書店はこのまま衰退していくのか?

小説講座

少し前の記事ですが「東洋経済オンライン」さんに、こんなものが載っていました。

詳細は記事をご覧になって欲しいのですが、要点をまとめると「1990年代の終わりには23,000店あった書店が、現在では12,000店あまりに減っている(図書カード端末がある本格的な本屋は8,800店舗)」という事実からその理由を書いているというものです。

上記記事はよく取材されているのがよく分かるので、小説関連に興味のある方なら一度お読みになられるのが良いと思われます。

さて、本記事では「書店は本当にこのまま衰退してくのか?」「どうすれば街の本屋さんが生き残っていけるのか?」に焦点を当てて考えてみたいと思います。

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まず、そもそも現在の書店数は多いのか? 少ないのか?

書店

まず「減った」と言われている書店の数は、一般的に見て多いのか少ないのか? それを考えてみましょう。

上にも書いたように現在の書店数は12,000店舗あまり。そのうち、いわゆる「書店」として可動していると思われるのが、東洋経済オンラインさんの記事の中では8,800店ほどだと指摘されています。

この8,800店舗というのは、果たして少ないのか?

例えば
「ガソリンスタンド」の合計は30,000店舗。
「大手ファストフード店」の合計は6,500店舗。
「大手家電量販店」の合計は、全国で約3,000店舗。

※数字は、私がネット上から官公庁、業界団体などの発表しているものを参考に拾ってきた数字です。参考程度にして下さい。

1店舗辺りの規模や売上高、利益率などがありますので一様に比較はできませんが、ざっくり言えばファストフード店よりちょい多いくらい。

店舗数だけで比べることは、お客として店へのアクセスのしやすさに直結します。そう考えるとどうでしょうか? ファストフード店と書店。どちらがよく行くお店でしょうか?

ここをご覧になっている方のほとんどは「書店でしょ」と言うかもしれませんね(笑)。でも一般的にはファストフード店の方が来店頻度は多いのは間違いないでしょう。

そう考えると、書店の数はまだまだ多いとも言えそうです。書店の数、と一括りにしていますが、数が多いということは競合店が多いということです。書店の数が減れば、生き残っている書店にとっては、より多くの利益を獲得できるチャンスとも言えます。

もう2割ほど減ったところが、適正な店舗数……なのかも。

元々書店はチェーン店ではなく小規模な店が多かったように思われます。個人経営の小規模店舗が駆逐されていくのは何も書店に限った話ではなく、全ての業界に当てはまります。

この辺の構造は概ねどこも一緒で「小規模個人店が大規模チェーン店に駆逐される。→その大規模チェーン店もネット店舗に……」という流れですね。

実店舗の衰退は、コンテンツ次第

別の角度から見ると、その実店舗の数はその店が売っているもの(コンテンツ)次第という考え方もできます。

自動車が急速に普及していった結果、ガソリンスタンドは急速に数を増やしました。
新しい食を持ち込んだファストフードは、その味と手軽さで多くのお客さんで賑わいました。
たくさんの商品を見比べられ、しかも従来よりも安いという価値観で家電量販店は支持を得ました。

そして、いずれもその利点を現在では失ってしまっています。

書店で言えば「書籍」や「雑誌」になるのですが、雑誌はネットで無料で読める記事が増えましたし、そちらの方が早く掲載されますし、動画で見ることもできます。私も以前は雑誌をよく買っていましたが、今ではほとんど買いません。買っても「何をいまさら」という記事が多いんですよね。

書籍は以前でもマイナーなジャンルだったのに、こちらも他の媒体(主にネット)に食われまくっているように思われます。エンターテイメントとしての書籍は、ゲームや動画がより簡単にアクセス出来るようになった結果、個人の時間占有率を奪われています。

