本気で」考えているわけではなく、あくまでも自分の書きたい小説の、アイディアの一環として考えたものをまとめたものです。あまり本気になされずに、エンタメ的な読み方をして頂けると幸いです。

スポンサーリンク

なぜ、金に替えないといけないのか?

小説にしても音楽にしてもアニメにしても漫画にしても、あらゆるエンターテイメントをお金に変換することは、なぜ必要なのか?

それは第一段階として「生きていくためにお金は必要だから」と言えるでしょう。

電気ガス水道などのライフラインはもちろん、生きていればお腹も空きますし、生活するのにも家賃、もしくは家を建てなくてはいけません。

それらの支払いは貨幣で行われるため、エンターテイメントを生活の糧としている人はもちろん、それを目指している人も創作物を貨幣に替えないと生きていけないという切実な問題があります。

極論ですが、今後AIなどが進化して省人化していき、それらのコストが大幅に下がっていくと「生きていくためのコスト」というのはグッと下がっていく可能性はあります。

例えば電気ガス水道の料金が月に1,000円程度になったり、月に5,000円もあれば食費(最低限生きていけるという意味)がまかなえるようになれば、人は生きるためにお金を集める必要はなくなるのかもしれません。

道路一本を敷くのにも、今でしたら何十人もの人が携わっているようなことが、自動運転のトラックが機材を運び、現場に到着したら機材が自動で作業を始め、それを監督する人が一人いれば十分みたいな環境になれば、社会インフラですらコストが下がっていき、結果的に個人の負担は限りなく0に近づく可能性すらあります。


そういう世界になっていくと、もはや創作をお金に変換する理由はなくなるような気がします。

ただ一方で、人間には物欲というものがあります。

3万円で買ったボロの原付きバイクより、数百万、数千万する高級車に乗りたいし、隣の部屋の声が聞こえてくるようなアパートよりも、都会の高層ビルや広い敷地の邸宅に住みたいし、スマホもPCも良いものが欲しかったりしますよね。ブランドものなんかもそうなのかもしれません。

これらは企業が大量生産し、消費者が大量消費することでコストが下げられ価格が安くなるというのが現代の構図です。

「物を欲しがらなくなれば良い」という考え方が浸透すれば、そういう社会から脱却することができるような気もしますし、実際にシェアリングという考え方はそれに基づいたものであると言えるでしょう。

しかし世の中にはシェアできないものも存在します。

個人で消費するしかないもの、生活必需品と呼ばれるものの多くはそういうものに満ちあふれています。そしてそれらの多くは、自分で作り出すことができません。

私たちは100均で売られているシャーペンひとつにしても、自分で作ることは不可能です。

ただ、そういうものは前述のものと同様に、今まで以上にコストが下がり限りなく0円に近づいていく可能性はあります。

つまり、生活に必要なもの=大量に消費されるもののコストは、今後もっと下がっていき、付加価値の持ったものしか金銭価値を生み出さない状況になるということです。

言い換えれば「無駄を省いて生きているだけであれば、限りなく生活コストは0に近づいていく」という可能性はあるわけです。

物欲に関しては、ある程度人間が達観していかないといけない部分はあるのだと思います。

ただ、そういう人だダメだというわけではなく、そういうことを望む人は他の人よりもより社会に貢献すればよい(=お金を稼ぐ)、という世の中になれば公平性は担保できるのではないかということですね。

ではここで、強引に「そういう世の中になった」と仮定して考えを進めてみましょう。

エンターテイメント←→エンターテイメントな世界

冒頭でも書いたように、現在では「Webに投稿された無料で読まれる小説」については、何の価値をも生み出してはいません。

と書くと誤解されそうなので補足しておきます。

例えば「面白かったです!」と感想をもらったり「いいね!」などを押してもらったりすることも価値と捉えることは可能です。

ただし、それらはあくまでも「自己満足」であり「承認欲求が満たされること」であり、それを使って何かができるわけではありません。強いて言えば「書き続けていけるモチベーション」を保つ役割くらいでしょうか。

ですから、最終的にそれらを集めて「書籍化」できたときに初めて「価値」が金銭という形で具現化するというわけです。

ただし、前項で言ったように全てのコストが下がり続け、物の価格が下落していく中で、エンターテイメントだけがその貨幣価値を保ち続けるのは難しいのではないか? と私は思います。

楽観的意見で言えば「エンターテイメントは生活必需品ではないので、そういう影響を受けない」とも考えれられますが、今のまま「無料で消費されるエンターテイメントが増え続けていく」という状況が続けば、貨幣に換算されるものは今まで以上に「一握りの存在」になるのではないでしょうか。

そうなったときも「自己満足や承認欲求のためだけ」に、エンターテイメントを作り続けていくことは可能なのでしょうか?

