【Micro Income】これからの小説家像を考える脳内会議 Last【創作日記030520】
去年辺りに書き散らかして、盛大に放り投げていた「Micro Income」シリーズ。放り投げていたというよりは「全て書きつくした」という感じで、どちらかと言えば構成が悪かったような気がします(自分の文書うは棚に上げておいて)。
このまま放りっぱなしでもいいのですけど、なんとなく無責任っぽい気もしていますので、一応シメとしての記事を書いておこうと思います。
これまでの経緯はこれらの記事を見ていただければ分かりますが、今回はそれらを総括したいと思っていますので、特に読み返す必要はありません。
専業小説家
「専業小説家」なんて言葉がいつ生まれたのかはよく分かりませんが、少なくとも現代においても「小説だけ書いて食べていけている人」というのは存在します。
また「最近では専業小説家は厳しくなっている」とよく言われたりしますけど、これは今に始まったことではなく、ずっと昔からその傾向はあったのではないでしょうか。
宝くじに当たるよりも多くのお金を稼ぎ、誰もが知っているビッグネーム……というのがほんの一握りだというのは、別に小説に限った話ではなくスポーツ選手、芸能人、政治家……などなど、色々な分野で見られる傾向です。
そして「それだけで食べていける」というのは、携わっている「市場」がどの程度の規模なのかにもよるでしょう。
そういう意味では、小説というのは元々それほどメジャーなものではない上に、確実に縮小傾向にあるわけですから、今後はますます「専業化」が難しくなっていくのは間違いないでしょう(ただし、完全になくなるのはまだ先の話)。
プロとアマの垣根
このサイトでも何度も書いてきましたが、小説を書いて発表して誰かに読んでもらうという行為は、以前はかなり敷居の高いことでした。
ところがWebが登場し個人でサイトを持てるようになり、更に小説投稿サイトというものが多く誕生している今においては、その敷居はみるみる低くなっていき、最早ないも同然です。
ネット環境とキーボード、もっと言えばスマホだけあれば誰でも今すぐ簡単に、自分の書いた小説をWeb上にアップロードすることが可能ですよね。
誰でも簡単に小説を投稿できる場所においては、表面上「プロとアマ」の違いはどこにもありません。決まったフォーマットにより、同じ形式で文書は投稿、表示され読者に届きます。
もちろん、知名度(作者のフォローやブックマーク等)においては差がありますので、全く同一ではないのでしょうけど、少なくとも形式としては同じです。
またWeb小説投稿サイトにおいては「すでに出版系経験のある作家が、次回作をWebに投稿する」というものも散見されます。
本来であれば「書籍化する > ファンが付く > 次回作はいきなり書籍で」という流れがあるのでしょうけど、そうならない辺りにもプロとアマの垣根の低さを垣間見ることができそうです。
小さな収入源をたくさん持つ
つまり、今後も「小説だけ書いていれば、食べていける」という人間は増えないか、減っていくということが考えられます。
では「小説という創作」は趣味でしかなくなるのでしょうか?
そもそもこれからの時代「ひとつの仕事だけで食べていく」ということ自体が、当たり前ではなくなるのかもしれません。
複数の収入ソースを持っていて、それぞれから少しずつ収入を得ている。
そんな職業(生き方)が主流にはならないまでも、普通になっていくような気がしています。
その中のひとつに「創作」というものがあり、小説やエッセイ、解説など文章を書いて収入を得る手段としている人は今でもいると思われますが、それがもっと増えていくということですね。
これは「兼業作家」に似ていますが、少しイメージが違うようにも感じられます。兼業作家は「主とした仕事を持ちそちらの収入だけで生活していける人が、小説からも収入を得ている」という感じですよね。
そうではなく「主としたものはあるが、決してそれだけでは食べていけない。複数が組み合わさることで、トータルとして食べて行ける」という形です。ひとつひとつの小さな収入「Micro Income(小さな収入)」をたくさん持つ、というのが、小説家に限らずあらゆるところで見られるようになるのでは、と思っています。
安定した収入はなくなる?
