新iPhone登場のがっかり感に見る「市場が成熟するとプロダクトアウトからマーケットインへと変貌していく現象」を考える

2018年9月17日小説講座

こんばんは、しろもじです。

先日、当ウェブサイトでもお伝えした新iPhone「iPhone XS/XS MAX/XR」。

ネットをざっくり見て回った感じでは「先代とあまり変わらない」「イノベーションがない」「がっかり」と言った声が多かったように思われます。

7使いの私からすれば十分革新的だとは思うわけですが、確かに先代Xからの進化はあまりないように思われます。

冷静に考えてみれば最もイノベーティブなiPhoneは3Gだったわけで、以降はマイナーバージョンアップ版だということもできるわけですが、それでも年々「ドキドキしなくなってきている」というのは感想として間違ってないのだと思われます。

とは言え、スマートフォンという形態で考えれば、これ以上のイノベーションはなかなか難しいのかもしれません。

そこでスマートウォッチやVR、ARなどの「副製品群」が市場に出始めてきています。

 

そこでふと考えました。

小説もかつて「ライトノベル」という新しい市場が誕生しました(もう20年以上前のことですが)。

その後、ライトノベルは順当に進化していきながら、現在では「新文芸」や「チャットノベル」というような、やや主戦場を外したような作品が作られてきています。

これって似てないだろうか?

今回の記事は「iPhoneなどスマートフォン市場と、小説市場の関連性を無理やり考えてみる」ものになります。

やや強引な部分もあるかもしれません(笑)。

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イノベーティブな製品もやがて保守的な製品へ

iPhoneに限らず、スマートフォンの誕生はイノベーティブな出来事であったと言えるでしょう。

ガラケー全盛期にはインターネットなどのサービスの多くはPCを使って利用されるものであり、携帯端末はあくまでも「暇つぶし」程度のものでしかありませんでした。

しかし現在ではPCの利用者よりもスマホの利用者の方がはるかに多く、もはや「椅子に座ってPC画面を見る」という行為のほうがマイノリティになりつつあると言っていいのかもしれません。

 

とは言え、もはや当たり前のデバイスとなったスマホも、市場に登場した瞬間から一気に広まっていったわけではありません。

イノベータ理論の通り「最初に飛びついた少しの人がいて、やがて徐々に広まっていった」わけで、私の記憶では「ガラケーで十分!」と言っていた人たちが、スマホに買い換えるまでに数年は要していたような覚えがあります。

 

新しい製品が登場し、一部の熱狂的なファンが形成される。

ファンによって初期の市場が形成され、コミュニティが築かれ始める。

それによりフォロワーが誕生し、製品の市場占有率は高くなってくる。

 

イノベーティブな製品が市場で売れ始めると、今度は製品をフォローするメーカーも生まれてきます。

イノベーティブな製品を真似、価格を抑えてよりお求めやすい製品を市場に送り始めます。

似たような製品が徐々に数を増やし始め、結果としてより売れるようになっていきます。

そして市場でのシェアの過半数をとるようになってくると、むしろイノベーティブな製品は「その市場の代表格のもの」に変わってきます。

市場での競争が始まる

イノベーティブな製品は、時として「市場全体の規模」を拡大、もしくは変質させます。

これまで使っていなかった層に広がっていったり、市場のターゲット層が変わったりします。

これらのことから、市場への参入者が増えてきます。

 

スマホでは既存の携帯電話メーカーが、こぞってスマホを開発・発売しましたし、小説で言えば新しいライトノベルレーベルが数多く誕生しましたね。

 

数が増えると言うことは、競争が苛烈になるということでもあります。

当初は似たような製品が氾濫することになります。

しかし、それでは差別化ができないため初期にブランディングしたメーカーに勝つことはできません。

メーカーは市場で最も売れている製品を研究し「ほとんど似たような機能を持った製品」を開発すると共に「ちょっとだけ変わった機能」を組み込むようになります。

 

しかしスマホやライトノベルの「受け入れられた本質」を理解せず「少しだけ特徴を持たせただけ」の製品は、市場で受けれられることはありません。

熾烈な競争の結果「やっぱり王道は強いよね」という結論が生まれてきます。

プロダクトアウトからマーケットインへ

少し前に、製品を制作する過程の「プロダクトアウトとマーケットイン」について、記事を書きました。

その記事では「プロダクトアウトで作られた製品は、決して独りよがりの製品ではない」という話をしました。

マーケットインで作られた製品は「消費者の声」が主であるのに対して、プロダクトアウト製品は「メーカーの思想」が主となるだけのことで、市場ニーズを無視して作られたものではない、ということですね。

