プロットをつくってみよう【はじめての小説執筆02】

2018年7月23日小説LABOScrivener3,はじめての小説執筆,小説執筆

こんばんは、しろもじです。

 

本連載は「小説なんか書いたことがない。でも書いてみたい」という方に向けたものになります。

「書いてみたいんだけど、どうしたら良いのかさっぱり分からない」という方へ「こうやってみてはどうでしょう」という感じの記事ですね。

「人気作の創り方」「面白い小説の書き方」ではありませんが(それは私の方が聞きたい)、何かの参考になればと思います。

 

第2回目は「プロットをつくってみよう」。

初めて小説を書こうと思ったとき、一番困るのが「どこから、何から書いたらいいのやら」ということだと思います。

それを解決するのにプロットは役立つと思いますので、その辺りをさらっと解説していきたいと思います。

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そもそもプロットとは?

プロット(Plot)とは「筋、筋書き、構想」などの意味で、小説でいうと「本文を書く前の大筋」と言えるものです。

「あらすじ」にも似ていますが、こちらは「本文を読む前の読者に、内容を知ってもらうためのもの」になりますので、ちょっと意味合いが違ってきます。

プロットは本文を構成する要素を全て書き出しますが、あらすじは「興味を持ってもらうためのもの」であり、当然結末などは書きません。

※ここで言うあらすじとは、あくまでも投稿サイトなどに記載するものであり、公募などに応募する際に提出するあらすじは、プロットと同じく、全てを書くことが必要です。

 

プロットは、よく「設計図」に例えられます。

家を建てるとき、いきなり木材を切り出したり「この辺かな?」と適当に柱を立てたりはしませんよね。

同じように、小説を書くときにも、設計図=プロットを作ってから書き始めましょうね、というわけです。

この考えは、ある意味合っているのですが、小説は建築物などとは違うため、必ずしもそうではないという部分もあったりします。

 

私は「プロットなしに書き始めた場合、完結できなくなる恐れがある。そういうことがないようにプロットを作っておいた方が良い」と思っています。

それに関しては、以前記事にも書きました。

世の中には「即興小説」というものもあり、私も『王立勇者育成専門学校総務課 〜結衣のお仕事編』では、この方法で小説を書いています。

 

ただ、あれは1話〜6話程度の短い話の集合体の小説だからできる、というのもあります。

流石に10万字クラスの小説を即興で書く自信はありません(笑)。

プロットの種類

プロットのつくり方は、ひとそれぞれで「こうやるべし」という決まったものはありません。

プロの作家さんになれば、編集者に「企画」として通さないといけなくなりますので、ある程度の精度と型は必要になってくると思いますが、投稿小説であれば、そこまで深く考える必要はないでしょう。

 

テキストファイルに箇条書きで書いても良いですし、Scrivener3のようなソフトを使っても良いでしょう。

私は最近あまりやりませんが、ノートなどに手書きで書いていくのも、結構おすすめです。

その際は、できれば罫線のない無地のノートなどを利用すると、マインドマップのようなつくり方もできたりして、整理整頓がしやすくなるかもしれません。

 

とは言え「好きなようにやってね」と言われても、困ってしまいますよね。

そこで、いくつかの候補を挙げておきたいと思います。

起承転結型

「起承転結」という言葉は聞いたことがあると思います。

  1. 「起」で物語が始まり
  2. 「承」で起の補足を行いつつ、物語を進行させ
  3. 「転」で大きく物語を転換し
  4. 「結」で物語を終える

ということですね。

昔から使われているストーリー構成で、今でも十分通用するやり方だとは思います。

ただし、ネット小説の場合は、連載方式を取ることも多いので、これに捕らわれると難しくなることもあるかもしれません。

そのような場合は、より細かいシーンの中で応用していくといいですね。

 

起承転結型のいい所は「物語の進行を、簡単に構成しやすい」ということです。

「起」と「結」だけが頭の中にある場合、「結」の反対のできごとを「転」で行えばいいわけで、そういう構成のしやすさがあるというわけです。

アウトライン型

アウトラインとは、簡単に言うと「見出し」の意味で、この記事で言えば「そもそもプロットとは?」と書かれている部分になります。

起こるできごとのみを見出しとして書いていき、その下により詳細な小見出しを付け加えていき、それを元に本文を書いていくという方法になります。

 

これのいい所は「ストーリーの流れを入れ替えたりできる」ということです。

複数のイベントの前後を入れ替えたりして、構成を見つめることができるので、俯瞰的に物語を見ることができるようになります。

 

ただ、個人的には、かなり人を選ぶ方法だとは思います。

慣れると「これでしかできない」という方もいる半面、慣れるまでは「止まってしまう」ということになりかねません。

箱書き型

これはアウトライン型に似ているのですが、本来はシナリオなどの書き方ですね。

箱と言われる枠の中に「シーン」「登場人物」「セリフ」などを書き込んでいき、その箱を並べて、ときには入れ替えたりしながら物語を完成させていく方法です。

Scrivener3などは「カード」という機能があるので、それに適していると言えば適しています。

私はこれを変則的に使っていて、箱(カード)の中にあらすじや、思いついた文などを書いています。

殴り書き型

これはタイトルがなんとも……なのですが(笑)。

要は「好きに書いてみる」というものです。

細かい描写や、誤字脱字などは無視して、思いつくままに1つのファイルに書き綴っていく方法になります。

できるだけ大筋だけを書いた方がいいかもしれません。セリフだけでもOKです。

と言うのも、当然これは本文ではないからです。

ざーっと書いていくと、後で読み返したときに「書かなければいけないシーン」や「キャラクターの性格」「物語の矛盾点」などが見えてきます。

それを元にまた修正していくわけですね。

「ストーリーが平坦すぎて、ご都合主義的になりすぎてる」と思ったら、主人公に困難なことを与えるシーンを追加しましょう。

「キャラクターの性格が途中で変わってる」と感じたら、どちらの方が良いのか考えて統一し、前後を修正しましょう。

 