このような話を聞くと「そんなの不安定すぎるでしょ」と思われる方が多いと思います。実際、複数の人に同じ話をしてみましたが、多くの人が「そんな宙ぶらりんみたいなのはイヤだ。安定してるのがいい」と言っていました。
でも考えてみて下さい。
去年、すでにトヨタ自動車や経団連は「終身雇用は無理」と言っているんですよ。
これらは決して悪いことじゃないと思っています。言い換えれば「経団連の会長であっても、無能なら即入れ替える」という決意表明でしょうから。
まぁ、皮肉は置いておくとしても「会社に入ったら定年までずっと面倒を見てくれる」というのは、今後ありえません、と言うことですね。トヨタが言っているんですから、他の企業、ましてや中小企業は言わずもがなです。
つまりもうどこにも「安住の地」などないということです。
逆に言えば「ひとつの収入源に頼り切っている」ことこそが、不安定だとも言える時代になってきてるんじゃないかなぁと、私は思うんです。
複数の「Micro Income」を持つことは、上手い言い方をすれば「リスクヘッジ」です。ひとつがダメになっても0にはならない。
「1×30=30」だったものが
「15+5+5+2+3=30」になれば、一見上に比べて劣っているようにも見えますが、実はひとつ失っても破綻はしない構造になっていますよね(最大のものを失っても、半分は残っている)。
まとめ
カクヨムが採用している「ロイヤルティプログラム」のような取り組みは、そういう活動の支えになるんじゃないかなぁと思っているわけです(ただし私の場合はMicroすぎて、収入にもなっていないのですが)。
考え方によっては「一発ドカーンと当ててやる」よりは、余程健全だとも言えそうですしね。
また一部では「Webで儲けるのはけしからん」という向きもあります。もしくは「趣味みたいなので儲けるのはけしからん」かも。
私はこの意見には反対です。
資本主義経済下では、あらゆる活動が資本(≒お金)に置き換えられるべきです。その原則の上で、ボランティアとかは行われるべきだと、私は思っています(ボランティアを否定はしていません)。
アクセサリを原価100円でつくったとしましょう。つくるのに1時間かかりました。いくらで売りますか?
例えば「原価100円なのに1000円で売るなんてボッタクリ!」という人は、自分の仕事の利益についてどう考えてるんでしょうか? もしかして無償で働いてるんでしょうか。
まぁ、こう言う考え方って古い人間の考えなんだと思います(思いたい、かも)。
これからの時代は、そういう細かいところで経済がまわっていくような世の中になるべき……というか、ならないといけないんだと思っています。
ディスカッション
コメント一覧
【Micro Income】シリーズ、最終回なんですね。お疲れさまです。
小さな収入をいくつも持つ、という考え方は、このシリーズで学ばせて頂きました。感謝です。
将来的な新しい専業小説家のカタチとして、Web小説家、私の場合だとカクヨム作家、というのを考えてみました。
これは私で言えば、カクヨムで小説などを書いて、そのPV収入だけで生活する作家です。
公募とかには通らないし、Web小説で賞とかも取れないんだけれど、PV収入だけで生活できる程度には読まれる作家。
出版するほどの価値とかはないんだけれど、読むと面白い文章とかって、あると思うんです。小説も賞を取る爆発力はないけれど、地味に読まれ続けてくれる小説とか。
公募とかでプロになるのは憧れますけれど、リスクも伴うわけで★ それなら、低値安定でもリスクの少ないPV収入生活はありなんじゃないかと、思ったり思わなかったり。
将来的にカクヨムの広告収入が上がれば、そういう作家も出てくると思うし、そうなりたいとも思っています。
なお、魔女っ子★のPV収入。11月32円分、12月17円分。1月2月は更に減ります(えっ?)。
3月から挽回です。8日の時点で既に2月のPVとアドスコアを超えました♪
取り敢えず自己最高の32円分の更新を目指しますっ。むふーっ♡
……夢のPV収入生活にはほど遠い★
お読みいただきありがとうございました。
「一発どかーんと」というのは理想ではありますが、なかなか難しいですよね。特に小説では。
小説のプロって一口に言っても「ずっとそれだけで食べていけてまーす」という人は、元々少ないですし今後はもっと減るでしょうし。
「じゃぁ、文章を書くことはボランティアにしかならないの? 無料で読んでもらう趣味的活動以外はなくなるの?」ということにならないためには
どうしたらいいんだろう……と考えた結果のシリーズです。
まぁ言うは易しですけどね(笑)。
最近のカクヨムを見ていると、PV以外にもアドスコアを付与しようとしたりしているので、今後は「本以外」が主流になってくるのかも?
ゆきさんの仰られるような話も、十分考えられることだと私は思います。