キャラクターについて考えてみよう【はじめての小説執筆03】

2018年7月28日小説LABOはじめての小説執筆

こんばんは、しろもじです。

 

本連載は「小説なんか書いたことがない。でも書いてみたい」という方に向けたものになります。

「書いてみたいんだけど、どうしたら良いのかさっぱり分からない」という方へ「こうやってみてはどうでしょう」という感じの記事ですね。

「人気作の創り方」「面白い小説の書き方」ではありませんが(それは私の方が聞きたい)、何かの参考になればと思います。

 

第3回目は「キャラクターについて考えてみよう」です。

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キャラクターとは?

小説においてキャラクターとは「個別の名称を持ち、言動を描写するもの」ということができると思います。

簡単に言い換えると「名前があって、本文内に行動、セリフが書かれている人物」ですね。

小説では、それ以外にも「ワンポイントだけ出てくる名前がない人物」なども登場したりしますが、これはキャラクターとは別と考えればいいでしょう。

 

逆に言えば「主人公や主要人物でなくても、名前が与えられ登場する人物はキャラクター」と言い換えることができますね。

いわゆる「モブキャラ」です。

例えば数話に一度くらいしか出てこないキャラクターでも、立派なキャラクターです。

どこまでキャラクターの設定を作り込むのか、というのは作者や物語によって異なってくるとは思いますが、モブキャラは気をつけておかないと「都合よく動かしすぎて、意味の分からないキャラになってしまう」という可能性もあります。

身に覚えがありすぎて、怖いくらいなのですが(笑)。

 

このように、登場する人物はキャラクターとして、キチンと設定しておくことが、結構重要になってきます。

キャラ設定とは?

「キャラクター設定」と聞くと「容姿」をイメージすることが多いかと思います。

髪の毛の色、長さ。目の色。肌の色。顔のかっこよさ、かわいさ。背の高さ。太っているのか痩せているのか……。

そういうのを考えるのは楽しい(人によるかも)ので、ついつい凝って設定してしまいます。

それは間違いではありません。

でも、小説においてもっと重要なのが「その人の性格」「人となり」です。

セリフの語尾に「〜なりぃ」と付けることじゃありませんよ(笑)。

 

容姿はですね。別に描写しなくても良いんです。

最近のライトノベルなどでは、その辺りを詳しく描写する傾向があります。

それが間違いだとは言いません。

特にラノベでは、表紙、口絵、挿絵などでキャラクターが具体的に「イラスト」で書かれますので、そういう要素が必要になるのも分かります。

 

でも、それを一切描写しなくても、小説は成り立ちます。

それは小説が「読者が空想しながら、頭の中で作っていくもの」だからです。

だから、極端な話、主人公ですら容姿の描写をしていない小説も多く存在します。

ただ、作者の中では決めておいた方が、描写上で辻褄が合わなくなることがなくなりますので、良いかとは思います。

 

とは言え、先程も言いましたが、最近の傾向では「細かく描写する」という方向に行っています。

作風によって、登場時に詳しく書くというのもアリだとは思います。

それが「いやだなぁ」と思う場合には、できるだけ物語の前の方で、間接的に書く方法もあります。

例えば、他のキャラクターに「お前って美人だよな」と言わせたり「彼女はしゃがんで、床に落ちた本を拾った。長い銀色の髪が、はらりと肩から落ちて、僕は思わずその美しさに息を飲んだ」みたいな。

まぁ、個人的には「俺の名前はしろもじ。高校2年生だ。自分で言うのもおかしいが、これでも結構モテる」みたいなのは、あまり好きではありませんが、その辺りは「読者層」にもよるのだと思います。

自分以外の人物を作る?

キャラクターをつくる、ということは「自分以外の人物をつくる」ということです。

「自分のことが分からない……」そういう意見もありますが(笑)、それでも、他人よりは「自分ならこう言う」「自分ならこうする」というのはあると思います。

しかし、小説ではたくさんのキャラクターが登場します。

そういうキャラクターを作る方法というのは、本やWebを探せばたくさん出てきます。

その中でもおすすめなのは「小説に描かれないストーリーを作ってみる」ということです。

中には「生まれてから今までのストーリーを全て書いてみる」という指南書もあったりしますが、これは少し高度すぎるので、始めの方はそこまでしなくてもいいでしょう。

 

でも、その人が「どういう経緯で小説のスタートラインに立っているのか?」という部分については、考えておいたほうがいいでしょう。

小説の書き方によっては、時系列通りに並ばずに「序盤にいきなりイベントがあって、その後、少し時間を戻して描写する」という方法もありますので、この場合は当然考えておかなくてはいけません。

そうではない場合でも、そのキャラクターの背景、例えば高校生活を描くのであれば「小学校にあったできごと」「中学校に経験したこと」などを考えて(できれば書き出して)おくくらいはした方がいいですね。

 

これ、なんで良いのかと言うと、次に書いている「キャラクターのブレ」が少なくなる、というのもありますけど、何より「ぐんと書きやすくなる」んですよね。

最低限、書いている自分がキャラクターのことをしっかり知ることができるので「こういう場合にはこういう行動を取りそうだな」というのが浮かびやすくなり、書いているときに迷いが少なくなります。

 

