過程を公開しながら小説を書く【第7回:小説のタイトルを考える】

小説LABO創作公開

本連載は「小説を1本書いていく過程を赤裸々に公開してみる」というもので「小説の書き方講座」のようなものではなく、あくまでも「とある素人が考えていること」になります。よって正しい使い方は「人の振り見て我が振り直せ」っぽい記事になります。

今までの記事は以下からどうぞ。

これまでの流れをざっとまとめますと

  1. 元々書いてたラブコメものの小説を振り返り問題点を出す
  2. ざっくりした舞台と流れを考える
  3. 登場キャラクタの人数や構成を考える
  4. 主要キャラクタの概要を考える
  5. 何がもっとも言いたい小説なのかを決める
  6. 全体の流れをプロットとしてまとめる

という感じになります。端的にいえば「全然進んでない!」。ちょっとスピードを上げていかないとなぁと反省しきりです。

さて、前置きも終わったところで今回の話なのですが、そろそろ「タイトル・キャッチコピー」を決めていきたいと思います。キャッチコピーは投稿サイトによっては不要な場合もありますが、第5回でも書いた「何がいいたい小説なのか?」の部分にも関連してくるので、一応決めておきたいかなと。

今回はタイトルを決めるまでの試行錯誤についてになります(まだ決まりません)。

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これまでの小説タイトルを振り返ると

前にも書きましたように、私は小説のタイトルを決めるのがとても苦手です。これまで書いて投稿してきた小説のタイトルは(短編を除くと)

  • 『Replace』
  • 『王立勇者育成専門学校総務課』
  • 『家族編集部』
  • 『管理官と王女様』
  • 『物書きたちは譲らない!』
  • 『きみとぼくのダンジョン再建記』

という感じで、それほどセンスのあるものではないですよね。

天才的な直感で、ぽこーんとタイトルが降ってくれば(言い換えればビビッと来れば)いいのですけれど、これがなかなか上手くいきません。

ふと「今までどうしてたかなぁ?」と振り返ってみると、どれも「ある程度書いたあと、投稿寸前になって決めた」というのが多かった模様。

ただ「ある程度書いたから小説の方向性が分かってきて、それをタイトルにした」というわけではないのが残念なところです。

これも前に書いたことですけど「小説の、特にWeb小説のタイトルは、それを見ただけで内容がある程度把握できるものじゃないといけない」というのは間違いがなさそうです(自分が読む立場になったときでもそうですし)。

Web小説のタイトルは、どうあるべきなんだろう?

例えば漫画やラノベなどでしたら、表紙の絵という「内容を伝えるパーツ」が存在しますよね。漫画でいえばそれ以前に「週刊、月間などの雑誌」という媒体もあるので、内容を知るという手段があります。

でもWeb小説では、投稿サイトに表示された「タイトルやキャッチの文字情報」が全てなんですよね(最近では表紙や挿絵を入れられるサイトも増えてきましたが、作者が自分でイラストを描く、というのは敷居が高いはず)。

人が投稿サイトで新しく小説を読み始める場合、例えばカクヨムの場合ですと

  1. サイトを開く(アプリを開く)
  2. 新着、ランキング、注目の作品、新着おすすめレビューなどの一覧を眺める
  3. タイトルをクリックする
  4. キャッチコピーとあらすじを見る
  5. 本文をクリックする

という流れじゃないでしょうか?(SNSなどの告知を除けば)

一覧に載るかどうかは、特に新しい小説の場合は「新着」からしか方法がないわけで、そうなってくると「タイトル」と「キャッチコピー」のみが、読んでもらえるかどうかを左右するといえるのだと思うんですよね。

更に、私自身が自分の行動を見て思ったのは「タイトルをクリックするかどうかを決めるのに、1秒もかからない」んですよね。

というのも一覧って膨大にあるじゃないですか? だからじっくりとひとつひとつ確認していくというよりは「ざーっとタイトルを眺めていって、ぱっと目についたものをクリックする」という行動を取っていることが多い。

そういうことから「タイトルには、ひとつかふたつ、引っかかるキーワードが必要だ」ということが言えそうです。

今回の小説のキーワードは?

現時点で決まっていることから、この小説に含まれそうなキーワードを抜き出してみました。

  • 幼馴染
  • 高校生
  • 疎遠
  • 一人暮らし
  • 同居
  • ラブコメ
  • プチハーレム
  • すれ違い
  • 振り回され系

主人公の悩み・弱み的な部分は、前回書いたように「自分がしたいことではなく、他人に合わせてしまう性格」なのですが、これってどう一言でいったらいいんでしょう? 強いていえば、それ故に主人公は「振り回され系」になりそうですので、それがキーワードとして適切なのか……な?

前回(半分)冗談で書いた『高校に入って一人暮らしを始めようと思ったら、幼馴染と同居することになった件』というタイトルは、4つのキーワードを内包しているので、キーワード的にはいいのかもしれませんが……ちょっと今どきじゃないかな?

『高校で一人暮らしを始めたら、幼馴染と同居生活をする羽目になったのだが』の方が、やや最近っぽいかも?

「?」ばっかりですけど(笑)。

個人的にこれらのキーワードの中でビビッと来そうなのは「幼馴染・同居」辺りでしょうか。これはきっと外せない気がします。

少しだけ「もうさっきのでいいんじゃね?」という気がしてきていますが「いやっ、もうちょっと考えさせて!」とも思うので、今少し考えてみます。

既刊の小説タイトルを分析してみる

「タイトルを決めるのが苦手」というのならば、タイトルを勉強すればいいじゃない?

