過程を公開しながら小説を書く【第6回:プロットを作ってみる】

小説LABO創作公開

本連載は「小説を1本作っていく過程を公開してみる」というもので、今回は6回目の記事なります。

今までの記事は以下からどうぞ。

ここまでの流れとしては

  1. 元々書いてたラブコメものの小説を振り返り問題点を出す
  2. ざっくりした舞台と流れを考える
  3. 登場キャラクタの人数や構成を考える
  4. 主要キャラクタの概要を考える
  5. 何がもっとも言いたい小説なのかを決める

という感じでした。

なんとなくザクザク前に進んでいるような気がしないのと、行ったり来たりしているように思えるのは気のせいではありません。

例えば「Aを決めてBを作って、Cを完成させてDに取り掛かる」というような決まった枠組みで作って行けば非常に論理的かもしれませんが、小説というのはあくまでも創作であり工業製品ではありませんから……という言い訳をしながら今回の主題「プロットを作ってみる」に行ってみたいと思います。

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プロットを作ってみる(ペース配分)

さてプロットなんですが、プロットといっても色々な形のものがあるので「これが正しいプロットの作り方だ」というものは、なかなかないですよね。冒頭と終わりだけをサラッと決めただけのものだったり、細部まで緻密に作ってあったり、あらすじ的なものだったり色々あると思います。

ある意味、キャラクタの設定もプロットの一部だと思うのですが、今回決めるべきことは「ストーリーの流れ」です。

第2回でも少しだけやりました。その時決まったのが「シンデレラ曲線を使った話にする」というもので、物語冒頭からの話の流れが「少し下がって少し上がる。めっちゃ落ちて最後に最高潮に上がる」というものでしたよね。

この小説でのプロットでは、そういう流れの中である程度のイベントを決めておいて(例えば、上の上がる下がるのきっかけ)、あとは実際に書きながら調整していくという方法を取ろうと思っています。

ですが、今回はそれにちょっと付け加えたいと思っていることがあります。それがペース配分。

いつも小説を書いているときに思うのですが「思っていた以上に長引いてしまう」という問題があります。現在カクヨムに投稿している『きみとぼくのダンジョン再建記』は何度も書いているように即興小説なのですが、現在の終盤の地点ではある程度先の決まっていることを書くようになっています。

で「大体このくらいでここまで書けるから、最終的にはこのくらいの話で終わるかなぁ」というふわっとした感覚はあるものの、実際書いてみると「あれ、思ったより長くなってね?」というようなことがあったりするんですよね。

なので、今回はペース配分というものを考慮してみようかなぁと思ったわけです。

いやまぁ、今更ドヤ顔でいうようなことじゃないとも思いますが(笑)。

そうはいっても、シンデレラ曲線のうち「最後の盛り上がり」は何となく理解できるものの、それ以外の上がったり下がったりをどのくらいの配分にすればいいのかって、なかなか難しかったりします。そこで以前読んだことのある『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術(ブレイク・スナイダー著)』を参考にしてみました。

『SAVE THE CATの法則』はあくまでもハリウッド映画の脚本について書かれたものですが、小説も同じ創作ものなのでそれほど違いはないんじゃないかな、と思っています。

まずはiPadのノートApp「Goodnote5」で次のようなグラフを作ります。

小説のプロットの配分表

横の目盛りは上の数字が完結まで(約13万字)までの%。下の数字が文字数になります。

そこに『SAVE THE CATの法則』で分類されていた脚本のパート配分を入れてみます。実際にはもっと細かく分類されているんですが、あまりに細かすぎるので大枠だけ抜き出しています。

小説のプロットの配分表に脚本パートを当てはめた表

詳しい内容は『SAVE THE CATの法則』を読んで下さいとしかいいようがないのですけど、簡単に説明しておきますと

  • セットアップ:物語の導入部。舞台、キャラクタなどが描かれる
  • 悩みのとき:主人公の持っている悩みや闇が描かれる。ちょい下がる箇所
  • お楽しみ:物語のもっとも面白い箇所が描かれる。上がる箇所
  • 迫りくる悪い奴ら:お楽しみから一転、問題が発生したり明らかになったりする
  • 心の暗闇:悩みのときの闇が再び登場する。主人公はそれに立ち向かう。めっちゃ下がる箇所
  • フィナーレ:悩みや闇を乗り越えた主人公が新しい世界へ踏み出す。めっちゃ上がる箇所

という感じでしょうか。

ここにシンデレラ曲線を付け加えてみます。

小説のプロット図
字が汚いのは勘弁して下さい!

赤い線が素直に当てはめたもので、それを少し修正したのが黄色の線です。

なぜ修正したのかというと、Web小説では「冒頭に面白さが来ないと、なかなか読んでもらえない」からです。前にも書いたことがあるのですが、書店で買った本や観に行った映画とは違い、Web小説は容易に「やーめた」ができます。

ですので、冒頭のセットアップ、つまり登場人物が出てきて舞台やキャラクタの相関関係が説明される中で「この小説はここが面白いんだな≒タイトルやキャッチの回収」をしていかないといけないんじゃないかなぁと思った次第。

ここは連載の第一回で指摘した「序盤の展開が遅すぎる」にも当てはまります。なので序盤はモリモリ上げていくことが大切っぽい。

全体の流れを整理してみると

セットアップ

冒頭に主人公である圭太とヒロインの琴美が再会し、サブキャラクタである歩夢(圭太の部活仲間)、京夏(琴美の部活仲間)、聡史(圭太の友人)が全員出てくるのが2万字まで。

冒頭から予期せぬ同居生活が始まり、物語の面白さ(ラブコメ的要素)を高めながら、サブヒロインなどとの交流でもそれを上げていく。

悩みのとき

全員が登場する過程で、圭太は文芸部に引き込まれ、琴美はサッカー部へ。圭太が「自分がしたいこと」よりも相手に合わせて行動することを自分で自覚する。

お楽しみ

この時点では圭太と歩夢、圭太と聡史、琴美と京夏という組み合わせでの話になるが、ここから全員が面識のある状態へと変わっていき、一緒に遊びに行ったりしながら楽しい要素が満載になっていく。

迫りくる悪い奴ら

その中で、歩夢と京夏は圭太に少し惹かれるイベントがあり、それを目撃した、もしくは知った琴美は少し圭太との距離を置こうとする。それに気づいた圭太も再び琴美との関係が難しく感じられるようになり、少し避けるようになる。

心の暗闇

どういう理由かまだ決めかねているが「学校に同居しているのがバレそうになる」「琴美(もしくは圭太)の両親に同居しているのがバレそうになる」のような外部要因と、圭太との関係が悪くなるのを嫌がる琴美は家を出るという。それに対して圭太は止めることができない。

フィナーレ

「本当に自分が望んでいること」に気づいた圭太は琴美を探す。色々あるが、なんとか見つけられて元の鞘に収まりハッピーエンド。

って感じでしょうか。前よりは少し具体的になった気がするんですけどどうでしょう?

次までに決めたいこと

そんな感じで今回は終わりにしましょう。

前回からの宿題の中で最も大切そうな「小説のタイトルとキャッチコピー」はまだ決まっていません……。随分悩んでいるのですが、なかなか「これだっ!」というのが思いつかない模様。こういうのってセンスが大切そうですよねぇ。センスのない人間は辛いところです。

『高校に入って一人暮らしを始めようと思ったら、幼馴染と同居することになった件』とか、もう古いですかねぇ(笑)。分かりやすそうなんですが。安直? まぁそうですよねぇ。

そこは次回までにはなんとかします。