登場する全てのキャラクターで、これを行うのはなかなか難しいかもしれません。

主要人物だけでも書いてみると、いいと思います。

キャラクターの芯

よく「キャラがブレる」という言葉を聞きます。

要は、それまで描写されていた言動と違うことをしたキャラクターに戸惑って、そういうことが言われるわけですね。

ところが、実際の人間は、そんなに芯の強い人はいません。

「どんな状況下でも、絶対に筋の通った行動を取る」なんて人は少ないでしょう。

相手により行動を変え、言うことも変え、空気を読んで、私達は生きています。

 

しかし、小説ではなかなかそうはいきません。

空気を読んで動いてばかりいるキャラクターがいたら「ご都合主義」と言われてしまうのが落ちです。

ですので、特にメインのキャラクターには「絶対に譲れない芯」だけは持たせるのが良いのかな、と思っています。

あまりにガチガチに決めすぎると、それはもう人間ではなくロボットですし(笑)、多少の余裕は持たせつつも「これだけは譲れない!」というのだけ決めておく。

 

そこにストーリーが絡むと、面白い話になるんじゃないかなぁ、と思います。

例えば「困っている人を見捨てることが絶対にできない」キャラクターに「友人と、知らない人が、同時に目の前で困っている」という状況を作ると、キャラクターに葛藤が生まれます。

または「主人公の目的を達成するには、主人公の『これは曲げない』と思っていた信念を変えないといけない」というのもありますよね。

 

また、キャラクターに今まで取っていた言動と違う行動を取らせたい場合。

そのときは「理由をキチンと書く」ことで回避できるかもしれません。

いつもは整理整頓しなくては気がすまないヒロインが、散らかった部屋で座り込んでいる。

その理由は? そういうのを考えると、ストーリーが進展することもありますよね。

「そんなヤツ実際にはいない」問題

小説やアニメ、マンガなどを見ていると「そんなヤツは実際にはいないよ」と思うことがあります。

当然、創作物ですから、実際にはいないような極端なキャラクターを描くことで、物語を面白くしているわけですが、見ている側ならともかく、いざ書く側になってみると躊躇することもあるかもしれません。

でも、経験上「当たり障りのない、平凡なキャラクター」というのは、やはり面白さを阻害します。

 

どうしても書いていると、そのキャラクターを好きになって「いいキャラにしよう」と思ってしまうんですよね。

その結果、なんの変哲もない、無味無臭、人畜無害なキャラクターだらけの小説になってしまいます。

 

そのような場合は、上の「芯」の問題と同じく「一点だけ、特徴を持ったキャラ」というのを考えてみると良いかもしれません。

見た目でもいいですし、性格でもいいでしょう。

ちょっと引っかかるくらいがちょうどいいように感じます。

「実際にはいなく」ても構いません。だって、それは創作物なんですから。

多少、思い切った方が、面白くなる可能性があったりします。

適切な「登場するキャラクターの数」とは?

少し話が変わりますが、小説に出てくるキャラクターの数、というのはどのくらいがいいのでしょうか?

10万字程度の小説であれば、主人公、ヒーロー(ヒロイン)、メインキャラ×2、サブキャラ×4の計8人くらいが上限ではないかと、個人的には思います。

と言うのも、そのくらいの文量では「しっかりと描ける」のは、せいぜい4、5人程度だからです。

 

ストーリーにもよりますが、動きの多い(展開の早い)作品になると、描写できるのはもっと少なくなります。

ですので、ある程度作品により調整しつつも「できるだけ絞る」方が、より書きやすくなるのだと思います。

 

また、メインとなるキャラクターの登場時期は、できるだけ早めにしておいた方がいいでしょう。

起承転結で言えば「承」までに登場させておきましょう。

それ以降は、物語が動くことが多く、終盤に向けて収束していく箇所になります。

その時点で登場するキャラクターは、どうしても描写が少なくなってしまいます。

サブキャラならいいとは思いますが、メインなら早いほうがいい。

 

ただ、個々の描写も必要ですから、序盤に一気に登場させたあとは、個別のサブストーリーなどで補完しておくといいですね。

まとめ

今回もかなり長くなりました。

そして、これほど書いていて「自分の胸が痛くなる」記事も滅多にないとも思いました(笑)。

 

キャラクターは奥が深いと思います。

それは先に書きましたが「自分以外の人を書く」からだと思います。

自分を主人公にして、自分のことを書く、というのは、結構誰でもできることだと思います。

しかし、架空の人物を創造し、まるで生きているかのように書く、というのはとても難しく、それこそまさに「小説創作の醍醐味」ではないかと、私は思います。

 

あくまで個人的に思うことですが、キャラクター創りは「小説をたくさん書く」ことで、上達していくと思っています。

私などはまだまだですが、それでも書くごとにキャラクターについて色々な発見があったりして(そして、その分後悔もあり)面白く思っています。

 

色々書きましたが、最後にひとつ。

小説は自由です。

もちろん、ノウハウもありますが、それでも小説は自由です。

キャラクター創りに関して、アレコレ書きましたが、どうぞこれに囚われず、あなただけの創作方法を考えて、魅力的なキャラクター創りをやっていって下さいね。

 

今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました!

それでは、また、次回。