これのいい所は「筆が乗っていると、思わぬ展開が見えてくる」ことにあります。

アウトラインや箱を眺めていても、なかなか良いストーリーが思いつかないとき、あまり気負いせず書いてみると、スルッと話が進んだりすることって結構あるんですよね。

 

また「思いついたものの、今じゃなくって後で入れよう」と思っていたシーンなどを書いておくと、意外と「駄目だった」ということが分かったりします(笑)。

(補足)私の現在のプロットのつくり方

参考になるかどうかは分かりませんが、現在私がやっている方法を書いておきましょう。

ソフトはScrivener3を使っていますが、テキストエディタ(メモ帳)でも十分代用できます。

まず「思いついたシーン」から適当に書いていきます。

ここでは「設定集」と書かれたファイルがそれに当ります(ごめんなさい。画面には表示されていません。左のエクスプローラ内に表示だけあります)。

上で書いた「起承転結型」です。

そこまで起承転結という型には捕らわれず書いています。

今回「冒頭のシーン」からのプロット化だったので、それが起こった原因と、解決方法などを考えていきます。

それらを元に、軽く登場人物の名前や設定も決めておきます。

登場人物(キャラクター)については、次回書こうと思っていますが、個人的には初期の段階であまり詳細まで決めてはいません。

 

次にそれを元に「殴り書き」していきます。

上の写真で赤い枠「Test Type」と書かれたファイルがそれになります。

ここは冒頭シーンから、思いつくままに書いています。

「できるだけ簡潔に」と思っていますが、ついつい本文並に書いてしまいます(笑)。

 

ストーリー的に一区切りできるまで書いたら「箱」に、内容を書いていきます。

黄色の枠の部分ですね。

Scrivener3では、ファイルに「タイトル」「あらすじ」「本文」を分けて書くことができるので、今回はそれで言うと「あらすじ」になりますね。タイトルは、とりあえず適当に。

「殴り書き」分、箱化できたら、全体を見てみます。

ストーリー構成などは、人それぞれ、読者層にもよって異なるとは思いますが、少なくとも自分で納得できる展開になっているかを確認します。

 

最後に、それを元に本文を書いていきます(青枠部分)。

本文の文字数は難しいところですが、おおよそ2,000〜3,000字がネット小説では適切と言われていたりします(あくまでも一例です)。

私は「3,000字台」を目標にしています。

慣れていないと、長くなりすぎたり、短くなりすぎたりします。

まぁ、これはやっている内になんとなく分かってくる……としか言いようがありません。

 

長い場合はまだ良いのですが、短い場合は少し注意します。

と言うのも、文字数を稼ぐために、ストーリーが冗長になってしまう可能性があるからです。

箱の構成を見直し、ストーリーを先に進めてしまう方が良いときもあります。

 

基本的にはこれを繰り返していきます。

コンテスト、公募の応募文字数、約10万字から12万字は、1話3,000字と考えると、おおよそ30話から40話程度になります。

連載ものとして、それ以降も書いていく場合もありますから、そこで完結させる必要はありませんが、目安としては考えてもいいかもしれません。

プロットが先か? 設定が先か?

プロットという言葉の中には「登場人物や世界の設定」などが含まれていることがあります。

ただ、ここでは「ストーリーの流れとしてのプロット」と考えます。

つまりストーリーの構成を考えるのが先か? それとも設定をするのが先か? ということですね。

 

これは身も蓋もないことを言えば「人それぞれ」です。

私の場合は「キャラ、国、地名、技術」などの設定は、結構後回しにしがちです。

設定を最初に決めすぎると、ストーリーに幅がでなくなる可能性があるからです。

 

とは言え、ストーリーを優勢にしすぎると「都合のいいキャラ」が、出来上がったりします。

その場面場面で、ストーリーの流れを阻害しないような行動を取ったりするキャラばかりになるんですよね。うっ……耳が痛いっ!

 

なので、ある程度は決めておいた方が無難かと思われます。

それでも「殴り書き」の段階で、ある程度決まってくるわけで(逆にここで決まらないとまずい)そこで改めて設定を書き、前後でおかしなことをしていないか確認するのも手ですね。

 

設定をガチガチに決める、というのも物語に一貫性を持たせる意味でいいやり方だと思います。

先程も書きましたが、自分のやりやすいやり方が良いかと思います。

まとめ

今回はちょっと長くなってしまいました。

まだまだ書き足りない部分もあるのですが、あくまでも「はじめて」ということを考えると、このくらいが適当かと思います。

冒頭でも書きましたが、プロットに「ルール」はありません。

あくまでも「迷わないための設計図」なので、自分が一番やりやすい方法を見つけるのがいいですね。

 

今回も最後までご覧頂きまして、ありがとうございます。

その他の小説執筆関連の記事は「小説講座」に一覧がありますので、よかったらご覧下さい。

それでは、また、次回に。