というわけで、Amazonや出版社のサイトを回って「ライトノベル、もしくはライト寄りの一般文芸」の中から「現代が舞台のラブコメっぽい作品」のタイトルを30個ほどピックアップしてみました(ちょっと長いので畳んでおきます)。

  • 青春ブタ野郎は○○○○の夢を見ない
  • 政宗くんのリベンジ
  • りゅうおうのおしごと!
  • やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
  • 妹さえいればいい。
  • 俺の妹がこんなに可愛いわけがない
  • 友達の妹が俺にだけウザい
  • さくら荘のペットな彼女
  • ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?
  • ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?
  • 可愛ければ変態でも好きになってくれますか? 
  • 冴えない彼女の育てかた
  • 同棲から始まるオタク彼女の作りかた
  • エロマンガ先生
  • あの日、神様に願ったことは
  • 何故か学校一の美少女が休み時間の度に、ぼっちの俺に話しかけてくるんだが?
  • 好きすぎるから彼女以上の、妹として愛してください。
  • 黒猫のおうて!
  • 非オタの彼女が俺の持ってるエロゲに興味津々なんだが……
  • 秋山野要は愛されている。
  • 理系な彼女の誘惑がポンコツかわいい
  • 子守り男子の日向くんは帰宅が早い。
  • 恋愛カルテット リトルプリンセスの恋愛相談
  • お姉さん先生は男子高生に餌づけしたい。
  • 僕のカノジョ先生
  • 乃木坂明日夏の秘密
  • 未完結ラブコメと運命的な運命論
  • 幼なじみは負けフラグって本当ですか?
  • お隣さんな教え子と甘い○○
  • 29とJK

※書籍タイトルの著作権は各出版社さまに帰属しています

順不同です。

キーワード的には「妹」「彼女」「幼なじみ」「先生」なんかがチラホラしていますね(妹多いな)。

ただタイトルの法則としては「○○ですか?」という「問いかけ型」や、句点がつく「文章型」のような一定のものがあるように見受けられますが、案外色んなものがあるんだな、という感想です。

これを分類していこうと思ったわけですが、ふと「大きくふたつに分けられるっぽい」と気づいたんですよね。

それが「タイトルの主が、自分なのか、それともヒロインなのか?」というものです。

つまり『妹さえいればいい』は(読んでないので分からないのですが)主人公はお兄ちゃん=男の子。『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』は、主人公はお兄ちゃんですが、どちらかといえば妹に焦点があっているという感じ……なの?

はっきりいって、その違いがどう作品に影響があるのかまでは、まだ良く分かりません。

でもタイトルを決めるときに「ふたつの視点から考えることができる」ということだけは、何となく分かった気がします。

先に挙げた『高校で一人暮らしを始めたら、幼馴染と同居生活をする羽目になったのだが』というタイトルは、主人公=男の子目線です。これを女の子目線に変えてみると

『高校で一人暮らしを始めたら、幼馴染と同居生活をする羽目になったんだけど』

いや、違う。そうじゃない。

それは完全に主人公が女の子になっちゃってる。しかも分かりにくい。

ヒロインに焦点があたるとは?

ここで色々考えたんですが、女の子(ヒロイン)に焦点があたる小説というのは「ヒロインに何かしらの特徴や謎があって、主人公自身のことはそれほど深く掘り下げない」というものじゃないかな、と。

まさにそれがラブコメ小説の本流だと思うのですが、そう考えると今考えているヒロインには何かが足りない気がしてなりません……(またそこへ戻ってしまう)。

ヒロインに魅力があるのは当たり前。その上でヒロインがメインなのか、それとも主人公(男の子)がメインなのか。ヒロインがメインになるのであれば、主人公の悩みとかは無くすとまではいかなくても、大幅にカットしていく方が良さげな気がしています。

無味無臭な主人公の利点は「どんな読者さんでも、自分に置き換えやすい」ということなのかもしれません。

一方で自己主張が激しい主人公は「刺さる人には刺さるけれど、そうじゃない人には全く刺さらない」のかも。

それも含めて、次回(今度こそタイトルを決める)までに考え直したいと思っています。

まとめ

結局、また「何一つ進んでいない」という感じの記事になってしまいました……すみません。

でも、こうやって考えていることを書いていくと、あれこれ整理できているようでなかなか良い気もしています。頭の良い方はこういうのを頭の中でぱぱっとやってしまうのでしょうけど、私のような人間はちゃんと書き出した方がいいみたい。

今回はラブコメというライト系の小説のタイトルを考えてきましたが、一般文芸の小説タイトルであれば、少し話は変わると思います。

純文学、とまではいかなくても、一般文芸の多くは「読み進めていく内に、もしくは読む終えたときにタイトルの意味が分かる」というものでもOK、というかそういうのが多い気がします。

ただそれは作家さんや出版社の名前があったり、本屋さんという「それほど変なものは置いてないだろう」という信頼度の高さ故に可能なことだと思うんですよね。

無名の、そして1分間にいくつものタイトルが投稿されるWeb小説では、やはりタイトルの付け方は異なるんじゃないかなぁと思ってるわけです。

思ってるから、考えているから、といって、ぱぱっと決められるわけでもないのですが……。