私は難しいのではないかと推測します。

また、そこまで時代が進まなくても、今現在小説投稿サイトなどに投稿され、無料で消費されている小説に何らかの価値を持たせることはできないものだろうか?

その答えはまだはっきりと分かりませんが、ひとつには「貨幣には変えられないが、目に見える価値」というものを作り出す必要があるのではないかと、私は思います。

例えば小説投稿サイト内で使える仮想通貨のようなものを作る。

作品を投稿し読まれたりレビューされたりすればそれがもらえる。

もしくはレビューしたり、応援したらそれがもらえる。ログインだけでもいいかもしれない。

というのは、実はもう小説投稿サイト「マグネット!」さんで一部実装されているものではあるのですが、それらをできれば投稿サイト内だけではなく、全てのエンターテイメントに使えるようにしていけるようになれば、もっとより良い経済圏が生まれるのではないかと思っています。

また、もうひとつ「その仮想通貨を使ってでしか読めないコンテンツを作る」というのも、アリだと思います。

そこが従来型の「有料コンテンツ=書籍」の後継になるのではないでしょうか。

仮想通貨を得られる仕組みは、ブロックチェーン技術を使ってマイニング(つまり仮想通貨を動かすコンピュータを提供する)ことで生み出されたり、先程書いたように経済圏内の活動によって得られる仕組みにしてけば、コミュニティの継続性と活性化にも繋がりそうです。

え、でもそれって結局お金で良くない?

さて、ここで「それって結局お金を媒体としてもいいんじゃないの?」という疑問が湧いてきます。

お金というものは元々「価値の測り」として作られたもので、ある価値を別の価値と変えようとしたときのクッションとしての価値(物々交換が成り立たなくても成立する価値)として生まれてきたものですから、これ以上の媒体はないというわけです。

でも実際には「投稿サイト」に投稿された小説にお金を払うというのは、抵抗がある方が多いのではないでしょうか?

また課金システムも難しい問題です。

最終的には「経済=金銭にならないものは普及しない」というのは身も蓋もない話ですが、事実でもあります。

小説投稿サイトを運営している出版社が、経済的な利点(=利益)があると判断すれば、投稿された作品に対して課金するというシステムが取り入れられる可能性はあります。

しかし、例えば運営コストなどを引いた純利益が課金額の1%だとすると、100万円の利益を上げるためには1億円の課金が必要になってきます。10%取れれば1/10の1,000万円の課金で100万円の利益ですが、企業として考えると、それほど「旨味」はなさそうです。

ですので、最後はやはり「書籍として売る」「原作として売る」などの手段は外せないのも事実でしょう。

その前のワンクッションとしての仮想通貨的なものがあれば「投稿サイトに投稿された小説に対するスタンス」というのが変わる原動力になるのかもしれない、というのが私の意見です。

まとめ

いずれにしても、今現在「無料で読める」という投稿サイトに投稿する原動力に、お金があるというのは否定できないところです。

ですが、無料で消費できるものという物がある限り、有料への転換は今後一層難しくなっていくのかもしれません。

私がそうなのですが「いや、お金にならなくても自分が小説を書くのが楽しいから」という方は、どちらでも良い話とも言えます。

そう言う人は、どういう環境になっても書き続けることができると思うからです。

ただ、世の中はそういう奇特な方ばかりではありません。

現在の投稿サイトの問題点は「モチベーションを保つのが難しい」という点にあると思われます。それは書き手だけではなく、読み手にも言えることなのかもしれません。

そこに仮想通貨的なものを取り入れることで、一種のエンターテイメント的な要素と、擬似的な経済性を持たせることができれば、コミュニティへの積極的な参加を促したり、より作品を作るもしくは読むモチベーションへと繋がるのではないか?

その仮想通貨が「あってもなくても大丈夫」なものではなく「欲しいっ!」と思わせるようなものになれないといけないとは思いますけれどね(その辺りが、前述した「ないと買えないコンテンツがある」辺りかな、と)。

「コンテンツは無料が当たり前」という価値観が蔓延しつつある中、何かしらの対策は必要だとは思います。

まぁ、言うだけなら簡単なんですけどね(笑)。

冒頭でも言ったように「あくまでも頭の体操」の話でした。

□ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □
今日も最後までお読み頂きありがとうございました!

小説執筆関連の記事は   →「小説講座
小説の投稿関連の記事は  →「小説投稿記
ブログ関連の記事は    →「小説家のためのブログ運営
読んだ本のレビューは   →「読んでレビュー
デジタルガジェット関連は →「デジタルもの

に、ありますのでぜひ合わせてお読み下さいね!

小説LABO

Posted by しろもじ