ノンフィクション系の書籍はまだマシなように思われますが、それも一種のエンターテイメント要素を持っていると考えると同様でしょう。

考えてみれば私が学生だった頃、この手のエンターテイメントと言えば

  • 紙の本(小説・ノンフィクション・マンガなど)を読む
  • 地上波テレビ(アナログ)を観る
  • レンタル店に行って、ビデオを借りてくる
  • 映画館に行って映画を観る

こんな感じでした。

テレビ以外は、いずれも面倒でお金がかかります。だから「テレビは娯楽の王様」だったんですよね。

少し話が脱線しますが、「簡単に無料でアクセスできる」というテレビの利点が、それ以外にも波及していった結果が、テレビの凋落の原因だと思います。また「みんなが見ているものを一緒に観る」というものから「自分が観たいものを自分だけで観る」ようになったのも大きな原因かと。

話を戻しましょう。

このように、たくさんのコンテンツが溢れかえったのに、個人の時間は以前と変わらない(もしかしたら減っている可能性も高い)ので、現在では「じっくりと小説を読む」というのが難しくなってきているのではないか、それ故に他のコンテンツに流れてしまっているのではないかと推察できます。

私たちが書店に行かなくなった理由

やや過激な見出しですが、書店に行く頻度って個人としてはどうでしょうか?

私は以前よりグッと少なくなりました。

書店に行く動機としては「何か欲しい本が決まっていて、それを買いに行く場合」と「特に欲しい本はないけれど、何か読みたくてブラっと行く場合」に別れると思います。

まず「欲しい本がある場合」。

新刊や人気書籍なら、多少小さい書店でも置いてある可能性は大きいでしょう。しかし少し前の書籍、マイナーな書籍だと、逆にない可能性の方が大きいのではないでしょうか。

以前、とある書籍が欲しくて休日1日潰して書店を渡り歩いたことがあります。結果、どうしても見つからないので書店に注文をお願いすると「1週間ほど掛かります」と言われたので、断ってAmazonで注文したら翌日届きました。

このような経験をしてしまうと、欲しい本がある場合はどうしてもAmazonで買うようになってしまいます。

「特に何かというわけではないが、ブラっと」と言う場合には、まだ書店の優位さは残っているでしょう。自分の好きなものばかり読んでいると、どうしても読書の傾向が偏ってしまいます。それが悪いと言うわ毛ではないのですが、個人的には色々な本を読みたいと思っているので、書店の陳列はありがたいんですよね。

ただ、人気の書店なんかだと、明らかに「読み漁られた書籍」というのが見受けられたりして、手に取るを躊躇してしまうこともあるんですよね。だからと言ってビニールカバーを付けてしまうと、試し読みすらできないし。その辺は難しいところ。

書店の生き残る道

前提として、私は書店関係者ではありませんから、あくまでも「数字上の話」と「予想の話」しか書けません。実際の書店関係者の方から見るとトンデモ理論なことも書いてしまうかもしれませんが、その辺はご了承下さい。

東洋経済オンラインさんの記事に、ニューヨーク市の独立系書店の粗利益率が40〜50%で、日本の2倍あると書かれています。

粗利が40%だと、店舗でのオペレーションが少ないと思われる書店でもギリギリではないでしょうか。飲食店の原価率が30%程度だと言われていますので、こちらは粗利70%。調理などの人件費、設備費を考えても、50%程度の粗利があれば(1冊1,200円として600円の粗利)それなりにやっていけそうな気がします。

しかしながら、これらは買い切りが前提とのこと。

1200円で600円の粗利ということは、原価も600円。1万冊仕入れると600万円。10万冊なら6,000万円です。プラスで店舗費用もあることを考えると「個人で出店」というのは、ほとんど無理でしょう。

だからこそ「取次」が間に入って「返本」という制度があったわけですが(加えて再販制度も)、それらも買い切り(=出版社との直契約)だと「売れない本のリスク」を書店が負うことになってしまいます。

