陽だまりの彼女【新潮文庫|越谷オサム】

2017年10月25日恋愛, 読んでレビュー新潮文庫, 越谷オサム

物語を読んだり見たりする時、普通、人はハッピーエンドを求めるものである。

 

悪代官を懲らしめられず、逆にとっちめられてしまう時代劇や、

 

悪の組織に連戦連敗で意気消沈している戦隊物や、

 

誰もくっつかない恋愛ものなど、誰も見たくないのです。

 

というのは、実に当たり前の話であって、理由は色々あると思いますが、やはり物語を見ている人は、登場人物に自分を重ね合わせて感情移入しているからだろうと思います。

 

悪をやっつけてスカッとしたり、幸せになった登場人物をみて幸せな気分になったりしたいんですよね。

 

ただハッピーエンドと言っても、様々な形があると思います。

 

ハッピーエンド論を語りだすと、ブログ記事の枠を超えてしまいそうなので(笑)ここでは割愛しますが、大きく分けると「誰もが認めるハッピーエンド」と「人により意見が別れてしまうハッピーエンド」かな?

 

本作「陽だまりの彼女」は後者です。

 

私は元々恋愛系の小説は余り読まないのですが、何年か前に「4月は君の嘘」を(アニメ版で)見て以来、すっかりトラウマになってしまい、余計に近づかないようにしておりました。

 

 

先日レビューした「砕け散るところを見せてあげる」や「君の名は」なども恋愛小説と言えるでしょうが、前者は「とらドラ!だと思って買ったら村上春樹だった」でしたし、後者は「新海誠さんなら、安心して読めるだろう」と思って読んだので、どちらもまぁ普通に楽しめた作品でした。

 

 

 

もうね。「4月は君の嘘」のような悲劇は繰り返したくないわけなんです。ラストシーンをうっかり仕事中に思い出して、泣きそうになったりしたくないんです。

 

ですので、私が書店でこの「陽だまりの彼女」を見かけた時、その表紙のデザイン、裏表紙の作品紹介を読んで、安心して「これは楽しそうだ」と思って買ったんですよ。

 

ちなみに裏表紙の解説はこう。

 

幼馴染みと十年ぶりに再会した僕。かつて「学年有数のバカ」と呼ばれ冴えないイジメられっ子だった彼女は、モテ系の出来る女へと驚異の大変身を遂げていた。でも彼女、僕には計り知れない過去を抱えているようで──その秘密を知ったとき、恋は前代未聞のハッピーエンドへと走りはじめる! 誰かを好きになる素敵な瞬間と、同じくらいの切なさも、すべてつまった完全無欠の恋愛小説。

 

ね? しっかりハッピーエンドって書いてあります。ココ大事。

 

これを見て「よし、大丈夫だ」と買ったんですよ。

 

以下ネタバレ含むので、読んでない人はご注意下さい。ネタバレが嫌な方は「ネタバレを読む」ボタンを押さずに、そのまま下を読み進めて下さい。

 

それがなんでこうなるんだ!? もう本当に信じられない!!

これをハッピーエンドって呼ぶのかよ!?

そう叫ばずにはいられない。

そりゃさ、序盤から中盤くらいで「ありゃ、これは何か普通の恋愛ものじゃないな」ってことくらいは気がついていましたよ。

真緒が「猫っぽいなぁ」とも思っていましたよ。

「でもさ、最後にはなんだかんだでどんでん返しがあって、二人は幸せになるんでしょ?」って信じて読み進めましたよ。

なんだよ隠してたお金の意味ってそういうことかよ!

ペット飼うのに反対していた理由ってそういうことかよ!

「あのね、私、あなたと結婚してよかった」って……。

 

 

とまぁ、そんな感じで「ハッピーエンドかどうか?」は賛否両論別れるとは思いますが、少なくとも私は「うーん」と納得できない終わり方でした。

 

決して作品が良くないというわけではないんですけどね。

 

なんたって映画化もされている作品ですから、文句をつけるものおこがましいというものです。

 

考えるに、主人公の「奥田浩介」と「渡来真緒」が余りにも理想のカップル過ぎたのではないかと。私を含めて世の男性諸氏にとって渡来真緒という存在は、まさに理想の奥さんであっただろうし、これは私が女性ではないので分かりませんが奥田浩介も理想の旦那さんだったに違いありません。

 

そして、序盤から中盤に掛けての二人の幸せっぷりを見ていれば、あの終わり方で「ハッピーエンド」と言い切ってしまう裏表紙解説には、抵抗を感じざるを得ません。

 

なんか、今回凄い裏表紙に敵意剥き出しになっていますが(笑)。

 

強いて言えば中盤までの、軽快で明るい展開で、最後を締めくくって欲しかったかな? と思いますが、それでも最後の浩介の

 

「真緒、お前、◯◯◯◯食っただろ」

 

という一言で、多少は救われた気がしますけどね。

 

2011年発行、2013年には映画化されているということで、またまた古い作品のレビューになってしまいました。今度はもうちょっと新し目のにしましょうかね(笑)。

 

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