 

イノベ−ティブな製品は、プロダクトアウトでしか生まれてきません。

それは「消費者の声」に従っている限り、既存の製品の枠からは離れられないからです。

消費者は開発者ではありません。

今、目の前にある製品を見て「もうちょっとこうだったらいいな」という感想を述べることしかできません。

 

しかし製品を作る過程、それも競争下にあっては、このマーケットインの手法は有効なものになります。

何しろ消費者の声に沿った商品を作れば、少なくともニーズはあるからです。

メーカーは伸るか反るかの丁半博打のようなことは、なかなか行うことができません。

「これが売れなかったら、会社が潰れちゃう!」

余程の崖っぷち企業でない限りそんな開発をすることはできず「爆発的には売れなくても、前年比◯%アップくらいを狙う」という堅実な方法を採ります。

 

マーケットインと言っても、何度もアンケートを取るわけではないと思います。

「売れている製品を分析して、魅力的なポイントを少し強化してやる」

こういう形でニーズを探りながら製品を次々に送り出していくわけです。

 

「王道ものは外せない。だからちょっとだけ変えてみよう」

そんな小説多いですよね。

そして小説の書き手としても「より読まれるために」そういうやり方を採ることもあるかと思います。

 

いずれにしても競争が激しくなるにつれ、手法はマーケットインへと変化していくということが言えるわけです。

小説の未来は

では本題に入りましょう(今から?)。

 

小説において現在の王道は「異世界転生」であり「俺Tueee」であり「ハーレム」であります。

テンプレと揶揄されようが、現に売れているのですからこれは否定しようがありません。

(売れれば良いのか、という話は別です)

 

小説がイノベーションを起こすにはどうしたらいいのか?

テンプレラノベに続く、新しい分野は生まれるのか?

 

個人的な意見ですが「テキストをベースにしている以上、そもそも小説という市場規模はこれ以上広がりえない」というのが結論です。

テンプレラノベが衰退し、新しい分野の小説が受けること。

これはあるでしょうし、これまでも起こってきました。

 

今後小説は「別のコンテンツの土台としてのもの」へと変わっていくのかもしれません。

ひとつには、当ウェブサイトでも度々記事にしているWritoneを始めとする「音声小説(音声ノベル、読む小説)」などが挙げられます。

この分野が今後主流になっていくのかどうかはまだ分かりません。

 

しかし先程言ったようにテキストベースのコンテンツは、今後大きくなることはないと思います。

とは言え、いきなりなくなったりはしませんよ。

私やあなたが生きている内に、紙の書籍、電子書籍がなくなってしまうということはありません。

ただ、余程のことがない限りテキストコンテンツが拡大することはないでしょう。

 

ただ悲観することはないと思います。

物語を創作するという行為は、むしろこれから伸びていく可能性を十分に持っています。

映画化、ドラマ化、アニメ化。

ゲームのベースシナリオ。

音声小説のベース。

これらはテキストで創られます。

 

小説を書いている方はあまり意識してないと思いますが「文章を書く」というスキルは、思っている以上に一般的なものではありません。

「文字だから誰でも書けるだろ」と思われているかもしれませんが、意外と「書けないよ」という人は多いわけです。

特にブログコンテンツや実用書などを除いた「小説という創作行為」に限って言えば、それができる人の数はグッと減ってきます。

更にそれを何作も創り出せるというスキルは、非常に稀有なものであると私は思います。

 

ですので、胸を張って書き続けましょう。

王道を研究して独自性を加えたものでも良いでしょう。

自分の書きたいものをニーズに合わせていくのも良いでしょう。

 

作家とスマホメーカーの大きな違いは「博打が打てる」ことです。

文中で書いた「メーカーは博打を打てない」というのは、あくまでも既存の出版社を指し示しています。

小説を書くという行為の代償は「時間と労力」くらいしかありません。

大きく失敗したとしても、失うものなどそれほど多くはないのです。

倒産もしませんし、路頭に迷うこともありません。

人生に迷うことはあるかもしれませんが。私のように(笑)。

 

今回はスケールが大きな話だけに、ややざっくりとした話になってしまったかもしれません。

しかし「出版社が『見たこともない小説を求む!』と言っている割に、コンテストで受賞する作品はテンプレが多いよね」ということがどうして起こるのか、ということを考えているうちにiPhoneの話題と絡めた話ができたというわけです。

皆様の今後の創作活動の一助になれば、と思います。

 

今日も最後までご覧頂きまして、ありがとうございます!

それでは、また、あした。