Amazonで「本:文学、評論」カテゴリで検索してみると「過去30日」で420冊。他カテゴリもありますから、この10倍程度は毎月出版されているのではないかと推測できます(過去のデータでは6,000〜7,000点というのもあった)。

どのくらいの書籍が「売れ残る」のかは難しいところだと思いますが、返本率が30%だと言われていますので、そのくらいだと仮定すると

【1冊の原価】1,200円(1冊の単価)×50%(原価率)=600円
【返本数=不良在庫数】4,000冊×30%=1,200冊
【不良在庫金額】1,200冊×600円=72万円

毎月70万円超の不良在庫が積み上がっていくというのは、無理があります。

となると、仕入れを絞るしかないのですが、均等に在庫を絞れば「欲しい本がない店」になってしまいますし、あるジャンルに特化した在庫にすればそのジャンルの盛衰に左右されてしまいます。

というように、ザル計算をしてみたところで、書店で利益を出すのは難しいというのが結論です。

もちろん、私などが言うまでもなく書店さんもその辺は良く分かっていらっしゃるので、あれこれ対策をされているのを見たことはあります。個人的には「お茶を飲みながらゆったり読書できる書店」というのは面白いと思うんですが、それでビジネスとしてやっていけるのか心配になります。

ただ、これって「本を売っているのではなく、読書体験を売っている」のだと思うんですよね。

それならいっそ「執筆体験を売る」というのはどうかな、と私は思います。

極論ですが、例えば野球。あくまでも知り合い内での話ですが「小さい頃から高校くらいまで野球をやっていた」という人は、殆どの場合プロ野球をよく見ています。プロ野球だけでなく、高校野球なんかも詳しい場合が多いです。

幸いなことに、小説というものは野球よりは「かんたんに」できます。ただ、出来ると言っても「PCや、最悪紙とペンがあれば出来る」と言う意味で、誰でも小説を書けるのかと言えばそうではないでしょう。

【関連記事】

しかし、できるのなら書いてみたいなという予備軍はいるかもしれません。自分で書いてみて、小説を読みたくなる可能性もあるかもしれません。

(書いていて思ったのですが、その辺りが昨今の「小説投稿サイト」の狙いなんでしょうか? だとしたら、なるほどなぁと思います)

出版社と共同でコンテストを開催したり、小規模書店なら書店独自のコンテストを開催してはどうでしょうか? もしくは小説やノンフィクションなどの書き方の教室を行うのはどうでしょうか?

小中高と野球を12年間やってきた人が、ずっと野球を好きでいてくれプロ野球や甲子園を見てくれるように、執筆を続けている人が小説を好きになってくれる可能性は高いと思うんですよね。

まとめ

書店業界にいるわけでもない人間が書いていることなので、あくまでも「外から見た感想」になりますが、個人的にも書店さんには頑張って生き残って欲しいと私は思っています(できるだけAmazonでは買わないようにしています。ない場合はしょうがないですが)。

やっぱり書店の魅力は「思わぬ出会い」だと思うんですよ。「なに、あの書店員さん、超イケメン」っていう意味じゃないですよ(笑)。「そんな本を買うつもりじゃなかったのに買った本が、思っていた以上に面白かった」というものですね。

でもやっぱり、先程も書きましたが「誰かに読み漁られた書籍」を買うのは抵抗があります。大手さんだとやっていますが「試し読み用」の書籍を書店に配属するべきだと思うんです。出版社さんが負担したとしても、プロモーション費だと思えば安いものだと思うんですけどねぇ。

「全部立ち読みされたら商売にならない」のであれば、カバーで前半以外を覆ってしまえばいいんじゃないでしょうか。あくまでも試し読みだったら、Amazonみたいに「最初の◯ページ」だけよめるようにしておけばいいでしょうし。

まぁ、素人考えかもしれません。

できるだけ多くの人が、書籍に関心を持ってもらえて、それを楽しめる環境になって、その結果書店さんが末永く生き残っていけることを願います。

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